We Want The FUNK

ギターと音楽に関する雑感

MICHAEL JACKSON Part4【歌え!マイケル INSTRUMENTAL VERSION COLLECTION】

2024-04-14 | 音楽

MICHAEL JACKSON Part4【歌え!マイケル INSTRUMENTAL VERSION COLLECTION】

 

マイケルの曲をカラオケで歌える、というフレコミで1988年の秋に発売されたコンピ。ミックスの表記は数種類あって、なぜか「THRILLER」収録曲にはコーラスが入っていて、「BAD」収録曲はコーラスもなく完全なインスト…かと思いきやBADには終盤で普通に声が残っている不思議な編集。バージョン違いの解説はアマゾンのレビューに細かく載っていますので、そちらを参照してください。

 

当時中学生だった私がこのアルバムとどう向き合ったか、その結果として洋楽と邦楽の違いを知るキッカケになったことを書いてみます。

 

うちの中学校では、給食の時間に校内放送で曲を流すことになっていて、「歌(Vocal)なし」「激しくないこと」という条件を満たせば、放送部員の判断で好きな曲を選ぶことができました。放送部にいた女子から使えそうな曲はないか?と相談されたので、マイケルに夢中だった僕はこのアルバムを渡しました。

 

「BILLIE JEAN」「THRILLER」「BAD」はVoが入っているので除外。間違いなく使えそうだったのは「MAN IN THE MIRROR」と「DIRTY DIANA」の2曲ということで、数日おきに何回か流してもらいました。初めて流した日は再生をストップすることを忘れて「ANOTHER PART OF ME」が流れてしまい、ド頭とキメのオーケストラヒットが派手だったせいか、担当の先生の基準を超えたらしく、職員室から放送室に「うるさい!」と駆け込みで怒鳴られたそうです。ごめんなさい。

 

邦楽でカラオケバージョン、もしくはインストになっている曲を聴いていると、イントロやリフがあり、そのリフが終わると「サン、ハイ!」で歌い始めて、バッキングは無くなるか単純になる。コード進行も変わる。場合によってはVoのガイドトーンがうっすら入ってる。それが当たり前と思ってました。

 

ところが洋楽を聴き始めたら、リフの上に歌が乗っかるタイプが多いことに気がつき始めて、それを明確に意識できたのがこのアルバムでした。自分自身で入りを確認してないと、どこで入っていいかわからない。それを意識しているのか、歌詞カードには丁寧にカウント数が書かれています。全部数える人なんていないでしょうけどね。

 

その後、特に高校時代は狂信的な「洋楽至上主義者」になってしまい、邦楽に一切興味を示さなくなりましたが、この根源的な理由はここにあると思っています。メロやリフの上に別のメロが重なる、この「バンドアンサンブル」が自分の好みのようでした。ヴォーカルが入ってなくても、インストで曲が成り立っているという感覚。

 

特に「THRILLER」「BAD」は、ベースのリフが、コードが変わっても展開してもサビまで同じということに気がついたときは、マイケルがいかにJames Brownと「FUNK」が好きであるか、ということを再認識しました。どう考えても、ワンコードのファンクなんて日本ではなかなか受け入れられないし、アメリカでも完全なポピュラリティを得ることは難しい。それでもファンク臭を残すのがかっこいい。

 

これは、どっちの優劣が…ということでは全くなく、もちろん洋楽だって歌が始まったらコードやリフが変わる曲もあるし、邦楽だってその逆もあります。あくまでも割合としての問題です。

 

ただ、例えばある人と話をしていて「洋楽が好きです」って言われて聞いてみると、邦楽的な展開の曲やそういう曲が多いアーティストが話題に上がることもあり、「あぁ、根本的には邦楽が好きなのね」って思ってしまう、ちょっと嫌な分析癖が。これは何度もあって、経験上ほぼ間違いありません。

 

重ねて言いますが、優劣ではありません。どんなものだって好きに聞けばいいんです。邦楽を見下していたのは見識が狭すぎた恥ずべき高校時代だけ。大学に入ったら様々な先輩から様々なジャンルの音楽を教えてもらい、洋邦問わず聴くこと、弾くこと、そのすべてに意義があると今は思っています。

 

さておき、マイケルは様々なジャンルを網羅しているような…いや、「MICHAEL JACKSON」というジャンルを確立した、なんて言われ方もしますが、その根底にはFUNKがあることを、このアルバムを聴けばよく認識できると思います。

 


第1話 MICHAEL JACKSON Part1 【グレイテスト・ヒッツ】
第2話 MICHAEL JACKSON Part2 【DANGEROUS WORLD TOUR IN JAPAN】
第3話 MICHAEL JACKSON Part3 【HIStory JAPAN TOUR 1996】

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MICHAEL JACKSON Part3 【HIStory JAPAN TOUR 1996】

2020-09-06 | 音楽

MICHAEL JACKSON Part3 【HIStory JAPAN TOUR 1996】

ヒストリーツアーは、私がマイケルを生で見た最後のライブ。ワールドツアー自体が結果として最後でしたし、私に限らず、多くの人は同じでしょう。

今までの人生の中で最も泣いた…嗚咽に近い状態になってしまった唯一のライブでした。


1996年からさかのぼること数年、東京でのデンジャラスツアーが終わり、スーパーボウル・ハーフタイムショー、オプラ・ウインフリーショーに出演し、さらにツアーを継続して福岡に来ることが発表され、活動は継続していましたが、1993年8月、これまで築き上げてきたスターダムのすべてが崩れ去るような、性的虐待疑惑の騒動が勃発します。

日本のワイドショーも連日取り上げていて、ファンであることを公言し難くなってしまう「惨状」でした。マイケルへ嫌悪感を持つ人が急激に増えていったことを肌身で覚えています。

マイケルの悲痛な表情にこちらも胸が痛かったです。

 

1995年、「HISTORY PAST, PRESENT AND FUTURE BOOK I」が発売され、翌年の12月に開催されたジャパンツアーは、東京ドーム4回、福岡ドーム2回。日本のバブル期はとうに過ぎ、件の騒動で少なからずファンも失い、回数としては妥当と思ってました。

ところが東京ドームの2階席は、ぞっとするほど空席が目立っていて「数年前に見に来ていた奴ら、どこに行きやがった!」と、小市民的怒りの感情も。

 

開演。オープニングの映像が長いかな? なんて思いながらも、マイケルが登場すると、突然涙があふれてきて、日本語で「アイシテマース」と話すたびに涙の勢いは増していき、前述したとおり嗚咽状態になってしまいました。

思うに涙の内訳は、極端に吹き荒れた逆風で苦しかったであろうマイケルが元気になってくれたことに対する安堵感で70%。残り30%は、マイケルの、特にライブ活動の「終わりの始まり」を感じてしまったこと。それによる先走った喪失感。

「元気になって嬉しいけど…ライブを生で見るのは今日が最後かもしれない」

どう見てもマイケルのパフォーマンスは、デンジャラスツアー前半に比べ極端に低下していました。

ビリージーンがリップシンクになっているとは。リップシンクはほかの曲でも昔からやってましたが、まさかビリージーンにまで。コーラス含めてマイケルの声が元になっているし、それはそれで聴きやすいんですけど。モータウン25の時も「まんま」原曲を流してましたし。


終了の時、たしかマイケルが舞台からスッと消えてしまったんです。デンジャラスツアーのトースターと逆のパターンで。

勝手な僕は、またメンバーと一緒に並んでくれるだろうと思ってたので、自分の中でちゃんと挨拶ができずに終わってしまった!っていう、わけのわからん後悔の念も湧き上がってしまった東京最終日。結構寒い冬の日の出来事でした。

 

第1話 MICHAEL JACKSON Part1 【グレイテスト・ヒッツ】
第2話 MICHAEL JACKSON Part2 【DANGEROUS WORLD TOUR IN JAPAN】

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MICHAEL JACKSON Part1 【グレイテスト・ヒッツ】

