
通夜 その1
霊安室には白い百合が活けられていた。 柩は純白の布に覆われている。 そしてそれだけが美...

通夜 その2
浩二は声を荒げた。 「いくら君が能美を好きだからと言って、血迷うな」 元がニヤッと笑った...

通夜 その3
「奥さんは最近ある事でノイローゼ気味だった。医者に通って眠剤を貰っていた。 そして最近...

通夜 その4
「さすが編集長、お話作りがお上手だ。 しかし、今までの話は裏付けも証拠もない。 確かに...

通夜 その5
18年余りの月日を経て再会した二人だが、5分と経たない間に昔の会話が蘇った。 「能美は若...

通夜 その6
「何もなかった。二人の間に原稿のやり取りとその推敲という他に何もなかった。 携帯で電話...

通夜 最終章
能美の小型のノートに書いてあったのは、昔の学友との恋に悩む妻の細やかな告白であった。 ...

ラストソング その1
1990年、バブルが危うい綱渡りをする頃、そのホールは煌びやか輝いていた。 歌姫の声は満場...

ラストソング その2
楽屋に続く道の脇にビロードの幕があって、そっと引くと扉が見える。 鍵を回して扉を開け...

ラストソング その3
翔は愛しそうに舞の前髪をかきあげて言った。 「又会いたい」 「私もだけど」 舞はやるせな...