栄養医学ブログ

健康・病気に特化した栄養医学ブログをアップロードしたい、と考えています。

食事性ビタミンAとガンとの関係の研究について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-06 17:20:38 | 健康・病気
ガン全体のうち、半分以上が食生活と関係があり、食事がガンの危険因子のもっとも重要な決定因子、と報告されています。動物性脂肪摂取と肺ガン、結腸ガン、直腸ガンなど大腸ガンの発生率の間に強い相関がが見られます。

これらについては多くのエビデンスが集められ、その結果、ガンとビタミンAの間に相関が見られました。英国では、食事でのビタミンA摂取の4分の3以上は、乳製品、肝油などビタミンスプリメント、レバー、などです。残りは、食用人参、緑黄色野菜、などからもたらされ、ビタミンAは、カロチン、もしくはカロチノイドから腸管でビタミンAに転換されます。アフリカの国々ではビタミンA供給源としてパーム油が用いられ、野菜類が主なビタミンAの供給源です。

次に、ビタミンAは、上皮組織の成長と分化に重要で、動物でのビタミンA欠乏症は、呼吸器、膀胱、大腸、胃などでの種々の化学的発ガンに対する感受性を高めることが確認されています。動物での多くの研究では、天然レチノイド(ビタミンA)は、化学物質やウイルスによるガンを阻害したり、ガンの退縮をもたらします。そして、更なる研究が期待されます。

References
George E. Berkley. Cancer:How to prevent it &How to help  your doctor fight it. 1978 by Prentice-Hall, Inc

ビタミンAとガンの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-04 20:39:34 | 健康・病気
以前から、ガンとビタミンA(肝油や人参などに含まれる栄養素)関係については、多くの研究報告があります。"The lancet,"誌によると、血清ビタミンA(レチノール)値が低いと、肺ガンの危険率が高まり、肺ガン患者の血清レチノール値は低く、血清レチノール値は血清レチノール結合蛋白質(RBP)と亜鉛(牡蠣など貝類に含まれる栄養素)の血清値に著しく関係していた。なお、ビタミンAは、レチノールの形で循環系に入り、特異的運搬蛋白質のRBPに結び付きます。動物実験では、栄養素の亜鉛がRBPの合成に関与し、肝臓からのレチノールの動員に必要である事が示されています。亜鉛はガン代謝に重要な役割を演じ、急速に増殖しているガンは、からだの亜鉛要求量を高める、と考えられます。そして、食事性の亜鉛が少ない場合、血清亜鉛値が低下し、RBP値とレチノール値の減少をもたらす。ガンが発症する前に血清レチノール値が低いと、ガンの発症をもたらすに違いない。

ビタミンAの欠如が肺ガンの進行を促進させるかどうかは明確ではないが、ビタミンAの欠如は気管支粘膜細胞の分化に直接影響し、その分化とガン化をもたらします。しかし、細胞媒体反応によって、免疫作用がいくらか見られます。肺ガンと喫煙の間には強い相関があるにも関わらず、重度の喫煙者の中には肺ガンに罹らない人がいます。おそらく、彼らがビタミンAと亜鉛、それにビタミンCを食事で多く摂取していることが、その理由である可能性が強い、と考えられます。更なる研究の積み重ねが期待されます。

References
Alex Sakura. VitaminA and Cancer. The Lancet. Vol2, Page1029~1030,Nov8, 1980
David E. Ong. VitaminA and Cancer. VitaminS &Hormones. Vol40,1983,Page105-144
A Paganini-Hill. VitaminA,beta-carotene, and the risk of cancer. J Natl Cancer Inst.1987 Sep;79(3):443-8
VitaminA studied as possible preventive agent against cancer. NCL CAM Annual Report-FY10





マウス腹水ガンでの細胞分裂活性に及ぼすビタミンC+ビタミンB12(シアノコバラミン)の阻害作用について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-02 11:49:09 | 健康・病気
M.E ポイドイック博士らの研究によると、移植マウスガンの腹水ガンタイプのザルコーマ37、クレブスおよびエールリッヒ腹水ガンなどにビタミンC+ビタミンB12の混合物を治療に用いると、ガン細胞分裂が阻害され、著明な副作用も認められませんでした。なお、これらのビタミンは、同量を単独投与すると、ガン細胞の分裂、あるいはガン細胞の維持には明らかな阻害作用は見られませんでした。また、これらのビタミン混合物で治療したマウスから採取した腹水を染色し、顕微鏡で調べてみると、ガン細胞は少しも発見されず、リンパ球、単球、好中球などの増多が著明であった。また、後の実験では、ガン細胞は見つからず、単球と大食球が多かった。なお、リンパ球、単球、大食球などは、細菌、ウイルス、ガン細胞などを食べてしまう働きがあります。

