またひとり、熱い役者がこの世を去った。28日、54歳の若さで亡くなった今井雅之さん。末期の大腸がんであることを自ら告白し、闘病中であることを明かしてからわずか28日。「せめて秋まで」という願いさえ、かなうことはなかった。
無念の降板となった舞台「THE WINDS OF GOD」。降板を発表する前、夕刊フジのインタビューに応じたが、自衛隊での実務経験もあるタフなイメージとは裏腹に「けがはしょっちゅうだが、それまで自分の辞書に病気はなかった。お医者さんにも生きているのが不思議、奇跡だといわれました」と、らしからぬ言葉でその衝撃を語っていた。
そして先月、末期がんであることを明かした会見では、ほほはこけ、体もやせて細くなっていた。転院を繰り返し、抗がん剤治療の苦しさを語る姿は凄絶ですらあった。
芸能人のがん闘病に関する著書もある芸能評論家の肥留間正明氏は「あの会見で、今井さんは、言葉ではまだ闘うといっていたが、目に勢いがなかった」と話す。「告知することがいいとは限らない。闘病する気持ちがあるとはいえ、告知されたことで知らないうちに気落ちし、死期を早めてしまう可能性すらある。闘うことが本当に難しい」とも。
「石原裕次郎さんは告知されていなかった。だから、最後までファンの前では石原裕次郎でいられた。漫画家の手塚治虫さんもそう。最後まで仕事を続けることができたんです」と肥留間氏。
「一方、余命半年と宣告されたタレントの清水クーコさんは『死にたくない』と泣きながら亡くなった。歌手の出門英さんも告知された途端、今までの元気をすっかり失ってしまった」と説明する。
秋に主演舞台の映画化が控えていたため、「よくなると信じています。神様には秋まで寿命を持たせてとお願いします」と会見で語っていた今井さん。このときすでに自分の死期を感じていたのだろうか。
その早すぎる死を悼む声も絶えない。
「THE WINDS OF GOD」で共演したタレント、井戸田潤(42)は「この舞台を成功させることが今井さんの想いでした。今井さんの想いを胸に最後まで舞台を務め上げます。『最後まで頼むぞ』と託された時の声が忘れられません」とコメントを発表した。
ドラマで夫婦役を演じたことのある女優、田中美奈子(47)も「現場ではムードメーカーで、スタッフやキャストを盛り上げ、人の見ていないところで本当に努力の方でした。持ち前の負けじ魂で復活してくださると信じていたので大変残念です」と話した。
http://www.iza.ne.jp/kiji/entertainments/news/150530/ent15053020210032-n1.html
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