2020-07-05 | 音楽

MICHAEL JACKSON 【グレイテスト・ヒッツ】

発売されなかった幻のベスト盤

 

実はマイケル・ジャクソンこそが私にとって永遠のスターなんです。

マイケルに関してはいろんな面がネット上でも語りつくされていることもありますし、書籍も多いし、オッサンが普通に想いを書くのも恥ずかしいので、今まで気になっていたことを、小分けにシリーズ化して書いてみます。

 

PART1は、新聞発表されたにもかかわらずリリースされなかった幻のベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」の話です。

まずは写真をご覧ください。

 

 

ここには年が書いてないんですけど、1989年だと思います。いや、90年だったかな…? うーん、いつか図書館に行って朝日新聞のアーカイブで調べようかな。カセット2本組も発売されようとしていたという、この時代感がタマリマセン。

 

MICHAELのベスト盤はその後何種類か出ますが、どうもこの「グレイテスト・ヒッツ」に関しては、無かったことにされているのか、ネットで検索してもこの件に触れているものが見当たらなかったので、信じられないという人も多いかもしれません。企画されていたことは事実なんです。

なので、あえてテキスト化します。

 

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本日より予約開始

マイケル ジャクソン

夢の超ベスト・アルバム、世界同時発売・決定(11月中旬)

「グレイテスト・ヒッツ」

●CD2枚組 ●カセット2本組 予価各¥4,000(税込定価)

新曲5曲含む全31曲収録▸アルバム「BAD」「スリラー」「オフ・ザ・ウォール」からの全ヒット曲収録/デュエット曲「セイ,セイ,セイ」(with ポール・マッカートニー)、「ステイト・オブ・ショック」(with ミック・ジャガー)収録/「カム・トゥゲザー」(ムーンウォーカー)、「サムワン・イン・ザ・ダーク」(E.T.ストーリー・ブック)収録/ほか

現在録音中 最新曲5曲 収録決定

アルバム初回特典:豪華フォトブックレット付

★全国レコード店にて予約受付中Hurry Up

EPIC SONY RECORDS

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新聞を切り抜いた私は、早速地元のレコード屋に行って予約をしました。

しかし何の連絡もなく時は経ち、もう一度店員さんに切り抜きを見せてソニーさんに確認してもらったら「発売されないことになりました」という回答でした。

 

結構ショックでしたね。というのも、マイケル自身の発言をソースとしているのか、BADツアーが終われば引退するという報道が当時は当たり前のようにあちこちでありましたし、1988年の来日記念盤として発売されていたアルバムBADの帯には、「最初で最後のワールドツアー」なんて書かれていたんです。本当です。

小林克也さんも、ベストヒットUSAの中で、リベリアンガールのビデオが到着した際、「引退したはずだったんですが…」とハッキリ言ってましたから。

 

そんな、割と絶望的な状況(情報)下にあったので、新曲5曲が録音中というビッグニュースは、マイケルに関してなんでもかんでも渇望していた私にとって、まさに神からの贈り物とも思えました。

その後、オリジナルアルバム「デンジャラス」が発売され、ベスト盤は「HIStory: Past, Present and Future, Book I」まで待つことになります。それはご承知のとおりです。

さらにその後、HIStoryの1枚目が切り離され「グレイテスト・ヒッツ」が発売されますが、全く関係はありません。

 

この「幻のベスト盤」、どんな裏事情があったのでしょうか。関係者の方、いまならゲロできるんじゃないでしょうか?

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Big in Japan と Small in Japan

2020-05-05 | 音楽

詞の意味や内容が直接的に伝わりにくい洋楽では、メロディや曲の構造もさることながら、日本で人気が出るには、ヴォーカルの声質がどれだけ聴く側の印象に残るかが大きなカギになるような気がします。

いわゆる「 Big in Japan 」と呼ばれ、とりわけ日本で人気が出たアーティストって、ルックスだったり、時の悪戯だったり、様々な要素がある中でも、私は「声質」っていうことを重視しています。

Big in Japanのアーティストを書き連ねるだけではこのブログの価値はないので、カテゴリーから若干外れつつも、なかなか表現しにくい声の魅力を、できる限り比較対象を設定しながら書いてみたいと思います。時に怒られそうなフレーズも飛び出しますがご容赦を。

 

Big in Japanでイメージしやすいのは「Bon Jovi」。当時友達とは、その音楽性や見た目から「Europe」と比較して、「ジョーイ・テンペストの方が歌上手くないか?」なんて笑いながら言い合っていたこともありましたが、その実、ジョン・ボン・ジョヴィの声の魅力は当然ながら認識していて、カウントダウンライブを観に行くほどのファンでした。

Europe - The Final Countdown

Bon Jovi - Livin' On A Prayer

ジョーイ・テンペストと比較して適度な雑味を感じるジョンの声は、バリトン系の「ええ声」とは言えないかもしれませんけど、ルックスと名前の特異性も含めジョンという人の個性を際立たせ、「あーこのルックスと声はジョン・ボン・ジョヴィだよね」という、覚えやすいキャラクター性があったよう感じます。

全てとは言いませんが、その人のパフォーマンス、雰囲気、ルックスなどで総合的に「華がある」と感じられれば、声質も伴って魅力的になるんだと思います。

 

華があるかどうか? という点で、デヴィッド・リー・ロスとサミー・ヘイガーを比較します。ゲイリーは含みません。

Van Halen – Panama

Van Halen - Why Can't This Be Love

みなまで言うな、なんて突っ込まれそうですが、やはり書きます。2人を比較してどうですか?

ご存じかと思いますが、売り上げ枚数から見るとデイブ時代よりサミー時代の方が安定的な人気を誇っていたことが記録からわかっています。でも、「そうじゃないだろ!」と考えている人は多いでしょう。私もそう。

歌の上手さ、特に音程感でいえば、サミーの方が優れています。ただ、もう一度言いますが、「そうじゃないだろ!」ってことです。私はアマチュアバンドでVoをやっているので、実体験としてですが、デイブとミック(ジャガー)は、コピーするのに最悪な部類。節回し、そして本人が醸し出す…これこそ「オーラ」と呼んでも間違いではない強烈な個性は、何物にも代えがたいんです。

だからとりわけ日本では、ダイヤモンド・デイブ人気が高いわけです。

 

実は、基音に加えて、母音系の整数次倍音、子音系の非整数次倍音など、人の声に限らず様々な楽器でも”音の魅力”として語られる「倍音成分」についてもそれなりに調べましたが…私には語れそうにありません。

私はギターを弾いているし、Jazzヴォーカルの教室に通っていたこともあるし、その仕組みはある程度理解はできましたが、それがすなわち、いま話題にしている「印象的」かどうかは、一概に言えないと思うからなんです。

例えば、「成分分析の結果○○さんと△△さんは同じ傾向にある」と言われたとします。「確かにこの××な感じは同じかも…?」なんて思ったところで、実際に聴こえる印象や、その人の雰囲気やルックス、曲によって異なる歌い方などを考え始めると、とても説明できる自信はありません。

 

次に、同じバンド内でリードボーカルが共存していた、「イーグルス」。それはグレン・フライとドン・ヘンリー…いや、ドン・ヘンリーとその他メンバーの声質の違いです。

私は過去に「Take it Easy」をコピーしたことがあり、曲も好きだし、歌詞も覚えたし、グレン・フライの歌唱も嫌いじゃないです。でもね、カントリーの影響が色濃いイーグルスが、アメリカのみならず世界的、もちろん日本でも人気があるということは、相当な割合でドン・ヘンリーの声質、その印象深さが人気に寄与していることは間違いないと思うんです。

Eagles - Take It Easy

Eagles - Best of My Love

イーグルスを全く聴いたことのない人に、グレン・フライとドン・ヘンリーのそれぞれのリードの曲を聴いてもらい、曲の好みは度外視して、どちらの声が印象深かったか、記憶に残りやすいか?と尋ねれば、90%以上の人は「ドン・ヘンリー」と答えるでしょう。

