先程、病院に併設された老人施設に家族で行ってきました。
うちのばーちゃん、誕生日なので。
なんと、御歳101歳!
去年は、総理大臣から、賞状と銀杯を頂きました。

病名の付くような病気もなく、
強いて言うなら、老衰と認知症。
今では寝たきりで、目も時々しか開けません。
何かしゃべっても、全っ然理解不能。
「おばあちゃん、元気?」
と言われれば、
「はい、寝たきりですけど健康です。」
と答えるしかない。
施設の人は今日、みんなばーちゃんの元を訪れ、
手を握ってご利益を祈願したらしい。
生き神様扱いである。
しかし、ばーちゃんと同室のおばあちゃんがおもしろかった。
ものっすごい大声でしゃべっていらっしゃる。
「むすこがころされたー」
「かぞくもころされたー」
「だれかはやくむかえにきてくれー!」
などなど。
突然始まるので、ちょっとビックリする。
すごいシュール。
本当はもっと近づいて、ゆっくり話を聞きたかったな。
不謹慎だと怒る人もいるかもしれないけど、違う世界に行ってしまったおじいちゃんおばあちゃんの話は、とっても突拍子もなくて、想像力豊かで、おもしろいのだ。
昔、寝る前にわくわくしながらお話を聞いたのを思い出す。
宇宙の話みたいだ。
ちょっとリアルだし。
ばーちゃんがまだ歩けた頃、オートロックの隔離病棟に入っていた。
そこの人達はものすごくおもしろかった。
妹と、「おほほばあちゃん」と呼んでいたおばあちゃんは、
正座したまま手だけでスススーっと床を進む。
そして、真顔のまま、
「おほほほほー」
と笑い声?を発しながら進むのだった。
またある日は、ばーちゃんを遠くから眺めていた私を、1人のおばあちゃんがビシッと指差して叫んだ。
「あんたの隣に猫が死んどる!」
ええっ?と思わず横を見たけど、まぁいるわけないわな。
おばあちゃんは続けた。
「もう警察呼んだで、安心して出といで!」
ハ、ハイ…ありがとー…とお礼を言う私を見て、スタッフの方が笑っていた。
「わしの部屋はどこだったかのう~」
と尋ねてくるおじいちゃんもいる。
「えー分からんなー、おじいちゃん名前なんていうのー?」
と聞き返すと、
「はー、なんだったかの~」
ああ、コントだ、ドリフのコントだ…。
別に馬鹿にしてるわけじゃないよ。
おばあちゃんたちは純粋に、私を驚かせてくれるし、笑わせてくれる。
想像もできないような話を聞かせてくれる。
ボランティアで同じような施設に行ったことがあるけど、実際お世話をすることは大変だし、私のようなこんな悠長なこと言ってらんないだろう。
イライラもする。
ばーちゃんが家にいた時は、私もしょっちゅうブチ切れた。
でも、すっとんきょうな話はやっぱり楽しかった。
常識に囚われた私たちには、絶対にできない話。
ボキャブラリーの増えた子供だ。
おばあちゃんたちにとって、世界はどんなだろう。
何色で、どんな音がするんだろう。
などと毎回考えてしまう、ばーちゃんのお見舞いであります。