(1971/リー・H・カッツィン監督/スティーヴ・マックィーン、ヘルガ・アンデルセン、ジークフリート・ラウヒ、ロナルド・リー=ハント)
封切り時には見逃していて、74年のリバイバルで観たと思う。それでも30年ぶりの再会だ。
カー・レースを観ることはTVででもほとんどないが、そんな私でもこれは大好きな映画の一つ。ご贔屓の一人、マックィーンが出ているせいもあろうが、映画としてもとても良くできていると、再見して改めて思った。
「栄光のル・マン」という邦題も、今ならただの「ル・マン」でしょう。原題が【LE MANS】だし、“栄光の”というのがダサク聞こえるくらい、クールでプロフェッショナルな雰囲気を持った映画だから。
映画が始まってから十数分はなんのセリフもない。いわゆる、セミ・ドキュメンタリーのようなタッチで、自らレースチームを持っていたマックィーンが、フランスの耐久レース“ル・マン”にカメラを持ち込んで作った作品らしい。なんと、撮影用のポルシェを70年のレースに正式にエントリーして、24時間走りきったそうだ。なるほど納得。だからあれ程までの迫力ある映像が生まれたわけだ。観戦スタンドやコース沿いの観客の映像、色々な角度からの車の疾走シーンなどが上手く編集されていて、それだけでも見飽きることが無い。
主な登場人物は、ポルシェチームのマイク・デラニー(マックィーン)。サラ(アンデルセン)は去年のこのレースで事故死したレーサーの未亡人。マイクとも知り合いで、去年の事故にはマイクも絡んでいるようだが、詳しくは描かれていない。ポルシェと優勝を争うフェラーリチームのエーリッヒ・ストーラー(ラウヒ)はこのレースで引退する予定で、レース途中で奥さんにソレを打ち明ける。その他、ポルシェチームのマネージャーもセリフのある人物だった。
レース初日の早朝からル・マン(パリの南西約250キロのところにあるサルテ州の州都)の田舎町の様子が点描されていく。日が昇ると共に町が起き出し、レース場に車や人々が集まってくる。前夜から野宿をしている人も目を覚ます。この辺の映像の編集が素晴らしい。

会場のアナウンスがレースの説明をする。要約すると、<レースは6クラスが同時に行われ、午後四時にスタートし、翌日の午後四時までに走った距離で争われる。一台のマシンに複数のレーサーが交替で乗り、一人が続けて4時間以上運転することは出来ず、一人で延べ14時間以上運転することも許されない。直線での最高時速は350キロを越す。コースは一年の内363日は一般道として使用されている道路で、このレースの行われる二日間だけ立入禁止となる。>
ドラマらしい展開はほとんどないにもかかわらず、静かな緊迫感が持続していきます。疾走する車を地面すれすれのカメラで追っている映像は、美しいだけでなく迫力も充分。
雨用のタイヤに何時交換するかなど、技術的なことも気になるし、最後はポルシェ対フェラーリの戦いに絞られていく。カー・レースなど見ない私も、ラストのデッドヒートは手に汗握りましたな。
▼(ネタバレ注意)
レース直後から雨が降り出してスリップ事故が心配になるが、事実事故が発生します。この事故のシーンは30年経っても忘れていなかった。ただ、スローモーションを使った最初の事故はマックィーンだと思っていたので、そこは勘違いでした。夜になっても雨は止まない。一般道で普通に走っていても、夜の雨はイヤなのに、時速200キロを優に超えてるんですから、ハラハラします。
その後、マックィーンも“事故る”が、どの事故のシーンも迫力があって怖いくらいです。
フェラーリのストーラーも、奥さんに『このレースで引退する』なんて言ってるので、悲劇を予感してしまい気になります。私には、サラよりはストーラーの奥さんの方が美人に見えましたな。
事故の後、サラがマイクに尋ねる。『命を懸ける仕事は他にもあるでしょうに。他人より速く走って、それが何なの?』