in vitroでの研究では、ビタミンCとビタミンB12の混合物は、ザルコーマ37組織、エールリッヒ腹水ガン組織、L1210白血病組織では、細胞分裂を阻害するが、非腫瘍性L929線維芽細胞の分裂には影響を与えなかった。次に、in vivoでの研究では、5日連続でビタミンC+ビタミンB12の混合液で治療した後の細胞分裂数と細胞容積(ml)は、エールリッヒ腹水ガン、ザルコーマ37ガン、クレブスガン共に、対照に比べてガン細胞は認められず、ガン細胞分裂も認められず、それらのガン細胞は崩壊の段階にあるようです。しかし、リンパ球、好中球、単球は認められた。実験の終わりには、それぞれガン細胞は認められず、単球と大食球が腹水液中に見出された。

ビタミンCとビタミンB12を種々の投与量で与え、治療した担ガンマウスの細胞分裂指数では、両ビタミンは別々に投与されたけれども、混合製剤としてビタミンCとビタミンCカルシウムを340mg/kg、それにビタミンB12を20mg/kgを投与された。少量投与では、ビタミンCもビタミンB12もそれぞれ細胞分裂では、明らかな効果は認められなかった。しかし、ビタミンCを800mg/kg投与すると、細胞分裂は阻害された。また、ビタミンCを1,600mg/kg投与すると、マウスに対し有害であった。これらの結果から、ビタミンCとビタミンB12の混合物が宿主のマウスの免疫能を高める可能性が示唆されます。なお、それぞれのビタミン投与では、ビタミンCの800mg/kg投与群が、エールリッヒ腹水ガンのガン細胞分裂数が少なく、ビタミンB12の20mg/kg投与群は、対照に比べガン細胞分裂数にほとんど変化は見られなかった。これらの結果から、ビタミンB12の混合投与と単独投与では、ビタミンB12の効果は異なることが考えられますが、更なる研究の積み重ねが求められます。

References
M.Eポイドック.Experimental Cell Biology.Vol47. 210~217 1979 


各種栄養素、外因性化学物質とガンとの関係について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2024-10-01 17:19:30 | 健康・病気
栄養素や食品添加物などとガンの発症の関係については、数多く研究され、報告されています。栄養素のビタミンCは、漬物やハムの発色剤の亜硝酸と、摂取した医薬品との化学反応によるガン原性物質ジメチルニトロソアミンを阻害し、また、ミネラル栄養素のセレニウム(セレン)はガンに対し、ある程度、防御力を有する可能性があることが、疫学的研究や実験的研究から示唆されます。しかし、これらの研究の多くでは、セレンを毒性値近くまで用いており、栄養として、摂取する量を遙かに超えています。栄養素鉄イオンの欠乏も間接的に上部消化器ガン(胃ガン)の発症に結び付く可能性があると研究、報告されています。亜鉛イオンは、濃度と実験条件を変えることにより、発ガン現象を強めたり、妨げたりすることが動物実験から示唆されます。モリブデンの欠乏は、食道ガンの危険率の増大をもたらし、ヨウ素の過剰摂取と欠乏は、甲状腺腫の危険率の増大をもたらす可能性がある、と報告されています。

これらのミネラル栄養素は、摂取する場合、過剰摂取した場合、腎臓に負担をかけたり、ビタミンCやビタミンB群のビタミンのように、すぐに排泄されず、蓄積され、過剰摂取の場合、毒性が強い可能性があります。

また近年、食品に含まれる危険な外因性化学物質の多くに関心が持たれています。これらは、食品自身の危険な成分、環境性汚染物質、料理中の生じた変異原性物質、それに、人工色素、人工甘味料、防腐剤などの食品添加物などです。また、近年の超加工食品の使用の著しい増加、それに料理習慣(ファーストフード、インスタントフード、洋食、中華料理、インド料理など)の変化による影響は、ガンの発生率の増加に関係があります。また、発ガン物質は広く食品中に分布しており、多くの野菜は、発ガン性フラボノイドを含んでおり、煮たりしてその毒性を減らす事ができます。発ガン活性は、コーヒー、茶、それにアルコール飲料など多くの食品からの抽出物中で観察されます。発ガン物質は、肉や魚などの蛋白質の高温による熱分解により生じます。米国での研究によると、低温処理による料理は、発ガン物質の産生をもたらす可能性があります。そして、食品中に見出される変異原性物質の多くは、発ガン活性をテストされていないし、変異原性物質が発ガン物質であることを暗示する証拠が増えつつあります。更なる研究が期待されます。

References
L. Pauling, E.Cameron. Cancer and VitaminC. 1979 by Linus Pauling Institute of Science and Medicine
richard A. Kunin. Mega Nutrition 1980 John L. Hochman Books
George E. Berkley. CANCER. How to prevent it&How tohelp your doctor fight it. 1978 by Prentice-Hall,Inc.