いろいろ。

同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

アリ

2003-01-03 14:35:00 | 映画-2003年

「猪木ボンバイエの方が……」

 あの、モハメド・アリの自伝映画ということで、公開当初から俺的には期待大だったのだが。
 実際に蓋を開けてみると「う~ん……」な内容だった。

 冒頭はマルコムXが登場して、ブラックムービーっぽい展開だった。
 アリ自身、公民権運動に参加していたという経緯があるので、こういう切り口で攻めていくのかな、と思っていたのだけど。
 なんか、特に深い掘り下げがあったわけでもなく、事実の経過だけを追っているカンジだった。
 特に徴兵忌避に関する部分は、結果としては無罪で終わるのだけど、ここの部分だけで一本の映画を撮れるぐらい深いテーマなんだから、もうちょっと何とかならんのかというカンジだった。

 んで、じゃあ、ボクシングのシーンに関してはというと。
 これまた、「う~ん……」だった。
 っていうか、若かりしアリがベラボーに強かったってのは誰もが知ってることなんだからさ。
 やっぱり、焦点を当てるとしたらフォアマンとの「キンシャサの奇跡」だと思うわけだよ。
 年老いて、圧倒的不利が囁かれていたアリが、リング上で滅多打ちにされながらも最後に大逆転。
 もう、『ロッキー4』を地でいくようなシーンなんだけど、ここに持っていく過程を、もっと濃密に描いても良かったような気がする。
 格闘技素人が観たら、「アリ強いんだから、勝って当たり前じゃん」で終わってしまうよ、あれじゃあ。
 まあ、『ロッキー4』で先にやられていたというのもあるんだろうけど、アリのボクシング人生の中でも、特に印象深い対戦なのだから、ここをもっと掘り下げてほしかった。
 ああ、ここで見所があるとしたら、ドン・キングが出ていたところか。
「お前、そんな昔から嫌われ者だったのかよ!?」って思わず、笑ってしまった。

 で、映画はフォアマンに勝ったところで終了。
 おいおい、何か忘れてないか?
 猪木との異種格闘技戦はどうした?
 アメリカ人的には余興に過ぎないかもしれないが、日本人的には看過できない試合だったんだぞ。
 それに現在の総合格闘技ブームの源泉を辿れば、この猪木VSアリ戦にたどり着くわけで。
 これは格闘技の歴史的にも重要な一戦だと思うのだがな。
 これが軽んじられていたのは、俺的には少し残念。

 んで、この映画を総括してみると。
 アリ自身、エピソードに事欠かない人生を送っている人物だから、切り口によっては色んな映画を撮ることができたと思う。
 それを欲張りすぎて、結局、上手くまとめきれなかったという印象が強い映画だった。 

『アリ』(ビデオ)
監督:マイケル・マン
出演:ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、ミケルティ・ウィリアムソン、他
評価:5点


最新の画像もっと見る

コメントを投稿