循環無端~cycle endless~

土を耕し野菜を栽培する。栽培した野菜を発酵作用等で加工し、食す生活を夢見ています。

創作・詩「借りたら返す」Part2

2018年01月10日 07時28分19秒 | ETUDE
啓作さん(82歳)農業
一人暮らしの老人
足が不自由になって
民生委員さんが
ヘルパーを紹介した
啓作さんは
今まで自分で
できることは何でもやった
米を作り
野菜を作り
そして
包丁を砥ぎ
藁を編んで
山菜取りの時に使うバッグを作った
藁のスリッパや
ご飯が冷めにくいようにと
お櫃(ひつ)のカバーも藁で編んだ
近所の神社の草刈りも
頼まれなくてもやったし
しめ縄も
村の人がやらないので
自分で作って飾った
啓作さんの自慢は
登山囃子の太鼓を叩くこと
町の企画でフランスにも行ってきたと
アルバムを見せてくれた
その彼が続けたことは
ヘルパーさんに世話になるからと
いつもヘルパーさんの帰り際には
白菜やほうれんそうジャガイモなどの野菜を
お礼にと手渡した
「人から借りたら返すのが礼儀だ」
そう啓作さんはつぶやいた
借りるということは
自分のマイナス
気持ちが重たくなる
その重たさを軽くするために
自分のできることで返す
啓作さんの思想だ
立ち位置だ
もし人の親切を受けて
借りっぱなしだったら
貸した人は借りた人を
どう思うだろうか
あんなにしてやったのに
何にもお返しが
来ないと思うだろうか
困ったらお互いさまが
昔は隣組同士
結いというつながりもあったのだ
返せない人は
どう思うだろうか
申し訳ないと
思わない人はいないだろう
何にも返せない人は
何を返したらよいのだろうか
感謝という気持ちの表明だけで
良いのだろうか



創作・詩 「借りたら返す」

2018年01月09日 17時46分16秒 | ETUDE

日本人は形にこだわりがある。
年賀状が一番その代表だ
相手とこちらの貸し借りという気分
いただいたら返すのが当たり前
でも
そろそろあの方とは終わりにしたい
そういう思いもある方が混じってくる
相手が書いていただいたから
我が家のだれだれが死んだら
我が家のだれだれが結婚した時
我が家が隣の火事に合った時
お見舞いいただいた
香典いただいた
ご祝儀いただいた
それが借りた気分になる
借りたものは返すのが日本人の道徳観
どっかで
終わりたい慣習

創作・俳句 「新年」

2018年01月06日 12時38分07秒 | ETUDE
・元旦や祖父の孫への松葉煙

・若水を汲みてコーヒー淹れにけり

・束になり賀状はポストに鎮座する

・小豆粥胃の腑を優しく包みけり

・自らが搗きし餅入る雑煮食う

・新たなる暦に書きし初仕事

・初夢や故郷の母を見舞いけり

・書初めや太く平和と書きにけり

・鏡餅みかんを先に食いにけり

・小寒や氷柱叩きてドレミファソ

・初電話賀状の遅れ詫びて居る

・燈明を雪の祠に点けにける

・新たなる日記に記す決意かな

・この年も自分ギネスを更新す

・佳きことも悪しきことをもこの一年

・散髪を終えてこころも凛とする

創作・チャレンジ川柳2018

2018年01月05日 11時12分25秒 | ETUDE
・正月は競争となるゴミの日は

・餅肥りベルトの穴を追加する

・年賀状返事出したし名前なし

・物忘れ忘れたことも忘れてる

・連れ合いの財布はいつも肥えている

・物忘れ天国地獄を行き来する

・前立腺長引くシッコ長期戦

・悪寒あり背中に誰かついている?

・津軽弁獅子と寿司を間違える

・昼寝中目覚めよ教が表れる

創作・短歌

2017年12月31日 12時57分13秒 | ETUDE
12/31

・変わりなき暮らしの続き除夜の鐘くくりなどない明日があるだけ

・大晦日今日と明日は違うのか変わらぬ自分に気づいていながら

・自転車の吊るされておる車庫の中明日は自転車下ろすのだろうか

・ひとり身を悲しむまいぞ死ぬときも気楽なままで旅に出るだけ

・やれること何でもやった悔いもない休憩するよな死出の施錠

・賢治とて三十七年生きただけ我はその倍中身なきまま