もし、ドン・ヘンリーという圧倒的な存在感を持つヴォーカルがいなかったら、あれほどまでのバンドにはなっていなかったでしょうし、それはメンバーも分かっていたからこそ、ドン・ヘンリーに主要な曲のヴォーカルを任せたんじゃないかと想像できます。

一般的に「あの人は声が良い」と言われるとき、主観を含みつつも、喋り声では低音が出る人が評価されがちだと思います。喋り声ならグレン・フライの方がいい声だと思いますよ。ドン・ヘンリーは喋り声もちょっとハスキーですしね。でもそれって、こと歌唱の分野では違うということをイーグルスはいい意味で表しているような気がします。もちろん、全てに当てはまるわけではないですけど。

 

次に挙げるのは「Ultravox」。僕は、“Vienna”の“Astradyne”をはじめとして好きな曲は多いのですが、もう…Voが入ると萎えるんですよ。好きな人には申し訳ない気がしつつも、聴くのはもっぱらインスト。

Astradyne (2008 Remaster)

フロントマンであるヴォーカルに華が感じられません。

Ultravox - Vienna (Live Aid 1985)

歌は上手いんでしょう。けど、なんか頼りなさというか、不安感がありませんか?

大手商社に勤めるイケメン上司に歌わせたらソコソコ上手かった、というレベル。

これは「New Order」にも同じことが…いや、ニューオーダーに関しては、うまいとも言えないしイケメンとも言えないな。別に共感してもらえなくてもいいんですけど、聴いている方が「こいつ大丈夫か?」ビクビクするようなヴォーカル。曲の作りや構成は好きなだけに残念です。

New Order - True Faith

こんなこと書いている私。アマチュアのクセに生意気なヤツだと思わないでください。リスナーとはそもそも残酷です。誰しもそうなんです。

そんな「Ultravox」と比較するのは「Japan」、つまり「デヴィッド・シルヴィアン」。典型的な「Big in Japan」です。

ごく初期を除き、低音で粘っこいDavidのヴォーカルは、一度聴いたら忘れようにも忘れられません。もちろん、ミックのベース、スティーブのドラムなど、ほかにも特異性があったことは認めますが、割とハイトーンがもてはやされる歌の世界において、必ずしも高音重視のVoだけが印象深いわけではないことを証明しています。そして何より華があった。

Japan — Methods of Dance

Japanなんて一部のマニアと日本だけでしか人気なかっただろ! と思われるでしょうが、そもそも日本での人気/不人気ってのをテーマにしてますから。

 

ここで「Small in Japan」と(ある界隈で)認識されているアーティスト側から考えてみます。

その代表的なバンドだと個人的に思うのが「Gratefull Dead」です。昔、南こうせつさんが海外のロックバンドを紹介するという、世間のイメージからは意外な組み合わせの番組がBSであったのですが、その時、こうせつさんが大ファンだというデッドが紹介され、「日本には隠れデッドファンがいっぱいいます!」と話していたのを覚えています。

Grateful Dead - Truckin'

気になって私も何度か挑戦しました。聴けば演奏はカッコいいし、バンドとして実力があると感じましたけど、Voに乗り切れず失敗。セッションのスリリングさは評価されても、キャッチーさが希薄だと、日本での人気が出にくいような気もします。オールマンも同じような感じでしょうか。ブルースが好きでバンドやってる人なら知っていても、一般的には知れ渡らないということだと思います。

 

で、Wikipediaに載っていたSmall in Japanで、ジェームス・ブラウンが挙げられていたのはちょっと驚きました。意外性というよりも、納得感も含んで。

James Brownは、僕はマイケルのファンであるからして、その源流となっているアーティストとしてそりゃ好きです。声質も強烈だし、カリスマ感が半端ではない。だから、Smallか…?という疑問がありつつも、展開の少ないワンコード、せいぜい2コードのファンクでは、日本でポピュラリティを獲得することはかなり困難だという事実も分かる。これは声質ではなく、あくまでも曲の展開面で日本では受け入れられなかったということに他ならないと思います。

James Brown - Get Involved+Soul Power Live

これ、笑う洋楽展でも流れてました。めちゃくちゃカッコいいと思っても、日本じゃヒットしませんね、残念ですけど。

 

ただ、日本はディスコが流行ったことからも分かるように、踊れるビートを嫌いではないはず。日本でファンクが受け入れられるようにするためには、とにかく曲の展開が大事。Earth, Wind & Fireはこの点で完璧でしょう。モーリス・ホワイトが印象的な声だったことも、日本での人気に少なからず影響してると思います。

Earth, Wind & Fire - Boogie Wonderland

 

今度は「メン・アット・ワーク」です。

Men At Work - Who Can It Be Now?

インパクト絶大のメロディと声質。僕も大好きだし、世界的にも人気バンドでしたが、これまでの長い人生の中で、メンアットワークのことを他の人と話をした経験が一度もありません。つまり話題に上がらない。実際はアルバムがオリコン洋楽チャートを席巻したこともあるので、必ずしもSmall in Japanではないのかもしれないけど、たぶんその時だけだったんじゃないかな。

ビデオの中でも強調するシーンがあるほど、結構な斜視。そこを省いたとしても、ルックスが良いとは誰も言わないでしょう。演奏シーンでの振る舞いもなんかカッコ悪い。自信満々(?)な様子だけは救いかも。

もしもフロントマンが魅力的なルックスで、なおかつ個性的な声だったら、違う結果になっていたかもしれません。結局は「あの顔にしてあの声あり」ということで、改めて書きますが、ルックスや雰囲気は声質にリンクしていて、それこそ重要なことなんです。

 

ルックス、雰囲気の良し悪しがどう影響しているかについて、ハイトーンのハードロックで比較します。

Led Zeppelin - We're Gonna Groove

AC/DC - Back In Black

Guns N' Roses - Welcome To The Jungle

いずれもVoにハイトーンの強烈な個性を持ったバンドです。

ロバート・プラントについては、多くを語らなくてもそのゴージャスさは分かると思います。ほんの数年しかあの声を維持できませんでしたが…。

アクセルは、どっからどう見てもスター。

ここで言いたいのは、ブライアン・ジョンソンが総合的にドンくさいってこと。動きもなんだかね~。すごい声だと思う反面、人によっては聴きにくく感じるでしょう。

こういう声があるから「○○倍音がある人は魅力的な…」なんてこと言えないんですよ、怖くて。

とか言いつつ、私はAC/DCが好きです。けど比較するとわかるでしょう、またしても「あの顔にしてあの声」ってのは。なぜAC/DCが「Small in Japan」にカテゴライズされるのも分かる気がします。

 

でも、ルックスが良い=覚えやすい声とも限りません。ライバルだったブラーとオアシスを比較してみます。

Blur - Charmless Man

Oasis - Rock 'N' Roll Star

ブラーって、僕は完全に世代だったので聴く機会は多かったです。でもなんだかね、声を覚えられないのよ。というと誤解があるか。そりゃ覚えてますよ。だけど覚えるのに結構時間がかかりました。

逆にリアムは、一瞬で覚えた。

デーモンとリアムって、顔は同じ系統な気がしませんか? 後は、そこにワルな音が入ってるかどうかでしょう。

アンプに置き換えていうなら、デーモンはVOX、リアムはMarshall、って感じ。

 

声の覚えやすさ、特徴的かどうかについて、唐突ですがライムスター宇多丸さんの言葉を紹介します。

ラジオでのトークテーマが「じゃない方」だった時、宇多丸さんが自虐的に発した言葉です。

 

俺も言われるよ。「RHYMESTERのMummy-Dじゃない方」とか、「ライムスターの声に特徴が無い方」とかね。

 

