「ヅラが飛ぶ音はよかった」
タイトルからして期待値が低くて、公式サイトを見るにつけさらに期待値が下がる。
でも、監督は河崎実。
この人の作品は、『いかレスラー』や『コアラ課長』など奇妙な映画ばっかり撮っていて、すごく気になっていた……一度も彼の作品は見たこと無いけど。
しかも、『地球防衛少女イコちゃん』や『幕末暗婦始末記』なんかも作っているとのこと。かつて、コンプティークで「変なモン作ってるな~」と思って眺めてたけど、その「変なモン』を作ってたのが、この人だったってわけか。
じゃあ、この『ヅラ刑事』で河崎実の映像作品を見てみようか、という変な覚悟を持って観てきました。
作品としての出来にはハナっから期待してなかったけど、お笑い映像としての出来も「なんだかな~」って出来だった。
最初、この映画はテレ朝系の人情刑事物のパロディかなと思ったのよ。藤田まことがヅラ刑事に置き換わる、みたいな。
っていうか、オープニングロールの作り方とか、主題歌なんてそういう方面を明らかに狙ってるし。んで、このオープニングのところは、すごいおもしろかった。オレ的には。
でも、おもしろかったのは、ここだけかな。後は全編グダグダ。
そのグダグダのお笑いを、ユルい仕掛けお笑いと解釈しても良いけど。でも、コメディ映画はそういうもんじゃないと、オレは思ってたりする。
女ボスが意外(?)な人物で驚かせようというのも、その犯行動機も全然おもしろくなかったし。
「0勝99敗のクズ馬が天皇賞に出走する馬券を女子高生が購入する」っていうのも、真顔で「あり得ないでしょ」とツッこみたくなった。ノリでつっこむんじゃなくて。
っていうか、クソ生意気な女子高生にヘ~コラ媚びる大人たちと、図に乗るガキっていう構図もムカツクだけ。
ただ、オレ的に笑えるところもあるにはあった。
例えば、刑事たちはお互いをニックネームで呼び合うんで、「ハゲとデカチンはあっちへ、ちびとデブはこっちに」みたいなセリフはおもしろかった。
あと、たまにコントみたいな雰囲気になるシーンがあって、そこらへんの小さい芝居は素直に乗れた。なべやかんが電話をかけるところとか。
やかんつながりでは、ドクター中松がシロート丸出しの長セリフを喋るシーンがあるんだけど、あそこの芝居が出来ていないビミョーな空気は新鮮でおもしろかった。なべやかんが素で失笑を漏らすシーンはサイコーだった。
そんなわけで笑える映画っていうより、失笑が漏れる映画ってカンジかな。でも、ラストバトル辺りでは失笑するのも疲れた。
深夜で30分ドラマでまとめた方が、この映画はおもしろいんじゃないかな。
でも、上述したヤカンの失笑みたいに衝撃的なシーンもあったので、河崎実の映画は機会があればまた観たいと思った。
『ヅラ刑事』(映画館)
http://www.duradeka.com/
監督:河崎実
出演:モト冬樹、イジリー岡田、他
点数:3点
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