音信

小池純代の手帖から

日々の微々 241012

2024-10-12 | 詩歌帖

崔融『唐朝新定詩格』「十体」のうち
〔質気体〕例詩(青字)
及びその異訳77仕立て(黒字)


   霧烽黯無色 霜旗凍不翻
   雪覆白登道 冰塞黄河源

 
  霧にまぎるる色なきけむり

  霜に凍えてはためかぬ旗

  雪は覆ひぬ道といふ道

  氷は塞ぐ河のみなもと

      †

各77に575を付けてみる。異訳とは無関係な仕立てもの。

  霧にまぎるる色なきけむり

 あこがれて焦がれ死にせし狐色


  霜に凍えてはためかぬ旗

 溶かさずに通りすぎたきことばかり


  雪は覆ひぬ道といふ道

 白に白かさねて闇を深くする


  氷は塞ぐ河のみなもと

 みづうみに水やすらぐやくるしむや




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日々の微々 240929

2024-09-29 | 詩歌帖

崔融『唐朝新定詩格』「十体」のうち
〔形似体〕例詩(青字)
及びその異訳7775仕立て(黒字)


  風花無定影 露竹有余清

 影もかたちも行方も知らぬ
 あなたまかせの風と花

 あれはしらたまそれともなにか
 あはれたまゆら笹の露

      *

  映浦樹疑浮 入雲峰似滅

 影とひかりのどちらがほんと
 水にうつろふ木のかたち

 雲にしづしづ沈んだ峰は
 しんでしまつたことにする
 




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日々の微々 240916

2024-09-16 | 詩歌帖


・・・・・・・・・・・・
崔融『唐朝新定詩格』より
「十体」例詩メニュー表
・・・・・・・・・・・・

〔形似体〕

 風花無定影 露竹有余清
      *
 映浦樹疑浮 入雲峰似滅

〔質気体〕

 霧烽黯無色 霜旗凍不翻
 雪覆白登道 冰塞黄河源

〔情理体〕

 遊禽暮知返 行人獨未帰
      *
 四隣不相識 自然成掩扉

〔直置体〕

 馬銜苜蓿葉 剣瑩鴨鵜膏
      *
 隠隠山分地 滄滄海接天

〔彫藻体〕

 岸緑開河柳 池紅照海榴
      *
 華志怯馳年 脂顔惨馬節

〔映帯体〕

 露花疑濯錦 泉月似沈珠
      *
 侵雲蹀征騎 帯月倚彫弓
      *
 舒桃臨遠騎 垂柳映連榮

〔飛動体〕

 流波将月去 湖水帯星来
      *
 月光随浪動 山陰逐波流

〔婉轉体〕

 歌前日照梁 舞処塵生襪
      *
 泛色松煙畢 凝華菊露滋

〔清切体〕

 寒葭凝露色 落葉動秋声
      *
 猿声出峡断 月彩落江寒

〔菁華体〕

 青田未矯翰 丹穴欲乗風
      *
 曲沼疎秋蓋 長林巻夏帳





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