これね~、俺は宇多丸さんが大好きだからこそ分かるの。声を使うことを生業にしている人が、自身の声を冷徹に分析しているってことが。

自分の声を嫌いだと公言する人っていますよね。でも、そこまでの話っていわゆる「あるあるネタ」のレベルです。宇多丸さんの場合、自分の声に”特徴が無い”とまで言いきれるってことは、いかにマミーさんとの比較があるとはいえ、他者からの意見に真面に向かい合っていなければ出ない言葉だと思います。

 

じゃあ、結局お前は誰の声が好きなんだ?と聞かれれば、ジョージ・マイケルと70年代のフレディ・マーキュリーなんです。どちらもゲイでしたが、それはさておき、Queenはもちろん「Big in Japan」。その人気はフレディの声質による部分も相当あったと思います。

QUEEN - In The Lap Of The Gods... Revisited

George Michael - Kissing a Fool

フレディは、70年代限定。80年代の野太く力強い声がどうしても苦手です。これは説明しにくいな~。

ジョージ・マイケルは、歌声に関しては晩年まで変わらず好きでした。特に「Kissing a Fool」と「Cowboys and Angels」のウィスパー系の歌声が大好き。ソロになってからはWham!時代のハイトーンが出せなくなり、Keyは下げずにフェイクで歌うことが増えましたが、それはライブの時にフレディがしていた手法と同じ。かなり参考にしていたんじゃないかと推測しています。

声質の細かい部分って言葉で表現しにくいし、音楽との出会い方やいろいろな視点によって聴こえ方はものすごく差があるでしょうから、分かってもらえるようにあれこれ書いてみましたが、ここへきて読み返すと…書きぶりがひどいね。どんな捉えられ方をされるか気にしながら、キーボードを叩くのを終えます。

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ACROSS THE UNIVERSE の 正しい歌詞

2019-12-08 | 音楽
ACROSS THE UNIVERSE の 正しい歌詞
 
この曲の紹介や論評を見ると、特に歌詞について「文学的」「ジョンの最高傑作」という文字が踊り、ネット上でも日本語に翻訳するときの様々な解釈が紹介されていて、その人気の高さがよくわかります。一方で、英詞そのものが、アルバムのブックレットや詩集によって違い、謎めいた印象も与えています。
 
この曲を弾き語りでカバーしてみようと思った時に、歌詞の表記の違いに気が付きました。
 
そもそもこの曲に限らず、アルバムの歌詞カードに間違いが多いことは洋楽ファンならとっくに承知していることですし、他の曲に関しては違いがあってもさほど気にしませんが、ACROSS THE UNIVERSEに関しては、その詩を「最高傑作」と称し、様々な訳を一生懸命考えている方がいるにもかかわらず、歌詞表記の違いに関しては、その箇所を単に紹介するだけだったり、明確に指摘せず曖昧に終わっていたり、納得のいく指摘が見当たらなかったので、だったら自分で検証してみようと思ったのがこのブログを書くきっかけでした。ある程度細かいのはこの知恵袋でしょうか。全部じゃないんですけど。
 
私は英語に堪能ではなく、英米文学科卒でもなく、文学少年でもありません。なので、その意味と翻訳という側面で多くを語ることは難しいのですが、ジョンが書いた詩については、基になっている言葉は明確に存在すると思っています。創る最中で歌詞が変わることはあっても、レコーディングするとき、最終的な歌詞は用意しているはず。マイケルの「Come on」が「Chamone」に聴こえるとか、宇多田ヒカルさんの「だろう」が「だは~!」に聴こえるとか、そういう話ではありません。
 
普段から曲をカバーするとき真っ先にするのは、ひたすらリピートして聴くこと。課題曲を決めたら帰宅途中の車内で聴き続けます。危ないから車中で歌詞カードは絶対に見ませんが、ある程度聴くとメロディと語感をセットで覚え始めるので、そうなったら歌詞とコードを確認して部屋で練習を開始します。
 
この曲に関しても同じように取り組みましたが、いきなり「They slither while they pass they slip away」でつまづきました。頭の中は「???」。いったん練習をやめて、手元にある歌詞カードと詩集、ネットの情報をかき集め、ヘッドフォンで「...NAKED」のVersionを繰り返し聞きながら、納得できる歌詞を見つけることにしました。そのたどり着いた結果を記します。
 
全ての歌詞を書くのは権利上問題がありそうですし、表記の違いが明らかな箇所を中心に書きますので、気になっている方の参考になれば幸いです。…これは、原曲に忠実に歌おうと思った結果から来た私的な指摘です。ご批判もお寄せいただけたら嬉しいです。なお、いくつかバージョンの違いはありますが、歌詞をきちんと聴き取れるよう、音源は「LET IT BE…NAKED」のバージョンにフォーカスしています。「LET IT BE」のバージョンは「…NAKED」の録音をアレンジしたものなので。この「LET IT BE」バージョン(青盤収録もそう)のテープスピードを落とすやり方が良くも悪くも影響したのか、歌詞は聞き取りにくいです。このアレンジが歌詞の謎を生んでしまったのかもしれないと思うと、フィル・スペクターは罪深い男かもしれません。
 
この記事を書くにあたり、手元に歌詞カード、詩集とバンドスコアを用意しました。CD付属の歌詞カードはThe Beatlesの「1967-1970(青盤)」と「LET IT BE…NAKED」、David Bowieの「YOUNG AMERICANS」。それとソニーミュージックパブリッシングとシンコーミュージックによる「ビートルズ全詩集(改訂版)」、更にヤマハミュージックメディアが日本語版を手掛けた「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」。バンドスコアはソニーとシンコーによる青盤(2002年初版物)。
 
結論を先に言います。ACROSS THE UNIVERSEは、「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」に掲載されている歌詞が正しいと思います。ネットに書いてある歌詞は数が多すぎるのでここでの紹介は割愛し、主に「ビートルズ全詩集(改訂版)」(以後「全詩集」)、「[完全版]ビートルズ全曲歌詞集」(以後「全曲歌詞集」)を対比して、時に他の歌詞カードを参考にしながら個別に見ていきます。
 
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「全詩集」
 They slither while they pass they slip away(?)
 
先述しましたが、まず気になったのがここです。バンドスコアもこの表記。「while they」というのが聴こえている言葉とまず違う。さらに「they pass they slip~」と続くのは、文法の範疇では測れない歌詞の世界とはいえ、富田チルドレン(自称)としては看過できない強烈な違和感。意味としても、「全詩集」では「いつしか通り過ぎ」と「while they pass they slip away」をまとめてしまっていることに合点がいきません。Theyは冒頭のWordsを指しているでしょうし、紙コップに流れ込んだ言葉たちが溢れ出る様子を比喩として表現しているのであれば、slither とslip awayを使えば、passという動詞はこの場に必要ない。よく聴けば以下であると思います。
 
「全曲歌詞集」
 They slither wildly as they slip away(!)
 
ちなみに、「wildly as」は青盤とヤングアメリカンズの歌詞カードもそう。しかしネイキッドとバンドスコアでは「while they pass」でした。一項目としては取り上げませんが、ネイキッドとバンドスコアは、その後にある「my opened mind」を「my open mind」と書いています。少し残念。聴けばopenedであることはすぐに気が付くと思うのですが。
 
--------------
 
「…NAKED」
 That call me on and on(?)
 
「全曲歌詞集」
 They call me on and on(!)
 
なんか、…NAKEDの歌詞カードは前に引き続き残念。他は軒並みThatではなくThey。そりゃそうだ。だけど…NAKEDの歌詞カードには以下のような注釈がありました。
 
おことわり:歌詞は作者によって正式に認められたものを採用しております。実際に歌われている内容とは異なる箇所がありますが、ご了承ください。
 
ここの「作者」ってのが気になりますが、なんとなく言いたいことは分かります。大人の事情があるんでしょうか。「違うことは俺も分かってんだよ。だけど、これで出さなきゃいけねーんだ」というメッセージにも受け取れます。
 
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「全詩集」
 shades of earth(?)
 
「青盤」
 shades of love(?)
 
「全曲歌詞集」
 shades of life(!)
 