『イイ加減な人生はたくさんある。レーサーは走っている時は真剣勝負だ。そして、それ以外は待ち時間なのさ。』とマイクは答える。カッコ良すぎる。本当はレーサーだって、“待ち時間”に色んな鍛錬をしているんだが、確かに他のスポーツとは一線を引かざるを得ない、命がけの仕事ではあるような気がする。
▲(解除)
監督以下この映画のスタッフは、この映画以外にはあんまり聞かない。マックィーンのソーラー・プロが製作したらしいので、実質マックィーンの映画と言っていいのかも知れません。目立ちませんが、音楽はミシェル・ルグランです。
マックィーンは同じ年に「栄光のライダー」という、コチラはバイク・レースのドキュメンタリーを作っている。この時41歳。何か思うところがあったんですかねえ。わずかこの9年後、50歳の若さでこの世を去ってしまった。
これ以外に知っているカー・レース映画は、J・フランケンハイマーの「グラン・プリ(1966)」とか、P・ニューマンが製作・主演した「レーサー(1969)」。そして「モンテカルロ・ラリー(1969)」はケン・アナキンのドタバタコメディですな。いずれも未見です。

カー・レースを観ることはTVででもほとんどないが、そんな私でもこれは大好きな映画の一つ。ご贔屓の一人、マックィーンが出ているせいもあろうが、映画としてもとても良くできていると、再見して改めて思った。
「栄光のル・マン」という邦題も、今ならただの「ル・マン」でしょう。原題が【LE MANS】だし、“栄光の”というのがダサク聞こえるくらい、クールでプロフェッショナルな雰囲気を持った映画だから。
映画が始まってから十数分はなんのセリフもない。いわゆる、セミ・ドキュメンタリーのようなタッチで、自らレースチームを持っていたマックィーンが、フランスの耐久レース“ル・マン”にカメラを持ち込んで作った作品らしい。なんと、撮影用のポルシェを70年のレースに正式にエントリーして、24時間走りきったそうだ。なるほど納得。だからあれ程までの迫力ある映像が生まれたわけだ。観戦スタンドやコース沿いの観客の映像、色々な角度からの車の疾走シーンなどが上手く編集されていて、それだけでも見飽きることが無い。
主な登場人物は、ポルシェチームのマイク・デラニー(マックィーン)。サラ(アンデルセン)は去年のこのレースで事故死したレーサーの未亡人。マイクとも知り合いで、去年の事故にはマイクも絡んでいるようだが、詳しくは描かれていない。ポルシェと優勝を争うフェラーリチームのエーリッヒ・ストーラー(ラウヒ)はこのレースで引退する予定で、レース途中で奥さんにソレを打ち明ける。その他、ポルシェチームのマネージャーもセリフのある人物だった。
レース初日の早朝からル・マン(パリの南西約250キロのところにあるサルテ州の州都)の田舎町の様子が点描されていく。日が昇ると共に町が起き出し、レース場に車や人々が集まってくる。前夜から野宿をしている人も目を覚ます。この辺の映像の編集が素晴らしい。

会場のアナウンスがレースの説明をする。要約すると、<レースは6クラスが同時に行われ、午後四時にスタートし、翌日の午後四時までに走った距離で争われる。一台のマシンに複数のレーサーが交替で乗り、一人が続けて4時間以上運転することは出来ず、一人で延べ14時間以上運転することも許されない。直線での最高時速は350キロを越す。コースは一年の内363日は一般道として使用されている道路で、このレースの行われる二日間だけ立入禁止となる。>
ドラマらしい展開はほとんどないにもかかわらず、静かな緊迫感が持続していきます。疾走する車を地面すれすれのカメラで追っている映像は、美しいだけでなく迫力も充分。
雨用のタイヤに何時交換するかなど、技術的なことも気になるし、最後はポルシェ対フェラーリの戦いに絞られていく。カー・レースなど見ない私も、ラストのデッドヒートは手に汗握りましたな。
▼(ネタバレ注意)
レース直後から雨が降り出してスリップ事故が心配になるが、事実事故が発生します。この事故のシーンは30年経っても忘れていなかった。ただ、スローモーションを使った最初の事故はマックィーンだと思っていたので、そこは勘違いでした。夜になっても雨は止まない。一般道で普通に走っていても、夜の雨はイヤなのに、時速200キロを優に超えてるんですから、ハラハラします。
