Gibson Custom Les Paul 1956 Goldtop VOS (2012)
エアロスミスが出たMTV10周年記念ライブで、ジョー・ペリーが持っていたゴールド・トップをカッコいいと思い、B'zの松本さんが97~98年にかけて頻繁に使っていた56年製の音を好きになり、最終的には、今バンドでコピーをしている斉藤和義さんの影響で、P-90の付いたゴールドトップが欲しいと思うようになりました。
買ってからもう数カ月経過してしまいましたが、このギターを今年買ったのには大きな理由があるんです。
では、購入正当化の「個人的言い訳」を書き連ねましょうか。
1.仕様変更
2.3.9kg
3.ポイント5倍+α
1.仕様変更
レスポールは、ロゴの位置、形状、パーツの種類、材質などなど、カスタムショップもレギュラーラインも数年おきに仕様変更があります。
カスタムショップのレスポールは、2013年に、ネックとボディの接着にニカワを使うこと、トラスロッドを覆うチューブをなくしたこと等、大きな変更点がありました。
加えてゴールドトップは、ビンテージっぽくほんのり緑色が加わった金になり、ほとんどの個体のボディバックはダークなこげ茶色になりました。
これは 「別にいいんじゃねーの?」 と思われるかもしれません。
でも、トップの色が「最初から緑っぽい」ってのがどうしても受け入れられなかった。使っていくうちにブラスパウダーが酸化して緑っぽくなるのなら味があっていいんですが、最初からってのは、どうも気に入らない。
ある楽器屋の店員さんは、「2012年までのゴールドって、あまり酸化しないんですよ。で、ビンテージの緑って、元々がほんのり緑っぽかったらしいです」と言ってまして、少し納得をしつつも…やはり2012年までの色が私の好みだったわけです。
当然ながら、緑っぽくない2012年までの製品は製造されてなく、今店にあるものしかチャンスはない!という状況になったため、慌てて探し始めたんです。
まぁ、僕がこれまで買ってきたギターのほとんどが、同じような理由なんですけどね。製造中止になったとか、限定生産とか…。
2. 3.9kg
99年に買った黒の98年製レギュラーラインのレスポールは重いのなんの。ウエイトリリーフと呼ばれる穴が開いているのかどうかは、レントゲン写真を撮ってないので分かりませんが、仮に穴が開いててこの重さだったら怒るぞ、というレベルです。
レスポールの「重さ」に関しては、人によって認識に違いがあるので面白い。僕自身は、50年代レスポールは基本的に「軽い(ものが多い)」という認識で、50年代の再現を目指しているヒスコレは、レギュラーと比較して軽い材を使う傾向にあると考えています。
昔、日テレで放送されていた深夜番組「DAISUKI」で、ゲストにモト冬樹さんを迎えて、楽器屋をぶらぶらしていた回がありました。
モト冬樹さんがレス・ポールをみて、「重いんだ、これが」 と、手に取って弾き始めました。確かにそのレスポールは重かったようですが、店員さんお勧めの、売価が40万以上するトラ目の浮き出たサンバーストを見て、
「これ、なんでこんなに高いの? すっごく重いんじゃない?」
と言ってました。おそらく冬樹さんは「重い」=「高価」といった 印象をレス・ポールに対して持っていたようです。
が、実際に手にした瞬間
「あ、軽い・・・」
と一言。 驚いていらっしゃいました。
それと、これまた昔の話で、
「前にジミー・ペイジの59年製レス・ポールを持たせてもらったことがあるんですけど、反則だよってぐらい軽かったですからね。あれだけ軽けりゃポーズもとれるよっていう(笑)」
by 土屋昌巳(ギターマガジン1997年11月号)
ギターに関してハンパではないこだわりを持つ土屋さんが言うからには、間違いないでしょう。
こんな事例を書き出すとキリがないので、僕が買ったギターの話にしましょう。実用的なことを考えて、ステージで弾いて気にならない重さのものがいいなーと思い、ネットで事前に調べました。
カスタムショップ製(完全ソリッド)の場合、3.9kg~4.3kgというところです。まれに3.5kg前後のものもありますが、それはボディ内部に空洞のあるチャンバード構造になっていて、ちゃんとシリアルに「CR」と表記されてます。
ちなみに、B'zの松本さんが最近使っているサンバーストのレスポールは、チャンバード構造だそうです(Player 2014年6月号)。
故に、3.9kgは完全ソリッドのゴールドトップ中では、相当に軽い部類と考えていいでしょう。気になる人はレントゲンで調べても面白いかもしれませんね。
僕が買ったゴールドトップは、ネットに重さが書いてなく、置いてある石橋楽器の町田店さんに電話で問い合わせたところ、
「約3.9kgです」
という答えをいただいたので、もうその場で
「取り置きしておいてください」
とお願いしました。この際、3.90だろうが3.99だろうが関係ない!
