「奇跡体験……?」
飛行機がツッコンだワールド・トレード・センタービルで、瓦礫に生き埋めになった被害者の一昼夜の出来事をフューチャーしたもの。
『ユナイテッド93』を観れなくて悔しかったんだけど。911を題材にしてるってことで、いろいろと期待しながら観に行った。
物語は、ニコラス・ケイジをはじめとする警察官たちがビルの倒壊に巻き込まれて、救出されるまでの一昼夜を彼らと家族の視点で追いかけるというもの。
劇中では、飛行機が実際に突っ込んだシーンとか、これがテロであるということは明かされない(あくまでも当時のニュース報道で推測された部分のみ)。
このへんの作り方が興味深く、テロ発生直後には誰も出来事を把握できてなくて、むしろ楽観的にさえ考えてる警察官なども描かれていた。
どこにでもある日常に、突然、あのテロが襲いかかってきたという恐怖が、かえって生々しかった。
ただ、そのために映画としては地味。パニック映画のアクシデンタルな部分(『タイタニック』で言うところの氷山にぶつかって、船底に穴が空くシーン)がすっぽり抜けちゃってるのだ。なんか、知らないうちに巻き込まれた、みたいカンジ。
しかも、主人公のニコラス・ケイジは助ける側ではなく、助けられる側。映画は、ずっと地面に埋まったニコラス・ケイジのクロースアップばっかりになってる。
いわゆる、パニック映画みたいのを期待すると、かなり拍子抜けするだろう。
ニコラス・ケイジが埋まってる間に、同時刻の彼らの家族の慌てぶりや家族の絆なんかが丹念に描かれていく。
きっと、このへんは感動するところなんだろうな~、と思いながら観てた。
んで、最終的には除隊したはずの自称海兵隊員によって、ニコラス・ケイジたちは救出されてメデタシ、メデタシ。
まあ、とりあえず『奇跡体験アンビリーバボー』みたいな面白さみたいのはあったと思う。画としては地味だったけど。
だけど……最後のエンドロールに行く前に、善なる行為だとか悪なる行為が云々とか、あまつさえニコラス・ケイジを救った元海兵隊員が復隊してイラク戦争に馳せ参じたというコメントが出て、なんか急にげんなりした。
なんていうのか、この世知辛いアメリカ砂漠にも人情ってのはあるんだゼ! まだまだ、オレたちのアメリカも捨てたモンじゃないよな! みたいな、変なプロパガンダみたいのを感じ取ってしまったのよ。
そういう風に解釈しちゃうと、元海兵隊員はまるでジョン・ウェインに見えちゃうし、ビルに突入した勇気ある警官や被害者達の多くが元移民系ってのにも意図があるように思えちゃうし(アメリカってのはそれだけの人種が生きていて、しかも彼らを受け容れる自由の国)、ニコラス・ケイジたちの精神の拠り所はジーザスだったってのも深読みしちゃうよ(イスラム教との意図的な対比)。
このコメントを着けたのが監督のオリバー・ストーンだったのか、配給会社の意向だったのかは分からないんだけど。
でも、なんか押しつけがましいモノを感じてしまったのも事実。
テロの瞬間を描いた話なんだから、そこだけで話が終わった方が良かったんじゃないかなと思う。
まあ、これはオレが外国人で、テロの直接被害に遭ったワケじゃないからなのかもしれないけど。
『ワールド・トレード・センター』(映画館)
http://www.wtc-movie.jp/top.html
監督:オリバー・ストーン
出演:ニコラス・ケイジ、マイケル・ペーニャ、他
点数:5点
http://harmonicslife.net/Blog/2006/JimmyWalterTVAds/comm_william.wmv
アメリカでは「9.11テロの様々の疑惑」が報道番組でも議論されていますが、弱冠22歳のディラン・エイブリー監督作品が大手メディアをも巻き込み、世界中で「9/11 Truthムーブメント」現象が注目されています。この有志・自主検証映画の「LOOSE CHANGE = ルース・チェインジ」が話題なのをご存知でしょうか? 日本版DVDは12月に登場の模様で「無料ネット配信」予定もあるとの事です。
この情報に触れると「9・11映画」を更に鋭い目線で観る事になるかも知れません。最新NYタイムズ調査で28%が、911公式報告は「ほとんどウソ」と感じています…。ネット新世代が作った日本語版・検索語「LOOSEチェンジ」の海外TV紹介などは下記BBSの「9月21日」を。NHKも報じない今年の9月11日のNYでの「再調査要求デモ」の動画。
http://www.911podcasts.com/files/video/TalkingAboutaRevolution.wmv
何らかの参考になればと。 尚、送信内容やリンク先とは利害関係はありません。
http://www.wa3w.com/911/index.html
http://rose.eek.jp/911/
http://8136.teacup.com/empire/bbs
それだけにエンドロール前の、とってつけたような価値観を押しつけるメッセージが、否が応でも映画そのものにメッセージ性を持たせてしまっている、そんな気がして残念でなりませんでした。