ここから佳境に入ります。文法的なことではなく、どちらも名詞として「earth」と「life」の違いで、全詩集、バンドスコアと…NAKEDは「earth」。全曲歌詞集とヤングアメリカンズは「life」。ところがなんと、青盤は「earth」でも「life」でもなく、「LOVE」と来たもんだ。
 
単純に「ライフに聴こえる」で終わってしまいそうですが、その前に対比として「Sounds of laughter」があり、その二つをまとめて「are ringing~」と続きます。つまり「Sounds of laughter」と「shades of ウンボボ」は、意味は反対であっても比較可能な同種でないと成り立ちません。それが「笑い声」と「地球の影」では対象として薄い。人間社会での明るさを表す笑い声だったら、客観的、物理的事実ではなく主観的な暗さが来てほしい。なら「暮らしにおける(人生の)影」という意味が対比になって良いんじゃないでしょうか。この意味だと「LOVE」も捨てたもんじゃないですが、聴こえるのは「Life」でしょうよ。
 
ちょっと言いにくいですが、このあたり、日本のトップシンガーで英語もネイティブ並みな方も「earth」でカバーしてましたね。「while they pass」もそうだったかな…。YouTubeで見られます。たぶんメロを知ってるから目の前にあった歌詞を信じていたんでしょう。もしくは…NAKEDのバージョンではなく、聴き取りにくい「LET IT BE」バージョンを参考にしたのでしょうか。ちなみにアコギ2本で演奏していたので、Keyは変えていますが形とするとネイキッドにかなり近いです。
 
--------------
 
「全詩集」
 my opened views(?)
 
「全曲歌詞集」
 my opened ears(!)
 
これもよく聴くと「views」ではなく「ears」だと思いますが、意味としては、全詩集ではare ringingを含め「僕の開かれた視野に鳴り響いて」と訳されています。悪いとは言いませんが、その後の「inciting and inviting me」まで考えると、耳に鳴り響いて僕を誘うという内容が良いんじゃないかと思います。ちなみに「inciting and inviting me」は、「inviting and inciting me」と前後が逆になっているものもあるようです。正しくは「inciting and inviting me」です。
 
…NAKEDの歌詞カードはedを付けないopenにviewsと続いていました。ここは聴くとedがないopenでも良さそうというか、判断に迷うところです。でもopenedだろうな~。
 
そして驚くことに青盤は「MY OPENED EARS VIEW」と、この問題にまるで一石を投じているかのような表記でビックリ。VIEWSでもないのがさらに凄い。
 
--------------
 
「Young Americans」
 It calls me(?)
 
「全曲歌詞集」
 And calls me(!)
 
最後に指摘するのは「It」と「And」です。私の結論は「And」で、ここは「全詩集」も「And」でした。「It」にしているのはヤングアメリカンズ、青盤、…NAKED、バンドスコアと結構多いですが、何度も聴くと「And」で間違いないでしょう。
 
ここで、数多くのカバーが存在するのに、なんでDavid Bowieを参考にしているの?と思われていた方もいるかと思いますが、その理由は、レコーディング時にジョンが同席していて、ジョンから歌詞を直接教えてもらっていた可能性が高いほぼ唯一のカバーであるからなんです。
 
このカバー自体を好きで聴いているかどうかは聞かないでもらうとして、コーラス部分はともかく英語詞の箇所は信じるに値すると思いながら検証していました。が、唯一納得できなかったのがこのItでした。どうしてもAnd、そうでなければThenにも聴こえましたが、Thenが入ると意味不明。正しいのかどうかは分かりませんが、Andで繋げてもcalls meだから、主語は三人称単数であるからして、直前のsunsではなくundying loveでしょう。It だと接続が気になって。いや、文を一旦切っているのならItでも問題はなさそうですが…最終的に私が判断したのは「And」でした。ヤングアメリカンズのおかげで最後に謎が残ってしまいましたが、これ以上の追及は不可能かな…。
 
--------------
 
ということで、ACROSS THE UNIVERSEだけを研究した結果、「全曲歌詞集」が信頼できるという結論に達しました。ただ、これを買うのにはためらいもありました。5,000円+税ですし、目的はACROSS THE UNIVERSEの歌詞だけ。それでも買って良かったと思います。ここに至るまで、ネットも見たり、ビートルズに関するいろんな本やムックを読んで、歌詞の表記に関する何かの手掛かりをつかむための調査もしていましたが、残念ながら有力な情報を探し出せなかったので、もはや自分が「こう聴こえる」と思っている歌詞が形になっている「紙」「出版物」が欲しかったんです。そうしないとモヤモヤが晴れない。一番近かったのがヤングアメリカンズの歌詞カードという、不思議に感じるけどある程度根拠のある情報を経て、最終的に最も豪華な本で一致点を見いだせたのは自然だったというか、必然だったというか、そう思いたいです。
 
こんなことを長々と書いてしまって…最後まで読んでもらえる人は、本当にACROSS THE UNIVERSEの歌詞に興味がある方だけでしょう。ご意見をいただければ幸いです。
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MICHAEL JACKSON 『SCREAM』

2017-10-09 | 音楽

MICHAEL JACKSON 『SCREAM』

新曲はないけど面白いコンピレーションアルバムだと思います。This Place Hotelから始まるなんて、暗さ全開!

http://www.sonymusic.co.jp/artist/MichaelJackson/info/486011

今回見逃せないのは、ロックウェルの「Somebody's Watching Me」がマイケルのアルバムに初めて入ったことでしょうか。これは聴いてもらうのが一番なのであえて説明しませんが、この曲を聴きたいがためにモータウンのコンピを探しまくったのは遠い昔の話です…。

個人的には、最後のオリジナルアルバムとなってしまった「Invincible」から「Unbreakable」が(たぶん初めて)再録されたことがうれしい。マイケルの代表曲が80年代に集中していることは誰しも異論はないでしょうが、ソロのキャリア全てを俯瞰したとき、これぞマイケル・ジャクソン!と言いたくなる集大成的な曲は、この「Unbreakable」のような気がしています。90年代以降のニュー・ジャック・スウィングのリズムを持ちながらも、BAD期のようなリフとシンセストリングスの絡み、極めつけは当時すでにこの世にはいなかったThe Notorious B.I.G.の極悪ラップ! ビギーの「Ready To Die」の「Unbelievable」と聴き比べるのも一興。過去の良い点を活かしつつも、常に新しいサウンドを求めていたマイケルの姿勢が表れている秀逸な曲です。

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Guitar Display

2017-02-12 | 音楽
Guitar Display
 
自宅のリフォームに合わせ、ギターを一括収納するための「ギター ディスプレイネット」部屋を増築しました。
 
ここは元々玄関の吹き抜け部分でした。およそ3畳で、私の自室の隣に位置しています。もしも壁を無くして部屋を広げると、ベッドと同じ空間になってホコリが舞うし、冷暖房の効率も悪くなる。しかも、大工さんに見てもらった時、広げようとすると元々あった柱も壁と一緒に取っ払うことになるので、耐震の面でダメでしたから、小部屋にしました。
 
いわゆるディスプレイネットでつりさげようと思って、インターネットで調べると、天井と床に突っ張らせて固定するタイプが多くありました。でも、私は最初から壁に穴をあけて固定すると決めていたので、大きさと強度両面で納得できるものをと思い、島村楽器イオンモール高崎店の店長さんに相談して、高さ180cm、横幅90cmの大きさで2枚、上下6か所でネジ留めする業務用のものを発注しました。中古でも大きさが合うものがあればよかったのですが、見つけにくいですから、半特注ってところです。
 
右側が方角でいうと東、左側が北になります。右側にエレキ6本を斜めに掛けるつもりだったので、重さ、負荷はかなりのもの。まずはその右側、大工さんとリフォームの現場監督さんと私の3人で取り付け作業にかかりました。
 