何年か前に楽器屋の店員さんに聞いたところ、軽い材は優先的にサンバーストに行くことが多いらしいので、ゴールドトップでここまで軽いのはチャンバード以外では珍しいから、この個体の購入に向けて大きく舵が切られました。
ただ、今のレギュラーラインのスタンダードはチャンバードもしくはウエイトリリーフのおかげで、3.5kg以下がズラリと並んでいます。平均的にはカスタムショップ製より軽いんじゃないのかな~?
3. ポイント5倍+α
買うに当たって、やはり気になるのは値段。買ったのは消費増税前で、まぁ増税分がどうこうというのはさておき、その時のイシバシさんのセールでやっていた「ポイント5倍」ってのが魅力的でした。
しかも、このゴールドトップは、サンバーストに比べてもともと安いことに加え、生産完了品扱いで特価となっていました。さらに、肩に背負えるタイプのギブソン純正セミハードケースがついて来たことも評価点。
実は、セミハードケースには2種類あり、購入時の基準は、ギター本体がある一定の額以上だとカスタムショップの革製、それ以下だとUSAのナイロン製。僕の買ったギターは特価品だったのでナイロン製となりました。皮よりナイロンの方が丈夫で長持ちするし、結果的には良かったのですが、本来は値段じゃなく、ギター本体がカスタムショップ製かレギュラーラインかで判断すべきものなんじゃないの?という疑問が残りました。
ちょっと話はソレますが、カスタムショップ製のサンバーストは、トップのトラ目がゴージャスであればあるほど値段が高い傾向にあります。トップがプレーンなのは58年型に多く、バリトラの59~60年型はその2~3倍の値段になってしまいます。恐ろしや。
僕はいままで、ギター本体が「〇〇万円」を超えない範囲で買っていました。正直、ソリッドのエレキギターに関してはそれ以上の製品って手が出しにくい。なかなかね、難しいもので。
今回のレスポールは、特価だったとはいえそれを上回っていました。けど、上記のポイント5倍とセミハードケースの相場を差し引き、ほぼ許容範囲になったとして納得しました。
以前の記事でも書いたとおり、本体価格がジワジワ高くなってきているから、「あの時買っといて良かった」「あの時買っときゃ良かった」ってのがそれぞれあったわけです。今後のことはわかりませんがね・・・。
と、購入理由を書きましたが、実はお店に行った時に悩んでしまったんです。
軽さは文句なし。これなら肩も腰も痛みは出ないと思う。
ネックの握りは好みのガッチリめで、凄く馴染んだ。
生音も鳴りがイイ。バックの木目も気に入りました。
ところが・・・ところがです。
正面から見てみると、1弦と6弦のネックエッジまでの間隔が違うんです。測らせてもらったら、22フレ付近で約1ミリ、弦全体が6弦側に寄っているようでした(弦の太さも考慮したうえで測っています)。
ビンテージタイプのストラトと違い、レスポールはそもそもが弦落ちしにくい幅で作られているし、弾き心地に全く影響はありません。考えたら、僕が持っている黒いレスポールもそんな気がありましたし。
でも高い買い物なのでね~。悩みながら各部を見回していたら、ブリッジのコマにある溝がセンターではなく、位置がバラバラだったんですよ。何ということでしょう!
まさにこれが、ギブソンがギブソンたる所以かもしれません。
コマはばら売りもされているし、セットネックのレス・ポールはフェンダーのギターのようにネックとボディ間の関節のいわゆる「整体」ができそうにないので、個体によって溝の位置を変えることで調整することも当然あります。でもね、それにしてもこいつはバラバラだったんです。つまり、問題は全体のセンターズレというよりも、各弦の間隔が違うということでした。
瞬間的に、56年タイプがもう一本ある御茶ノ水店が頭に浮かびましたが、この点以外は問題ない。しかもこの軽さは何物にも代えがたい。嫌ならブリッジのコマを後で取り換えりゃいい!
