(2001/サンドラ・ネットルベック監督・脚本/マルティナ・ゲデック、セルジオ・カステリット、ウルリク・トムセン サム、マクシメ・フェルステ/105分)
只今劇場公開中のアメリカ映画、「幸せのレシピ」の元作品がコレ。先月、タイミング良くNHK-BSで放送されたので録画していたものの鑑賞です。ドイツ映画は個人的には非常に珍しく、過去のドイツ映画を思い出そうとしてもタイトルが出てきません。
マーサ(ゲデック)は、10人程のスタッフを抱えるレストランの女性シェフ。独身で、自分の仕事に自信を持っており、客のクレームにも強気で応じる為、女性オーナーには精神科でセラピーを受けることを義務付けられている。残念ながら、本人にはセラピーを受ける理由が思い当たらないようだが。
ある日、忙しく働いている厨房のマーサに電話が入る。それはシングル・マザーの姉が小学生の娘を同乗させて運転中に、交通事故を起こしたというものだった。病院に着くと、姉は既に死亡。怪我でしばらく入院する事になった姪のリナ(フェルステ)は、ベッドの上でマーサから母親が亡くなったことを聞く。
リナの父親はジュゼッペという名前のイタリア人としか分からず、マーサはジュゼッペが見つかるまでリナを預かることになる。
レストランのスタッフには臨月間近い女性もおり、マーサの事情も考えて、女性オーナーはイタリア人のマリオ(カステリット)という料理人を新たに雇う。マリオは厨房にカンツォーネを流す陽気なイタリアンだが、マーサは気に入らない。スタッフの選定についてはマーサの“専権事項”という約束も反故にされ、彼に辛く当たるマーサ。なかなかうち解けないマーサに、ついにマリオは『誘ってくれる店はいくつもある。ヤメテ欲しいのならそう言ってくれ。嫌われてまで居たくない。』と言い、他のスタッフの手前、マーサはマリオを引き留めることになる。
一方、退院後のリナは、家に帰りたいだの、ジュゼッペを早く探してだのと我が儘なことを言い、食事もなかなか摂ろうとしない。アパートに独り置いておくことも出来ず、マーサは放課後の彼女を厨房に連れてくることにするのだが・・・。
以前観た「電話で抱きしめて」にも書いたけど、女性の脚本、演出の作品には、時に色々なシチュエーションを持ち込もうとしてストーリーの軸がぶれる作品が有る。これも、そんな映画の一つでした。
マーサとマリオの関係。マーサとリナの関係。メインはこの二つなんだけど、それは途中で理想的な結びつきを見せるかと思いきや、その後またもや二つの軸に別れてしまい、勿体ないなぁという印象。マーサのアパートの、階下の部屋の独身男性の扱いには想定外の匂いもしてくるが、結局は想定内だったという結末でした。
そして、終盤のつめが甘いのも残念でした。
▼(ネタバレ注意)
「終盤のつめが甘い」というのは、ジュゼッペが終盤でいきなりリナを迎えに来るんですが、マーサがリナをあっさりとジュゼッペに渡す所です。マーサのリナに対する愛情がどれくらいなのかを推し量るのに最適なシチュエーションなのに、その辺のストーリーが抜け落ちている感じがしました。
ジュゼッペとマーサの姉との関係はどんなものだったのか、ジュゼッペには家庭もあるようなのに、リナを引き取ることになった裏にあったはずの葛藤らしきものにも一切触れていない。マーサとリナの関係を描くのに、こういう部分は重要だと思うのですが、この辺が曖昧なのはつまらないです。いちいち見せなくてもいいけど、台詞か何かで暗示でも与えてもらえれば良かったのですが。
そういえば、どのようにしてジュゼッペを見つけだしたのかもよく分からなかったですね。
面白いなと思ったのは、マーサの姉の事故の描き方。
病院のリナを見舞った後、アパートに帰ったマーサが留守電のメッセージを再生すると、聞こえてきたのが姉の声。それは、リナの学校での先生との面談が長引き、そちらに着くのが遅くなると言う伝言でした。生きていた姉の最期の声。マーサの気持ちを描く事により、事故の残酷さが表現されていました。
