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西洋神話

太陽神アポロンについて

2023-10-27 11:15:00 | 西洋の神話

【アポロン】

 アポロンは、ゼウスと大地の女神レトの子として生まれました。レトは、うずらに変身したゼウスと交わって身篭ったとされています。ゼウスの正妻は、ヘラだったので、アポロンは不倫の子供でした。しかし、アポロンは、ギリシャの理想であり、永遠の若さを持った美青年だとされています。初代ローマ皇帝オクタビアヌスの守護神だったので、ローマ時代になってからも人々から愛されました。

 トランプのクラブのジャックは、アポロンがモデルだとされています。夏がアポロンの季節だったので、蝉がアポロンの使いとされました。また、オオカミや蛇を聖獣とすることがあります。 怪物テュポンから逃れる時は、カラスまたは、タカに変身しました。そのため、それらはアポロンの聖鳥とされています。

 【予言の神】 

 嫉妬したヘラは、レトを迫害します。ヘラの命令で、大蛇ピュトンが、レトが安心して出産できないように追い回しました。そこで、ゼウスが、隠れ家として用意したのがデロス島です。レトは、デロス島で、アポロンと妹のアルテミスを産みました。「オリーブ」または「シュロ」の木の下で産んだので、それらはアポロンの聖樹とされています。その後アポロンは、イルカに変身して、ギリシャにやってきました。

 ピュトンは、ヘラの聖地であるデルフォイの番人だったとされています。誕生したばかりのアポロンは、レトを救うため、黄金の矢でピュトンを退治し、デルフォイに自分の神殿を築きました。アポロンは、運命の女神テミスに養育されたので、人々に予言や神託を授けることが出来たとされています。その予言は、直接的ではなく「語らず、隠さず、標を給うなり」という謎めいたものでした。その予言を伝えたのは、アポロンの巫女です。アポロンの予言の力は、人間にも与えることが出来たとされています。愛していた王女カサンドラに予言の力を与えました。しかし、カサンドラは、アポロンに捨てられることを予言してしまいます。そのため、アポロンの愛を拒絶しました。その報復として、アポロンは、カサンドラの予言を誰も信じないものにします。

 【医術の神】 

 アポロンの持つ黄金の矢は、太陽光線の象徴でした。宿敵ピュトンは、暗い場所で増殖する「腐敗」だとされています。太陽の光は、腐敗を止めるものとして、医学と結びつけられました。アポロンの神殿は、最初の病院だったとされています。医神アスクレピオスは、アポロンの息子です。アポロンも「治癒者」呼ばれ、病気を癒やす医術の神とされました。しかも医術だけではなく、生死をも司るとされています。疫病神として疫病の矢を放つこともありました。そのことから、疫病を媒介するネズミが聖獣だとされています。

 【太陽神】 

 アポロンは、医術で人々を癒やし、恵みを与える光明神です。そのため、太陽神ヘリオスと同一視されました。アポロンには「輝く」と言う意味を持つ「ボイポス」という異名があります。その武装は「黄金の剣」「黄金の弓」など黄金ものでした。また、輝くダイヤモンドが、アポロンの宝石だとされ、太陽の色である、赤か黄色がシンボルカラーです。アポロンは、ヘリオス同様、四頭の馬または、白鳥が引く太陽の戦車を乗物としています。戦車の車輪もまた太陽の象徴でした。ヘリオスの聖鳥である「雄鶏」は、アポロンの聖鳥でもあります。雄鶏は、朝に鳴くので、太陽の象徴だとされました。

 【植物の神】 

  太陽の光は、植物を育てるので、アポロンは植物の神ともされました。アポロンは、月桂樹の冠をかぶっています。その月桂樹は、かつて愛したニンフのダプネが変身したものでした。同じく愛した者に、ヒアシンスの語源となったヒュアキントスという少年がいます。ヒュアキントスは、頭に円盤が当たって血を流して死にました。その血から「ヒアシンス」が咲いたとされています。アポロンには、人間を植物に変える力もありました。ある時は、謝って可愛がっていた鹿を殺し、嘆き悲しむ少年を、悲しみの象徴である糸杉に変えたこともあります。

 【弓の神】 

 アポロンは、狩人で弓の技術に優れていたので「遠矢射るアポロン」と呼ばれました。その腕で、自分の母を侮辱した人間たちを射殺したこともあります。アポロンは、慈悲深い面もありましたが、驕る人間には冷酷だったからです。トロイア戦争では、トロイア側に立ち、多くのギリシャ兵を倒しました。アポロンは、元々外来の神だったので、トロイア側についたとされています。トロイアの王子パリスの矢を導き、ギリシャの英雄アキレウスの弱点を射抜きました。アポロンは、兵士の神と呼ばれ、弓術以外にも戦いに強いとされます。ボクシングを創始し、ある時は城壁を素手で破壊しました。本来、アポロンは、遊牧民に起源を持つ外来の神だとされています。そのため、羊飼いの守護神でもありました。 

【芸術の神】

 アポロンは、芸術全般の神です。芸術によって夢幻の世界を作り出したとされています。アポロンは、詩歌の世界ヘリコン山の詩神ムーサの主人です。特に音楽の神として竪琴を持つとされています。アポロンの子には、竪琴の名手オルペウスがいました。オルペウスの竪琴の音色は、冥府の王ハデスをも魅力したとされています。また、アポロンは笛の名手でもありました。アポロンは、神に敬意を払わない者には、罰を与えることもあります。ある時は、無礼にもアポロンに笛の勝負を挑んできたサチュロスを打ち負かし、そのうえ殺してしまいました。




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