そう考えて購入を決意しました。
以前の輸入代理店であった山野楽器さんの検品については、このブログのB-25の回でチラッと書きました。今はそれがない。ここでハッキリと言います。
「ギブソン買うなら自己責任」
なにか気に入らない点があっても、販売店さんに責任を押し付けてはいけません。
最終的に選ぶのは「あなた」です。
石橋楽器町田店の店員さんは、僕が遠方から来たということで、好きな弦をおまけで2つプレゼントして くれました。もともと1つはセットとして含まれていたので、計3つ。かなり貯まるポイントと含めて、しばらくは弦に困らなくなりました。エリクサーだから頻繁に交換する必要もないので。
しかし、純正のハードケースとセミハードケースの2つをエイコラと運んでいる様子は、小田急線の中でかなり目立っていたかもしれません。混雑しているとき、人の目が痛かったしな~。
懸案だったコマ交換は、きちんとセンターに溝が成型さ れているKTSのPR-01SETをネットで購入。コマだけの交換ができなかったので、ブリッジ全部を乗せかえると、スタッドの規格と合わず、若干カタカタ音がしました。でも、弦を乗せて固定すれば全く問題なく、ズレもほぼ解消されたので、精神的モヤモヤ感がなくなりました。
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2017年末追記
PR-01SETに不満があったわけではないのですが、スタッドの企画の問題と、インチとミリの関係で、インチサイズのレスポールの弦間隔より極僅かに狭いということもあり、思い切ってカラハムのABR-1に交換しました。とても精密に作られていて、素人ではコマを外すことも出来ないくらいギッチリ!
予め溝が彫られているものを買いましたが、これはイイです。とても良好な鳴り。
ちなみに、いまのカラハムABR-1は、裏面にCallahamの刻印は無いようです。復活するかどうかは不明。
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でもエレキは、プラグインしてナンボの世界。P90の独特の音をどう処理するかが楽しみの一つです。
さっそく自分のエフェクトボードに差し込んで音を出すと…。
店では気がつかなかったのですが、やたらと音がデカい。よくよく見ると、ピックアップと弦の間隔が狭すぎる。ハイフレットを押さえてピッキングするとリアピックアップのポールピースにくっつくんじゃないか?と思うくらいです。
この状態で今までと同じトータルバランスにするには、ペダルのドライブを下げてレベルを上げなければなりません。そうしないと、スルーの時の音量と踏んだ時との音量差が発生してしまいます。
この56年型は、製造当時と同じくピックアップの高さ調整ができないものでした。自分でピックアップを外して確かめても、当然ながらどこにもバネはない。つまりボディに直付け。
しょうがないので、トラスロッドとブリッジを自分で慎重に調節し、当初低すぎた弦高を少し高くしながらも弾きやすい位置に持ってきました。それと、ピックアップカバーのボディに当たる面を約1ミリほどヤスリで削りました。カバーを削ったところで、実質下がったのは0.5mmにも満たなかったのですが、現状はこの状態で使っています。
本心では、ルーターを使って全体を3mmほど下げたいんですが、あまりザグリたくないしね~。ちょっと悩み中。
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(追記)
意を決してリペアショップにお願いし、キャビティの底を3mmザグりました。でも単に3mm下げたのではなく、薄いスポンジをかませてもらって、若干の上げ下げができるようにしました。ま、実際は押し付けっぱなしで2mm下がった状態ですが、現状とてもいいです。
ハムに比べてエッジが立ちつつも、ギシギシするほどではなく、程よい甘さと太さを併せ持っています。やはり個性的な音で、使いこなせたら楽しそう。
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あと、練習で何度か使っていたら、バックルでボディバックに凹みがついてしまったので、ポリカーボネイト製の丈夫なフィルムミラーを張り付けました。もともとは浴室のタイル等に自由に切り貼りできる製品なんですが、バックル傷防止に最適です。
先日、とうとう人前で弾く機会に恵まれました。
弾きながら歌うにはとてもいいギター。肩に下げた時のバランスが良くて、重さで疲れることもありません。テレキャスに比べて扱いやすく感じます(でもFender大好き)。
大それたことを言えるような実力はないんだけど、それでも弾きやすいことはありがたいこと。長い付き合いをしていきたいと思います。