それと、食事をなかなか摂ってくれないリナが、マーサの厨房で、マリオの巧みな誘導でスパゲティを食べるというシーンも感動的でした。
▲(解除)
主演のマルティナ・ゲデックは、本作でドイツ映画賞の主演女優賞に輝いたとのこと。
この時、37歳くらい。美人で色気もあり、官能的な役も出来そうなスタイルでした。97年には「悦楽晩餐会/または誰と寝るかという重要な問題」なんていう凄いタイトルの作品にも出ていますが、中身は真面目なものらしいです。そして、2006年の評判作「善き人のためのソナタ」にも主演している。これは是非とも見なければ。
セルジオ・カステリットは、2002年のヨーロッパ映画賞で男優賞を受賞、サンドラ・ネットルベック監督は、今回が劇場映画デビューとのことでした。
只今劇場公開中のアメリカ映画、「幸せのレシピ」の元作品がコレ。先月、タイミング良くNHK-BSで放送されたので録画していたものの鑑賞です。ドイツ映画は個人的には非常に珍しく、過去のドイツ映画を思い出そうとしてもタイトルが出てきません。
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マーサ(ゲデック)は、10人程のスタッフを抱えるレストランの女性シェフ。独身で、自分の仕事に自信を持っており、客のクレームにも強気で応じる為、女性オーナーには精神科でセラピーを受けることを義務付けられている。残念ながら、本人にはセラピーを受ける理由が思い当たらないようだが。
ある日、忙しく働いている厨房のマーサに電話が入る。それはシングル・マザーの姉が小学生の娘を同乗させて運転中に、交通事故を起こしたというものだった。病院に着くと、姉は既に死亡。怪我でしばらく入院する事になった姪のリナ(フェルステ)は、ベッドの上でマーサから母親が亡くなったことを聞く。
リナの父親はジュゼッペという名前のイタリア人としか分からず、マーサはジュゼッペが見つかるまでリナを預かることになる。
レストランのスタッフには臨月間近い女性もおり、マーサの事情も考えて、女性オーナーはイタリア人のマリオ(カステリット)という料理人を新たに雇う。マリオは厨房にカンツォーネを流す陽気なイタリアンだが、マーサは気に入らない。スタッフの選定についてはマーサの“専権事項”という約束も反故にされ、彼に辛く当たるマーサ。なかなかうち解けないマーサに、ついにマリオは『誘ってくれる店はいくつもある。ヤメテ欲しいのならそう言ってくれ。嫌われてまで居たくない。』と言い、他のスタッフの手前、マーサはマリオを引き留めることになる。
一方、退院後のリナは、家に帰りたいだの、ジュゼッペを早く探してだのと我が儘なことを言い、食事もなかなか摂ろうとしない。アパートに独り置いておくことも出来ず、マーサは放課後の彼女を厨房に連れてくることにするのだが・・・。
*
以前観た「電話で抱きしめて」にも書いたけど、女性の脚本、演出の作品には、時に色々なシチュエーションを持ち込もうとしてストーリーの軸がぶれる作品が有る。これも、そんな映画の一つでした。
マーサとマリオの関係。マーサとリナの関係。メインはこの二つなんだけど、それは途中で理想的な結びつきを見せるかと思いきや、その後またもや二つの軸に別れてしまい、勿体ないなぁという印象。マーサのアパートの、階下の部屋の独身男性の扱いには想定外の匂いもしてくるが、結局は想定内だったという結末でした。
そして、終盤のつめが甘いのも残念でした。
▼(ネタバレ注意)
「終盤のつめが甘い」というのは、ジュゼッペが終盤でいきなりリナを迎えに来るんですが、マーサがリナをあっさりとジュゼッペに渡す所です。マーサのリナに対する愛情がどれくらいなのかを推し量るのに最適なシチュエーションなのに、その辺のストーリーが抜け落ちている感じがしました。