その後、マックィーンも“事故る”が、どの事故のシーンも迫力があって怖いくらいです。
フェラーリのストーラーも、奥さんに『このレースで引退する』なんて言ってるので、悲劇を予感してしまい気になります。私には、サラよりはストーラーの奥さんの方が美人に見えましたな。
事故の後、サラがマイクに尋ねる。『命を懸ける仕事は他にもあるでしょうに。他人より速く走って、それが何なの?』
『イイ加減な人生はたくさんある。レーサーは走っている時は真剣勝負だ。そして、それ以外は待ち時間なのさ。』とマイクは答える。カッコ良すぎる。本当はレーサーだって、“待ち時間”に色んな鍛錬をしているんだが、確かに他のスポーツとは一線を引かざるを得ない、命がけの仕事ではあるような気がする。
▲(解除)
監督以下この映画のスタッフは、この映画以外にはあんまり聞かない。マックィーンのソーラー・プロが製作したらしいので、実質マックィーンの映画と言っていいのかも知れません。目立ちませんが、音楽はミシェル・ルグランです。
マックィーンは同じ年に「栄光のライダー」という、コチラはバイク・レースのドキュメンタリーを作っている。この時41歳。何か思うところがあったんですかねえ。わずかこの9年後、50歳の若さでこの世を去ってしまった。
これ以外に知っているカー・レース映画は、J・フランケンハイマーの「グラン・プリ(1966)」とか、P・ニューマンが製作・主演した「レーサー(1969)」。そして「モンテカルロ・ラリー(1969)」はケン・アナキンのドタバタコメディですな。いずれも未見です。
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】 

マックイーンは大好きですが、この映画は未見なんです。リアルタイムのころはレースっていうものに興味がなかったんですよね。当時映画雑誌「スクリーン」の読者が選ぶ年間ベスト10映画の第3位に選ばれていましたっけ。この記事を読まさせてもらい、「う~~ん、面白そう。見てみようっと」と思いました。
人気男優はマックィーンとアラン・ドロンが双璧だったのは、なんとなく記憶にあります。
でも今見てよかったのかも。公開当時に見ても、カーレースにはあまり興味もなかったし・・
こうした静かな大人の感じにはピンと来なかったかも・・
今になって見て正解・・かな
さっき、お邪魔してコレがアップされていたので、取り急ぎこちらに駆けつけました。ということは、anupamさんちに先に行ったということですね。ハハッ!
そうそう、映画も本と同じで、タイミングがありますよね。
もともと、「グラン・プリ」に出たくて監督に売り込んだのに拒否されたので、じゃあ自分で作ってしまえ、という感じで製作されたらしいですけど・・・自分で作って大正解!って感じでしたね。
リサとの関係も大人の雰囲気で素敵でした。
ちなみにストーラーの奥さんは、アシュレイ・ジャッドにどことなく似てるなあ・・・と思いました。
ストーラーの奥さんの顔忘れてしまいましたが、美人と書いているので、多分似ていたのでしょう。(^^)
>「グラン・プリ」に出たくて監督に売り込んだのに拒否されたので・・・
そういえば、フランケンハイマーの映画には出てないような気がしますね。相性が悪かったのかな?
プロトタイプの貫禄ある姿には本当に痺れたものです。残念至極。
本作はドキュメンタリー・タッチの映像が全く古びず、今観ても断然格好良いですね。
所謂サーキット系のレース映画には、ハワード・ホークスの「レッドライン7000」(1966年)というのもありますよ。
ホークスが1932年に作った「群衆の歓呼」というレース映画も観たことがありますが、お話は大同小異です。
そうですか。2003年に終了したんですか。
あげられたホークス作品と、「グランプリ」は未だに未見ですね。
観ても「ル・マン」を越えるかどうかは甚だ疑問ですが^^