があるところでネジ留めしてます。
 
元々あった右の窓枠から左の壁の端までちょうど90cmで、すっぽり収まりました。壁紙の向こう側は、いわゆる「コンパネ」と呼ばれる材が敷き詰められています。コンパネにも厚さや強度で色々とあるのでしょうけど、大工さんによれば、薄いベニヤじゃないから、6カ所ネジで直に留めれば、相当の重さがかかっても大丈夫だと言われました。
 
ネジは少し余りがあったので、右側中央で元々穴が開いてないところにもドリルで穴をあけてもらって打ち込みました。よって右側は計7カ所で留めています。
 
左側は、右側のネットの左枠に押し付けながら付けました。元々あるネジ穴は、枠より少し内側にあったので、ネジ頭部に被らず枠一列全てでガッツリ押さえています。
 
 
で、左側(の左側)のネジ場所は、元々あった穴のところだと、どうもコンパネの継ぎ目部分に当たるらしく、少し内側に穴をあけてもらって付けました。
 
元々あいてた穴は左なんですけどね。
 
ネジの長さはこんな感じ。この写真で出っ張ってる部分の長さが壁側に打ち込まれる長さと考えてください。
 
吊り下げるためのギターハンガーは、ハーキュレス(HERCULES)の曲がるタイプと直線のタイプをそれぞれ調達しました。
 
右側のエレキ用は「GSP32HB」という、途中で曲がるタイプ。カチッと途中で止まるようになっているのですが、ガチガチではなく少し余裕があり、ギターを引っ掛けると重みで固定されるので、割とフレキシブルに角度を変えられます。
 
 
左側は「GSP39HB」という、短くて直線のタイプ。
 
単に掛けるだけではなく、部屋をあけたとき、エレキがちょうど正面に見えるようにしてみました。
 
右側上段はストラト3本で、間隔はこんな感じ。隣にぶつからずに取り出すことが出来る程度と考えてください。
 
 
 
右側下段にはレスポールとテレキャス。こちらの間隔はこう。
 
 
 
左側はOvation2本とリッケンバッカーベース、Gibson B-25の4本で、ここは斜めではなくまっすぐ。ハーキュレスの一番短いものでも、オベーションのディープボウルはネットにくっつくこともなく、ちょうどよく収まってくれました。
 
 
 
 
写真では隙間がほとんどないように見えますけど、慎重に動かせば右側のストラトを移動しなくても奥のオベーションは取り出せます。
 
このハンガーは、ギター本体の重みでロックされるのでとても便利です。オートグラブシステムというらしいです。少し心配だったのはテレキャスのヘッドでしたが、このくらい斜めになってもしっかりホールドされています。
 
 
ただ、テレの場合は掛けただけでは最後までロックされないこともあるので、その時は手前のロック部分をちょこっと手で動かすといいです。そうしないと後で「ガクッ!」となって、ネットに負担をかけてしまいます。
 
ちなみに、このハーキュレスのハンガーは、注意書きでラッカー塗装には対応していないとありますが、そんなことないような気がします。島村楽器の店長も、自身もハーキュレスを使っていて、ラッカーのギターもかけているけど(今のところ)問題ないと言ってました。
 
(ラッカーでも大丈夫?)
 
私も対策せずにラッカーのギターをかけていますが、数か月たっても何ともありません。ただ、年単位や、それに伴って材が劣化してボロボロになってくると影響が出るかもしれませんし、気になる人はクロス等を巻いてみてもいいかと思います。
 
 
時々換気はしますが、小部屋にしたおかげでギターにホコリがつきにくいし、北側にあるので直に日光を浴びることもなく、特に夏場は、保存空間、そして練習部屋としては良好なコンディションです。一つ気をつけなければならないことは、冬場に自室で暖房を使い加湿器をつけている時。ギター部屋はかなり低温で、そこで練習したくないので、自室にギターをもって来て弾きたいのですが、ドアを先に開けて一緒に温めておくか、弾くギターだけ先に自室に持ってきておかないといけません。そうしないと、寒暖差と湿度の影響でギター本体が結露してしまいます。
 
こう見ていると、こいつらをしっかりメンテナンスして、いつでも使える状態にしておきたいなという気持ちが強くなりました。実際、どれもそれぞれに活用をしてきたものの、今のバンドのメインは、掛けていない手前のスタンドにあるテレキャスと、その横にあるゴールドトップ。普段持ち出すものが一番手前にあるというのは自然なことでしょう。でも、それ以外のギターを弾かずに腐らせたくはないですし、自宅ではちょくちょく弾いて、必要に応じて一時的に貸し出すこともあります。傷なんかついたっていいんです。コレクターじゃないしその辺は全く気にしません。
 
 
つたない文面ではありますが、自宅や店舗でギターを掛けたいと思っている人の参考になれば幸いです。
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A DIFFERENT STORY 『ジョージ・マイケル~素顔の告白~』

2016-12-26 | 音楽

A DIFFERENT STORY 『ジョージ・マイケル~素顔の告白~』

感情の持って行き場が見つからないので、2006年1月に僕がmixiで書いた日記をブログに転載します。リンク切れもありますがご容赦ください。

 

『ジョージ・マイケル~素顔の告白~』

28日にようやっと観てきました。なんとか間に合いました。

http://www.wisepolicy.com/george_michael/

最近寝不足だったので、上映中に爆睡してしまったらやばいな・・・と思いつつ向かったんですけど、始まってみれば興味深いことばっかりで、最後まで集中して観られました。

今まで「?」と思っていたことが「!」に変わって、いやホント勉強になりましたよ。もちろん知らなかったこともありましたし。身近な人との死別に関しては胸が痛くなりました。

とはいえ、下世話かもしれませんが、ゲイのカミングアウトについては気になる所です。例の公衆便所事件でエルトン・ジョンが放った一言(字幕)。

「トイレで逮捕は、カミングアウトとして最低だ」

当のジョージ・マイケルは、

「たまに人を笑わすのもいい」

この時僕は、腹をかかえて大笑い・・・してしまいそうでした。もう笑いをこらえるのに必死。「クックックッ・・・」と。他のお客さんから笑い声が聞こえなかったので、なお更です。皆さんこらえていたのでしょうか?それとも笑う僕が不謹慎なのでしょうか。どうなのでしょう。

ジョージ・マイケルの音楽は、ポップス感がありつつも、リズムには黒さが見え隠れしています。特に「TOO FUNKY」以降では、ソフィスティケイトされたファンクとも言える路線があって、これがまた僕の趣向に一致しています。ソングライターとして最も尊敬する人物です。

ジョージ・マイケルの周囲でも、ツアーを望む声があるようですね。やはり生で歌声を聴きたいし、ファンなら誰しもそう思っているでしょう。当然僕も同じです。

この「George Michael」という天才を、もっと世の人に知ってもらいたい。少し大げさかもしれませんが、映画を観終わった後の素直な感想です。

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David Bowie

2016-09-18 | 音楽
デヴィッド・ボウイという人は、
 
「僕にSoul/Funkを教えてくれた人」
 
でした。
 
というと語弊があるのですが、正しくは、
 
「Soul/Funkを(僕が)好きだということを教えてくれた人」
 
です。これも分かりにくい表現かもしれませんね。
 
洋楽を聞き始めて、当然デヴィッドボウイにも興味をもって、とりあえず一番プッシュされていた「ジギースターダスト」をレンタルショップで借りてみたんですけど、何だかピンと来ませんでした。その頃の映像を見ても、あの容姿がカッコいいとも思えません。
 
それでも、DURAN DURANとJAPANに影響を与えた人物だけに、なにかあるんだろうと思ってベスト盤を購入して、順を追って聞いていきました。「レッツダンス」のタイトル曲はその前に知ってはいましたが…。
 
で、しばらく聴いていて引っかかったのが
 
「GoldenYears」と
 
「Fame」でした。
 
何を言いたいのか、これで分かっていただけるかと思います。
 
「Golden Years」をひっさけげて、白人として初めてソウルトレインに出演したということ。それと「Fame」は、曲を聞けばお分かりかと。
 
「お前、こんなのが好きなんだろ?」
 
とデヴィッドボウイに言われている気がしました。
 
つまり、それまで好きな曲調を無意識で判別していた僕に対し、Soul/Funkが好きだということを「気づかせてくれた」人だったんです。そうなると止まらない。特に70年代後半以降のオリジナルアルバムを聞き、その耽美的な部分も含めてますます好きになっていきました。
 