ジュゼッペとマーサの姉との関係はどんなものだったのか、ジュゼッペには家庭もあるようなのに、リナを引き取ることになった裏にあったはずの葛藤らしきものにも一切触れていない。マーサとリナの関係を描くのに、こういう部分は重要だと思うのですが、この辺が曖昧なのはつまらないです。いちいち見せなくてもいいけど、台詞か何かで暗示でも与えてもらえれば良かったのですが。
そういえば、どのようにしてジュゼッペを見つけだしたのかもよく分からなかったですね。
面白いなと思ったのは、マーサの姉の事故の描き方。
病院のリナを見舞った後、アパートに帰ったマーサが留守電のメッセージを再生すると、聞こえてきたのが姉の声。それは、リナの学校での先生との面談が長引き、そちらに着くのが遅くなると言う伝言でした。生きていた姉の最期の声。マーサの気持ちを描く事により、事故の残酷さが表現されていました。
それと、食事をなかなか摂ってくれないリナが、マーサの厨房で、マリオの巧みな誘導でスパゲティを食べるというシーンも感動的でした。
▲(解除)
主演のマルティナ・ゲデックは、本作でドイツ映画賞の主演女優賞に輝いたとのこと。
この時、37歳くらい。美人で色気もあり、官能的な役も出来そうなスタイルでした。97年には「悦楽晩餐会/または誰と寝るかという重要な問題」なんていう凄いタイトルの作品にも出ていますが、中身は真面目なものらしいです。そして、2006年の評判作「善き人のためのソナタ」にも主演している。これは是非とも見なければ。
セルジオ・カステリットは、2002年のヨーロッパ映画賞で男優賞を受賞、サンドラ・ネットルベック監督は、今回が劇場映画デビューとのことでした。
・お薦め度【★★=悪くはないけどネ】
ひとことで言えば、残念ながら“よろず中途半端”かなぁ。
十瑠さん!偶然グーちゃん!^^
>「悦楽晩餐会/または誰と寝るかという重要な問題」!
わたし、観た、一昨日。。。
ほんと、真面目に面白い映画だったのよ、これ!
これの広告コピー、知ってる?
「金髪娘を召し上がれ~」って言うの。
全然!全く!そんな感じの内容じゃにゃぁ~~~い!
ま、もんのすご~く“ええ~オナゴ&生唾ゴックン金髪娘”は確かに出てるけんども♪
(十瑠さん、これ観てみて~オススメよ~)^^
マルティナさんは「悦楽~」でもキレイで色っぽかった、黒い下着じゃった♪
「善き人の~」は必見ぞなもし。
でもね。
「マーサの~」の時のマルティナさんが一番キレイに撮られていたように私は思うの。
カステリットの横顔・・・J・タトゥーロの縁者かや?(笑)
ま、私の場合、★だけが「お薦めしない」のであって、★★は「観ても損はない」という範疇なんですけどね。
>黒い下着じゃった♪
ですか♪
この映画じゃ、白いおパンティでしたネ。
階下の男もそうですが、おつきあい仲間なのかな?と思い込んでいました。
最後のハッピーエンドはかなり急ぎすぎた感はありますが、この脚本が描きたかったのは、姉をうしなった苦悩、およびいきなり母とならねばならない戸惑い、かつ自分とは温度の違う空気をまとっている男との葛藤ではなかったかと思うので、リナの父親に関しては仔細を語らずだったのでしょう。
ようするに、その男はマーサのこころに踏み込んできそうもない立場だったので軽く扱ったと。
女性だからそうしたのかな、とも思いますね。
留守番電話のシーンはたしかに印象的で、おもわず涙が浮かんでしまったところでした。
私としては満足しています。こういう母子の触れあいを描いたものは好きですから。
>ようするに、その男はマーサのこころに踏み込んできそうもない立場だったので軽く扱ったと。
叔母としてはリナの今後の幸せが気になるでしょうから、“その男が何の問題もない”所を描いて欲しかったですね。その点が物足りなく思いました。