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あなたがしてくれなくても/ハルノ晴(著)

2022-06-02 | コミック

 

【あらすじ】

レスに悩み、レスと向き合う二組の夫婦の物語

この物語の主人公、吉野みちは、結婚して5年目を迎える夫、陽一との関係に悩みます

同僚の新名誠もまた、同じ悩みを抱えていることを知り、2人は次第に惹かれあい、密かにプラトニックな恋愛を始めることに。

しかし、社員旅行で、誠と一線を越えそうになったみちは自分がまだ、陽一に気持ちがあることに気づき、誠に別れを告げ2人はお互いの伴侶と向き合おうとします。

しかし、子供を欲しがるみちに対し、子供を望まなかった陽一。
事実を知った
みちは傷つき、家を出て行きます。

少しずつ歩み寄りを始めた誠と楓に対し、みちは陽一に、離婚を切り出しました。

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もし、自分の子供がみちと同じ理由で離婚したいと私と主人に打ち明けた時に、私はみちの母親と同じように、優しい言葉をかけてあげることができるだろうか?
だいぶん話が飛んでしまうのですが、読みながら、2、3年くらい前にSNSで起きた子育て紛争を思い出しました。

1人の若い母親が、何気なく吐いた子育ての愚痴に対して、大勢が吊し上げると言うもので、正直、見ていて気分の悪いものはなかったです。

批判してる人のほとんどが男性で、
その中には「子育てが大変だと愚痴を言う母親がいるから子供が欲しく無いんだ」と発言した男性には、強い違和感と不快感を禁じ得ませんでした。

確かに子育ては大変なのですよ。
でも過ぎてしまうと、当時が懐かしくなることもあるし、大変だったけど楽しかったこともいっぱいあったので、悪いことばかりでは無いのです。
でもそう思えるようになるには時間が必要で、まだまだ先の話なのです。

問題は、夫が妻に寄り添うこともせず、妻の不満に耳を塞いでしまうこと。追い詰めてしまうことでは無いでしょうか?

SNSでの発言も、彼女にとって唯一愚痴を吐ける場所だったのかも知れないのに、顔の見えない匿名の人たちが、独りよがりな正論を押し付け、さらに彼女を追い込んで愚痴を吐く場所を奪ってしまう。

批判されたくなければ、愚痴を言わなければ良いと言う人もいたのですが、それは批判してる人たちも同じで、愚痴を見るのが嫌なら見なければ良いのです。

「子供を作っても良いよ」と言う陽一に対しみちは「その場しのぎの言葉も妥協もいらない」と答えます。
2人の間に子供が生まれたとしても、陽一は子育てに協力はしないだろうし、みちの言うように「みちが子供を欲しがったんだろう?」と言って、子供に見向きもしないだろうと思います。
子育てが大変だと愚痴を言う母親がいるから子供が欲しく無いんだ」と発言した男性も陽一と同じで、彼は子供望まない理由を、愚痴をこぼす女性のせいにして、子供を作らない言い訳をしているだけなのですよね。

これでは子供を欲しがる妻が可哀想
子供を望んで無いのなら、結婚を決める前に伝えるべきでは無いでしょうか?
陽一はみちを失うことが怖くて言えなかったようですが、側から見ると自分のことしか考えてないように思う。

2人の間にどんな結末を迎えるのかわかりませんが、陽一は自分のことばかり考えるのではなく、みちに寄り添ってほしいと願うばかり。

あと、もう一組の夫婦の結末も気になるところです