で、話は「レッツ・ダンス」に。
 
それまでの「カルト・スター」から「メジャー・スター」になったと頻繁にレビューされ、初期が好きだった方には不評という声も聞かれます。
 
それはさておき、
 
スティーヴィー・レイ・ヴォーンを起用して、彼のメジャーデビューへの道筋を作ったことでも有名ですが、はじめてレッツ・ダンスを聞いた当時は全く気にかけていませんでした。
 
その後、別の機会でレイ・ヴォーンを好きになってしばらくしてから、なんときなくレッツ・ダンスを聞いたら、
 
「このギターの音って、どっかで聞いたことがあるな…」
 
と、順序が行ったり来たりする混乱状態に陥りました。
 
そもそもレッツ・ダンスを先に聴いていたんだけど、レイ・ヴォーンを別個に聞いたときはそれと気づかず、レイ・ヴォーンを好きになってから、後でレッツ・ダンスのギターに反応してしまうというカオスに。
 
チャイナ・ガールの後半のソロもそうだよな、と。
 
その時には、既に弾きまくっているレイ・ヴォーンの音を知っていたので、レッツ・ダンスではヤケにひかえ目に弾いているなーという印象。ボウイという先輩に遠慮していたのか、弾き過ぎるなと指示されたのか分かりませんが。
 
そこで思い出したのが、レッツ・ダンスのビデオクリップ。当時僕が知っているのは、ベストヒットUSAの最終回でちょっとだけ流れた、最後のレイ・ヴォーンのソロ部分。
 
改めて見直してみても、画面に映っているのはボウイだけ。レイ・ヴォーンはいません。
 
良く見ると、レイヴォーンのチョーキングをボウイが当て振りしてる。
 
しかも手袋をはめたまま。
 
「そりゃーねぇよな」と思いましたわ。
 
その後ボウイのツアーにスティーヴィーが参加しなかったのは、その当て振りに腹を立てたのが原因だったとかなんとか。
 
真偽はともかく、分かる気がします。
 
なんか、悪口で終わってしまいそうなので付け足しますが、長くアーティスト活動をしていると、ちょっとしたことでトラブルになることは避けられないと思います。別に、ボウイだけに限ったことでもないです。
 
いずれにしても、素晴らしいギタリストが世に出るきっかけを与えたその先見性は流石だし、最後の最後まで創造性を失わず走り続けたアーティスト、デヴィッド・ボウイを忘れません。ありがとう。
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Gibson Custom Les Paul 1956 Goldtop VOS

2014-08-13 | 音楽

Gibson Custom Les Paul 1956 Goldtop VOS (2012)

 

エアロスミスが出たMTV10周年記念ライブで、ジョー・ペリーが持っていたゴールド・トップをカッコいいと思い、B'zの松本さんが97~98年にかけて頻繁に使っていた56年製の音を好きになり、最終的には、今バンドでコピーをしている斉藤和義さんの影響で、P-90の付いたゴールドトップが欲しいと思うようになりました。

買ってからもう数カ月経過してしまいましたが、このギターを今年買ったのには大きな理由があるんです。

では、購入正当化の「個人的言い訳」を書き連ねましょうか。

 

 

1.仕様変更

2.3.9kg

3.ポイント5倍+α

 

 

1.仕様変更

レスポールは、ロゴの位置、形状、パーツの種類、材質などなど、カスタムショップもレギュラーラインも数年おきに仕様変更があります。

カスタムショップのレスポールは、2013年に、ネックとボディの接着にニカワを使うこと、トラスロッドを覆うチューブをなくしたこと等、大きな変更点がありました。

加えてゴールドトップは、ビンテージっぽくほんのり緑色が加わった金になり、ほとんどの個体のボディバックはダークなこげ茶色になりました。

 

 

これは 「別にいいんじゃねーの?」 と思われるかもしれません。

 

 

でも、トップの色が「最初から緑っぽい」ってのがどうしても受け入れられなかった。使っていくうちにブラスパウダーが酸化して緑っぽくなるのなら味があっていいんですが、最初からってのは、どうも気に入らない。

ある楽器屋の店員さんは、「2012年までのゴールドって、あまり酸化しないんですよ。で、ビンテージの緑って、元々がほんのり緑っぽかったらしいです」と言ってまして、少し納得をしつつも…やはり2012年までの色が私の好みだったわけです。

当然ながら、緑っぽくない2012年までの製品は製造されてなく、今店にあるものしかチャンスはない!という状況になったため、慌てて探し始めたんです。

まぁ、僕がこれまで買ってきたギターのほとんどが、同じような理由なんですけどね。製造中止になったとか、限定生産とか…。

 

 

2. 3.9kg

99年に買った黒の98年製レギュラーラインのレスポールは重いのなんの。ウエイトリリーフと呼ばれる穴が開いているのかどうかは、レントゲン写真を撮ってないので分かりませんが、仮に穴が開いててこの重さだったら怒るぞ、というレベルです。

 

レスポールの「重さ」に関しては、人によって認識に違いがあるので面白い。僕自身は、50年代レスポールは基本的に「軽い(ものが多い)」という認識で、50年代の再現を目指しているヒスコレは、レギュラーと比較して軽い材を使う傾向にあると考えています。

 

昔、日テレで放送されていた深夜番組「DAISUKI」で、ゲストにモト冬樹さんを迎えて、楽器屋をぶらぶらしていた回がありました。

モト冬樹さんがレス・ポールをみて、「重いんだ、これが」 と、手に取って弾き始めました。確かにそのレスポールは重かったようですが、店員さんお勧めの、売価が40万以上するトラ目の浮き出たサンバーストを見て、

 

「これ、なんでこんなに高いの? すっごく重いんじゃない?」

 

と言ってました。おそらく冬樹さんは「重い」=「高価」といった 印象をレス・ポールに対して持っていたようです。

が、実際に手にした瞬間

 

「あ、軽い・・・」

 

と一言。 驚いていらっしゃいました。

 

 

それと、これまた昔の話で、

 

「前にジミー・ペイジの59年製レス・ポールを持たせてもらったことがあるんですけど、反則だよってぐらい軽かったですからね。あれだけ軽けりゃポーズもとれるよっていう(笑)」

by 土屋昌巳(ギターマガジン1997年11月号)

 

 

ギターに関してハンパではないこだわりを持つ土屋さんが言うからには、間違いないでしょう。

 

 

こんな事例を書き出すとキリがないので、僕が買ったギターの話にしましょう。実用的なことを考えて、ステージで弾いて気にならない重さのものがいいなーと思い、ネットで事前に調べました。

 

カスタムショップ製(完全ソリッド)の場合、3.9kg~4.3kgというところです。まれに3.5kg前後のものもありますが、それはボディ内部に空洞のあるチャンバード構造になっていて、ちゃんとシリアルに「CR」と表記されてます。

ちなみに、B'zの松本さんが最近使っているサンバーストのレスポールは、チャンバード構造だそうです(Player 2014年6月号)。

 

故に、3.9kgは完全ソリッドのゴールドトップ中では、相当に軽い部類と考えていいでしょう。気になる人はレントゲンで調べても面白いかもしれませんね。

 

 

僕が買ったゴールドトップは、ネットに重さが書いてなく、置いてある石橋楽器の町田店さんに電話で問い合わせたところ、

「約3.9kgです」

という答えをいただいたので、もうその場で

「取り置きしておいてください」

とお願いしました。この際、3.90だろうが3.99だろうが関係ない!

