それから夢は、自分からも積極的に四小に話しかけるようになりました。
あるお昼休み、夢は校庭で四小に給食のことを話していました。
パンは食パン・コッペパンなどいろいろあって、どれもおいしいけど、一番
おいしいのは揚げパンだということ、おかずは、やっぱりカレーやシチューが
大好きだけど、鯨の竜田揚げもおいしくて好きなこと、でも、脱脂粉乳の
ミルクだけはまずくてなかなか飲めないこと等々、話し出したらとまりません。
四小は、そんな夢の話を楽しそうに聞いていました。特にミルクの話は、夢が鼻を
つまんで顔をゆがませ、本当にまずそうに飲むしぐさをしたので大笑いでした。
「なんで笑うの。本当にまずいんだから。あんなの一杯飲むのがやっと。半分残す
人もいるのよ。」
夢は、ほっぺたをふくらませて怒ったように言いました。
「ごめん、ごめんね。だって、夢ちゃんの顔ったら、本当におかしかったんだもの。
でも、そのまずいミルクも、もうすぐ飲まなくてすむようになるわ。」
「ほんと?」
「ほんとよ。来年から牛乳になる予定だから。」
「わぁー、よかったあ。牛乳ならおいしいもん。」
「だからもうちょっとだけ、まずくてもがまんして飲んでね。」
「うん。牛乳、牛乳、はやく給食にでてください。今のミルクはもう飲めない。
牛乳でたらもう飲まない。」
給食で牛乳を飲める日が待ち遠しくてたまらないと、ちゃめっけたっぷりな
歌としぐさで喜びを表す夢を、四小は、午後の始業のチャイムが鳴るまで、
じっといとおしそうに眺めていました。