::: テアトル十瑠 :::

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

ゲット・ア・チャンス!

2006-11-30 | サスペンス・ミステリー
(2000/マレク・カニエフスカ監督/ポール・ニューマン、リンダ・フィオレンティーノ、ダーモット・マローニー/88分)


 高校時代にプロムの女王だったキャロル(フィオレンティーノ)は、同じくキングだったウェイン(マローニー)と結婚。今は二人とも介護士として同じ老人ホームで働いている。さすがにハイティーンの頃のような無茶はしてないが、子供はいない。
 ある日、老人ホームに刑務所から一人の車椅子の老人が運ばれてくる。脳卒中で殆ど意識が無いその男の名はヘンリー(ニューマン)。30数年間一度も捕まらずに金庫破りをやって来た男だが、最後に押し入った金庫の中で街中が停電、閉じこめられて御用となった。刑務所内のベッドが一杯な為キャロルたちの病院に運ばれてきたわけだ。
 椅子には座れるものの殆どうつむいたまま、声をかけても反応を示さないヘンリーにキャロルは興味を持つ。どこかクサイ。芝居ではないのか。リハビリにと休日にウェインと一緒にヘンリーを連れ出したキャロルは、いちかばちか車椅子ごとヘンリーを川に突き落とすのだった・・・。

 製作にリドリー・スコットトニー・スコットが絡んでおり、キャロルがヘンリーに銀行強盗をやろうと言い出すところは「テルマ&ルイーズ」のような悲劇に終わるのかとも思いましたが、ポール・ニューマンがいますのであんなやりきれない話にはなりませなんだ。暴力描写の無い、粋な犯罪ものになっております。
 この時、ニューマン75歳。先日「明日に向って撃て!」を再見したばかりだし、この映画の初登場シーンの老人然とした姿には嬉しいやら哀しいやら、複雑な感情が湧いてしまいましたが、化けの皮が剥がれてからのポールさん、隙のない目の演技、落ち着いたセリフまわしは正にいぶし銀ちゃんでしたなぁ。

 監督のマレク・カニエフスカは初お目見えですが、デビュー作の「アナザー・カントリー(1983)」はカンヌでパルム・ドールにノミネートされたとのこと。52年生まれとの事ですから、これからまだまだ期待できそうですな。

 キャロル役のリンダ・フィオレンティーノ。名前には記憶があるんですが、はてさて何を観ていたのか?
 フィルモグラフィーを見ると、多分「ビジョン・クエスト/青春の賭け(1985)」だと思いますが、作品自体は全然覚えてない。驚いたのは、彼女が60年生まれだったこと。この時、40歳。キャロルはせいぜい30歳くらいの役だったと思うんだけどねぇ。
 大体が、セクシーな役が多い人のようです。この作品でも、仮病中のニューマンに介護士にあるまじき性的接触を試みて反応を調べたりしておりました。

 この映画で気に入ったのは音楽(マーク・アイシャム)。娯楽性豊かなBGMは、適度なサスペンスにも、軽快な語りにもベストマッチしておりました。

 原題は「WHERE THE MONEY IS」。原題も邦題もなんとかならんのかい!
 
・お薦め度【★★★★=ポールファンの、友達にも薦めて】 テアトル十瑠

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドント・ルック・バック | トップ | 大統領の陰謀 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
リンクありがとうございます♪ (kiyotayoki)
2008-09-29 22:13:55
化けの皮が剥がれてからのポールさん、
「へへ、まだもうろくしちゃいませんぜ」
って感じの演技で、嬉しくなってしまいました。
十瑠さんがお書きになっている通り、「暴力描写の無い、粋な犯罪もの」でしたよね。

マレク・カニエフスカって女優さん、「メン・イン・ブラック」の1本目に出ていませんでしたっけ。
返信する
こんばんは (十瑠)
2008-09-29 22:45:04
ポールさんが亡くなって、特集があるかも知れませんね。未見の作品もまだまだあるので、残らず録画保存したいと思っています。
この映画も面白かったのに、話題になりませんでしたねぇ。

>マレク・カニエフスカって女優さん、「メン・イン・ブラック」の1本目に出ていませんでしたっけ。

「MIB」は観たんですが、覚えてませんね。今度観るときは気をつけます。
返信する

コメントを投稿

サスペンス・ミステリー」カテゴリの最新記事