風の向こうに  

前半・子供時代を思い出して、ファンタジィー童話を書いています。
後半・日本が危ないと知り、やれることがあればと・・・。

物語が一区切りついたところで

2010-02-14 21:20:10 | 日記

幼き日に見た風景

幼き日に聞いた声

それは 大切なもの

 

誰もが見ているはずの

    聞いてるはずの

大事な 大事な もの

 

幼き日に見たものを

      聞いたものを

大切に 大切に

 心の奥の引き出しに

      そっと しまっておきたい

 

                                              鏡 響子  

                                  平成21年12月7日

 

 

 


戸久野第四小学校の呟き

2010-02-14 20:54:11 | 校舎(精霊)の独り言

夢ちゃんと私の物語も一区切りつきました。

でも、二人の心の通いあいが、無くなった訳ではありません。

まだまだ、二人の物語は続きます。六小という私の妹を通して。

そして、夢ちゃんには、新たな物語が待っていました。

そう、六小との心のふれあいです。

では、”風の向こうに(第二部)”を、どうぞ!


風の向こうに(第一部) 其の弐拾四

2010-02-14 18:46:38 | 大人の童話

昭和四十六年四月、第六小学校を卒業した夢は東中に進みました。夢は、また

四小に会えると思うとうれしくてたまりません。しかし、不安もありました。中学生に

なった自分は、はたして小学生の頃のように、四小と心を通わせることができるのか

どうか、夢は期待と不安を抱えながら、中学校の入学式に向かいました。一年生の

時に通いなれた道、その道を歩きながら、夢はいろいろなことを思っていました。

そして、四小 の後ろの道を通り過ぎようとした時、突然、あの優しい響きの声を

聞いたのです。あわてて四小の方を振り返ると、そこには、今までにない

大きな輝きを放つ、光に包まれた四小の姿がありました。

「おかえりなさい。それから、中学入学おめでとう。」

「ただいま、帰ってきたよ。これからまた、三年間よろしくね。」

四小は黙っていました。

「どうしたの。なぜ、答えてくれないの。」

やがて、静かな優しい、それでいてどこか厳かな雰囲気のある四小の声が響いて

きました。

「あなたも、もう中学生。これからは、わたしと話すこともなくなるでしょう。あなたは

どんどん大人へと向かってゆくのだから。でも、寂しがらないで。そして、覚えて

おいて。たとえ、もうこれから先、わたしと話すことはできなくても、心だけは、ずっと

通わせ続けることができるのだ、と。あなたがわたしを思う時、必ずわたしもあなたを

思う。あなたがわたしを忘れても、わたしはあなたを忘れない。ずっとあなたを

覚えている。そう、これからも・・・ずっと・・・・ずっと・・・・・・・・。」

声がしている間、夢はずっと泣いていました。しかし、最後の声が消える間際、

大声で叫びました。

「わたしも、わたしもずっと忘れない。これから先、どんなに時がたっても、

忘れない。 ずっと、ずっと覚えている。あなたの、四小さんのことを・・・・・・・。」

「あ・・・り・・・が・・・と・・・う・・・。」

一瞬、四小の声が聞こえたような気がしました。こうして、声は静かに消えて

いきました。それとともに、四小を包んでいた光もすべて消え、周囲はいつもの

風景に戻っていました。

「わたしの方こそ、あ・り・が・と・う。」   

そう言うと、夢は涙を拭い、力強く、また中学の方へ向かって歩き出しました。

                                                完