 

何年か前に楽器屋の店員さんに聞いたところ、軽い材は優先的にサンバーストに行くことが多いらしいので、ゴールドトップでここまで軽いのはチャンバード以外では珍しいから、この個体の購入に向けて大きく舵が切られました。

ただ、今のレギュラーラインのスタンダードはチャンバードもしくはウエイトリリーフのおかげで、3.5kg以下がズラリと並んでいます。平均的にはカスタムショップ製より軽いんじゃないのかな~?

 

3. ポイント5倍+α

買うに当たって、やはり気になるのは値段。買ったのは消費増税前で、まぁ増税分がどうこうというのはさておき、その時のイシバシさんのセールでやっていた「ポイント5倍」ってのが魅力的でした。

しかも、このゴールドトップは、サンバーストに比べてもともと安いことに加え、生産完了品扱いで特価となっていました。さらに、肩に背負えるタイプのギブソン純正セミハードケースがついて来たことも評価点。

実は、セミハードケースには2種類あり、購入時の基準は、ギター本体がある一定の額以上だとカスタムショップの革製、それ以下だとUSAのナイロン製。僕の買ったギターは特価品だったのでナイロン製となりました。皮よりナイロンの方が丈夫で長持ちするし、結果的には良かったのですが、本来は値段じゃなく、ギター本体がカスタムショップ製かレギュラーラインかで判断すべきものなんじゃないの?という疑問が残りました。

 

ちょっと話はソレますが、カスタムショップ製のサンバーストは、トップのトラ目がゴージャスであればあるほど値段が高い傾向にあります。トップがプレーンなのは58年型に多く、バリトラの59~60年型はその2~3倍の値段になってしまいます。恐ろしや。

僕はいままで、ギター本体が「〇〇万円」を超えない範囲で買っていました。正直、ソリッドのエレキギターに関してはそれ以上の製品って手が出しにくい。なかなかね、難しいもので。

今回のレスポールは、特価だったとはいえそれを上回っていました。けど、上記のポイント5倍とセミハードケースの相場を差し引き、ほぼ許容範囲になったとして納得しました。

以前の記事でも書いたとおり、本体価格がジワジワ高くなってきているから、「あの時買っといて良かった」「あの時買っときゃ良かった」ってのがそれぞれあったわけです。今後のことはわかりませんがね・・・。

と、購入理由を書きましたが、実はお店に行った時に悩んでしまったんです。

軽さは文句なし。これなら肩も腰も痛みは出ないと思う。

ネックの握りは好みのガッチリめで、凄く馴染んだ。

生音も鳴りがイイ。バックの木目も気に入りました。

ところが・・・ところがです。

正面から見てみると、1弦と6弦のネックエッジまでの間隔が違うんです。測らせてもらったら、22フレ付近で約1ミリ、弦全体が6弦側に寄っているようでした(弦の太さも考慮したうえで測っています)。

ビンテージタイプのストラトと違い、レスポールはそもそもが弦落ちしにくい幅で作られているし、弾き心地に全く影響はありません。考えたら、僕が持っている黒いレスポールもそんな気がありましたし。

でも高い買い物なのでね~。悩みながら各部を見回していたら、ブリッジのコマにある溝がセンターではなく、位置がバラバラだったんですよ。何ということでしょう!

まさにこれが、ギブソンがギブソンたる所以かもしれません。

コマはばら売りもされているし、セットネックのレス・ポールはフェンダーのギターのようにネックとボディ間の関節のいわゆる「整体」ができそうにないので、個体によって溝の位置を変えることで調整することも当然あります。でもね、それにしてもこいつはバラバラだったんです。つまり、問題は全体のセンターズレというよりも、各弦の間隔が違うということでした。

瞬間的に、56年タイプがもう一本ある御茶ノ水店が頭に浮かびましたが、この点以外は問題ない。しかもこの軽さは何物にも代えがたい。嫌ならブリッジのコマを後で取り換えりゃいい!

そう考えて購入を決意しました。

以前の輸入代理店であった山野楽器さんの検品については、このブログのB-25の回でチラッと書きました。今はそれがない。ここでハッキリと言います。

 

「ギブソン買うなら自己責任」

 

なにか気に入らない点があっても、販売店さんに責任を押し付けてはいけません。

最終的に選ぶのは「あなた」です。

石橋楽器町田店の店員さんは、僕が遠方から来たということで、好きな弦をおまけで2つプレゼントして くれました。もともと1つはセットとして含まれていたので、計3つ。かなり貯まるポイントと含めて、しばらくは弦に困らなくなりました。エリクサーだから頻繁に交換する必要もないので。

しかし、純正のハードケースとセミハードケースの2つをエイコラと運んでいる様子は、小田急線の中でかなり目立っていたかもしれません。混雑しているとき、人の目が痛かったしな~。

懸案だったコマ交換は、きちんとセンターに溝が成型さ れているKTSのPR-01SETをネットで購入。コマだけの交換ができなかったので、ブリッジ全部を乗せかえると、スタッドの規格と合わず、若干カタカタ音がしました。でも、弦を乗せて固定すれば全く問題なく、ズレもほぼ解消されたので、精神的モヤモヤ感がなくなりました。

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2017年末追記

PR-01SETに不満があったわけではないのですが、スタッドの企画の問題と、インチとミリの関係で、インチサイズのレスポールの弦間隔より極僅かに狭いということもあり、思い切ってカラハムのABR-1に交換しました。とても精密に作られていて、素人ではコマを外すことも出来ないくらいギッチリ!

予め溝が彫られているものを買いましたが、これはイイです。とても良好な鳴り。

ちなみに、いまのカラハムABR-1は、裏面にCallahamの刻印は無いようです。復活するかどうかは不明。

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でもエレキは、プラグインしてナンボの世界。P90の独特の音をどう処理するかが楽しみの一つです。

さっそく自分のエフェクトボードに差し込んで音を出すと…。

店では気がつかなかったのですが、やたらと音がデカい。よくよく見ると、ピックアップと弦の間隔が狭すぎる。ハイフレットを押さえてピッキングするとリアピックアップのポールピースにくっつくんじゃないか?と思うくらいです。

この状態で今までと同じトータルバランスにするには、ペダルのドライブを下げてレベルを上げなければなりません。そうしないと、スルーの時の音量と踏んだ時との音量差が発生してしまいます。

この56年型は、製造当時と同じくピックアップの高さ調整ができないものでした。自分でピックアップを外して確かめても、当然ながらどこにもバネはない。つまりボディに直付け。

しょうがないので、トラスロッドとブリッジを自分で慎重に調節し、当初低すぎた弦高を少し高くしながらも弾きやすい位置に持ってきました。それと、ピックアップカバーのボディに当たる面を約1ミリほどヤスリで削りました。カバーを削ったところで、実質下がったのは0.5mmにも満たなかったのですが、現状はこの状態で使っています。

本心では、ルーターを使って全体を3mmほど下げたいんですが、あまりザグリたくないしね~。ちょっと悩み中。

 

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(追記)
意を決してリペアショップにお願いし、キャビティの底を3mmザグりました。でも単に3mm下げたのではなく、薄いスポンジをかませてもらって、若干の上げ下げができるようにしました。ま、実際は押し付けっぱなしで2mm下がった状態ですが、現状とてもいいです。

ハムに比べてエッジが立ちつつも、ギシギシするほどではなく、程よい甘さと太さを併せ持っています。やはり個性的な音で、使いこなせたら楽しそう。

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あと、練習で何度か使っていたら、バックルでボディバックに凹みがついてしまったので、ポリカーボネイト製の丈夫なフィルムミラーを張り付けました。もともとは浴室のタイル等に自由に切り貼りできる製品なんですが、バックル傷防止に最適です。

 

 

先日、とうとう人前で弾く機会に恵まれました。

弾きながら歌うにはとてもいいギター。肩に下げた時のバランスが良くて、重さで疲れることもありません。テレキャスに比べて扱いやすく感じます(でもFender大好き)。

大それたことを言えるような実力はないんだけど、それでも弾きやすいことはありがたいこと。長い付き合いをしていきたいと思います。

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