CROWTHER AUDIO HOT CAKE V2
HOTCAKEについて、一部の店やサイトでは「生産終了」とうたっていますが、ネットのショッピングサイトには「V2」なる商品名でトグルスイッチが2つあるのが売ってて、もっと細かく言うと同じ商品の中でV2と3KNOBの画像が交じりながら紹介されてた時期もあり、購入時の問い合わせで「どっちですか?」と聞いたこともあります。結果はV2が届きました。
約25年定期購読状態だったギターマガジンとプレイヤーの読者を2020年に卒業してしまっていたし…新商品紹介なんか全然見てなかったから、「V2」ってその間に紹介されていたのでしょうか。
そもそもHOTCAKEは3台持ってて、それはここに書いていたんですけど、店頭でさっぱり見なくなったから「ヤバいな」と思ってました。
好きとはいえ基本は「OLD CIRCUIT」さえあれば事足りるので、XLFの青い個体や77リイシュー、ダブルホットケーキを買うことはなかったのに、なんでこの「V2」なるシリーズを買ったのか? という理由は、まず情報がないので確かめたかったこと、それとルックスが良かったこと。私はホットケーキのルックスが好きなんですけど、さっき書いた青い個体や77リイシュー、加えてダブルのルックスがカッコいいと思えなくて。
エフェクターを選ぶ基準のひとつにルックスがあってもいいと思うんです。
パッケージ等にはどこにも「V2」なんて書かれてません。これ、ポールクラウザーさんが手がけた本物なのか…?
という疑問もありますが、ロゴも同じだし、恐るおそる裏ブタを開けると…、
これは本物でしょう。ニュージーランドの住所、電話番号、メールアドレスもきちんと書いてありますし、以前のと一致しています(住所は一度変わっているようです)。
情報のより所として、「THE EFFECTOR BOOK VOL.50」の記事にあるシリアルナンバーの見方(と考えられると書いてある)によれば、手書き数字の最初の2文字が西暦下二桁(Year)。ここまでは明らかなので、それ以降は私の推測を含みますが、その次の2文字が月(Month)、その次が月内の生産順番でしょうか。
となると、写真の左は「2022年3月生産の29台目」、右は「2023年5月生産の75台目」と読み取れます。
例えば上の「220329」は、考えようでは「2022年生産の329台目」と「03」「29」を切り分けずにトータルすることも可能は可能だと思います。かつてポールさんは「一日に10台の”Hot Cake”を作れるね」と言っていましたが、それが最大値であったとして月に10日作り続ければ、それで桁が増えてしまう…。ならば4桁の通し番号の方が妥当かと思います。
だけどなぜシリアルの真ん中を「月」と考えたかというと、
・私がネットで注文し届いた時期から考えてこの番号が月に近いこと(計2回)
・裏に貼ってあるシールには最初の4桁まで印刷されていること
を根拠としています。4桁の印刷は別に月でなくても理論上おかしくはありませんが、1カ月に1回印刷するという方が合理的な気がするんです。
月に100台を超えるかどうかは、シリーズによって順番を変えていれば問題ないかもしれません。かつての「STD」「OLD CIRCUIT」「3Knobs」のように。
もちろん種類によってこのナンバーを変えているのか、決定的な根拠はありませんが、過去のものを参照します。
上は私が99年に買ったOLD CIRCUIT。「1997年11月生産の49台目」でしょうか。DCジャックはありません。エフェクターブックで紹介された個体は「1999年7月生産の11台目」と読み取れますが、それにはDCジャックが付いています。
次に下は、同じくOLDでDCジャックあり。「2012年11月生産の22台目」と推測できます。
ただ、先に書いた通り、同じホットケーキにもオールドかどうか、3Knob(s)か、時期によってはXLFか、という種類の問題もあり、それをシリアルでどう区別していたのか分かりません。下は私が所有する3Knobで、同じ公式に当てはめれば「2003年4月生産の32台目」。
次に、YouTubeで見つけたポールさんのインタビュー動画から考察します。
翻訳の精度はおいといて、インタビューを受けたのはおそらく2016年か2017年と考えられます。
でも、手元でシリアルを見せているのは「0402B9」。ナンバーを読み上げたとき、間違いなく「ビー」と言っていたので、アルファベットも交じっています。
これはインタビューを受けたときの最新型ではありません。なぜなら、この時は既にリニューアルしていて、ノブが高くなり、色も変化していたからです。
これはインタビュー時にクルーが撮影したものと思われますが、左側にあるホットケーキのノブが高くなっています。しかしポールさんが持っているのは以前の低いもの。ちなみに右側の「Prunes&Custard」のノブは低いまま。比べるとよく分かります。
つまり「2004年2月生産のBの9台目」?
ここまではクラウザーオーディオ側でしか見てこなかったですが、そもそも日本での流通にはヒューマンギアの力があったはず。以前に店頭で売っているホットケーキは、下のようにヒューマンギアのお墨付きのシールが貼ってあり(97年製には無し)、取扱説明書も付いていました。
しかしV2なるものにはヒューマンギアの影が感じられません。シールもなければ説明書もなし。
実はネットで注文した「エフェクター○○○」という店に、とても不躾ながら問い合わせたところ、以下のとおり回答がありました(前段略)。
>現実にホットケーキは生産終了し、ポールクラウザーさんは
>引退をされたのでしょうか?
大変恐縮ですがこちらの質問について、当店では分かりかねます。
>また、今でもヒューマンギアさんのページには掲載がある
>ままですが、既にヒューマンギアさんでの取り引きはなく、
>各店が直接対応されていらっしゃるのでしょうか?
大変恐縮ですが他店様のことについて当店では分かりかねます。
…しかしV2が本物であれば、ポールクラウザーさんは引退していないでしょうし、ヒューマンギアの件はエフェクター○○○さんの取引で経由しているかどうか、なければないと答えてもらうだけでいいのですが。
取り引きしていながら、直接じゃないからなのか? 何もかも分からないそうです。答えられない事情があるのかもしれませんね。
参考にした文献は
The OVERDRIVE BOOK 2006年
The EFFECTOR BOOK Vol.50 2020年
です。
The EFFECTOR BOOK Vol.50で最初の紹介ページだけ見ると、とても購買意欲を駆り立てられるものではありませんが、ま、まぁ、これが弾かれた方の本音でしょう。特徴はつかんでますしね。それぞれの考えと思い入れ、好みがあって然るべき。後はセッティング。
で、本題に戻ると、どうやら
「ヒューマンギアでの取り扱いはなくなっているが、機種を絞って生産は続いている」
と考えるのが妥当かもしれません(2023年8月現在)。
一部で法外な値段も付いていますが、売ってるんです。で、適正な値段のサイトで実際に買ってみたんです。
誰か、お店の方、詳しい事情を知っていたら色々と教えてもらいたいです。
ちなみに購入した「V2」、音の話題を一切出していないのですが、それは私が一切プラグインしてないから。もちろんこれから弾こうとは思ってますが、2台のうち、デッドストックとして少なくとも1台は取っておきます。