茂木 「新三〇年ビジョン」の中でも、
脳型コンピュータ実現のための
コンセプトを語っておられましたが、
まさしく今のお話に通じるものですね。
コンピュータと人間の一番の違いは、
「直観を持つか持たないか」です。
コンピュータは、最初に
あらゆる手を検索してから
最善の手を導き出しますが、
人間はまず直観ありき。
そのあとでロジックを
積み重ねていきます。
だからもし、将来的に
コンピュータにビジョンや
直観を持たせることができたら、
脳型コンピュータが実現する
可能性もあると思うんです。
孫 将棋の羽生善治名人なんかも、
「最初に右脳で考える」
ということをおっしゃっていますよね。
茂木 僕は脳科学者としての立場からも、
この一〇年の情報革命を
おもしろく見ていて、
非常に幸運な時代を
生きていると思うんですが、
この時代において興味深い特徴は、
「変人が世界を変えている」
ということなんです。
ビル・ゲイツさんにしても
スティーブ・ジョブズさんにしても、
確かにすばらしい才能に満ちた
人物たちですけど、一方では
日常生活のいろんなことに
無頓着で変人でもある。
でも、そういう人物たちが
成功する時代というのは、
文明史的にも非常におもしろい
と思うんですよ。
孫さんご自身、当然、変人的な
面があると思うんですが(笑)
ご自分ではどこが一番
変わっていると思います?
孫 どこですかねぇ(笑)
一見無茶だと思えるような
高いゴールをガーンと設定して、
そこに無理やりみんなを
連れていこうとするところですかね。
茂木 なるほど。
きっと周りの方から見ると、
もっといっぱい出てくると
思うんですけど(笑)、
脳科学の立場からすると
「才能」とは一種の偏りです。
あるところはすごい突出しているけれど、
他はもう全然ダメ、という人が
いま歴史をつくっているわけです。
孫 技術競争の世界を見ても、
日本は一番、欠陥商品や
不具合に対して厳しい国民です。
アメリカ人が
「新しくておもしろくて魔法のような商品」
を求める気質に対して、日本人は
ちょっとでも傷があろうものなら
「欠陥品だ!」と怒って乗り込んでくる。
でも「いささかの欠陥もない」
ことばかりを優先していては、
世界から引き離されてしまいます。
茂木 いわゆる、ガラパゴス化ですね。
孫 商品やサービスにおける
安心安全は大切ですが、
一方で挑戦し続ける姿勢も
大切ではないでしょうか。
何事もデビューのときには、
失敗がつきもの。
やってみて「やっぱりダメ」
なこともある。
そういう、やんちゃな部分なしに
保守的になりすぎると、
打つ手打つ手が遅れがちになってしまう。
茂木 僕もiPad使っていますけど、
これはもう人間の
エクスペリエンス(経験値)
を変えましたね。
もはやパソコンが古く
感じてしまうんですよ。
孫 さすがスティーブ・ジョブズですよ。
今から五〇〇年後くらいには、
スティーブ・ジョブズは
レオナルド・ダ・ヴィンチと並び
称される存在になっていると思います。
彼はビジネスマンとしての
才覚もさることながら、それ以上に
アーキテクト(設計者、創造者)ですよね。
人々のライフスタイルを変えたアーキテクト。
脳型コンピュータ実現のための
コンセプトを語っておられましたが、
まさしく今のお話に通じるものですね。
コンピュータと人間の一番の違いは、
「直観を持つか持たないか」です。
コンピュータは、最初に
あらゆる手を検索してから
最善の手を導き出しますが、
人間はまず直観ありき。
そのあとでロジックを
積み重ねていきます。
だからもし、将来的に
コンピュータにビジョンや
直観を持たせることができたら、
脳型コンピュータが実現する
可能性もあると思うんです。
孫 将棋の羽生善治名人なんかも、
「最初に右脳で考える」
ということをおっしゃっていますよね。
茂木 僕は脳科学者としての立場からも、
この一〇年の情報革命を
おもしろく見ていて、
非常に幸運な時代を
生きていると思うんですが、
この時代において興味深い特徴は、
「変人が世界を変えている」
ということなんです。
ビル・ゲイツさんにしても
スティーブ・ジョブズさんにしても、
確かにすばらしい才能に満ちた
人物たちですけど、一方では
日常生活のいろんなことに
無頓着で変人でもある。
でも、そういう人物たちが
成功する時代というのは、
文明史的にも非常におもしろい
と思うんですよ。
孫さんご自身、当然、変人的な
面があると思うんですが(笑)
ご自分ではどこが一番
変わっていると思います?
孫 どこですかねぇ(笑)
一見無茶だと思えるような
高いゴールをガーンと設定して、
そこに無理やりみんなを
連れていこうとするところですかね。
茂木 なるほど。
きっと周りの方から見ると、
もっといっぱい出てくると
思うんですけど(笑)、
脳科学の立場からすると
「才能」とは一種の偏りです。
あるところはすごい突出しているけれど、
他はもう全然ダメ、という人が
いま歴史をつくっているわけです。
孫 技術競争の世界を見ても、
日本は一番、欠陥商品や
不具合に対して厳しい国民です。
アメリカ人が
「新しくておもしろくて魔法のような商品」
を求める気質に対して、日本人は
ちょっとでも傷があろうものなら
「欠陥品だ!」と怒って乗り込んでくる。
でも「いささかの欠陥もない」
ことばかりを優先していては、
世界から引き離されてしまいます。
茂木 いわゆる、ガラパゴス化ですね。
孫 商品やサービスにおける
安心安全は大切ですが、
一方で挑戦し続ける姿勢も
大切ではないでしょうか。
何事もデビューのときには、
失敗がつきもの。
やってみて「やっぱりダメ」
なこともある。
そういう、やんちゃな部分なしに
保守的になりすぎると、
打つ手打つ手が遅れがちになってしまう。
茂木 僕もiPad使っていますけど、
これはもう人間の
エクスペリエンス(経験値)
を変えましたね。
もはやパソコンが古く
感じてしまうんですよ。
孫 さすがスティーブ・ジョブズですよ。
今から五〇〇年後くらいには、
スティーブ・ジョブズは
レオナルド・ダ・ヴィンチと並び
称される存在になっていると思います。
彼はビジネスマンとしての
才覚もさることながら、それ以上に
アーキテクト(設計者、創造者)ですよね。
人々のライフスタイルを変えたアーキテクト。