六小が開校してもうすぐ一年になろうというある日、開校記念に、全校で校庭に
人文字を描き、それを空から撮影するということになりました。子どもたちはみんな、
もう大はしゃぎです。夢も、これからどんなことが起こるのかとわくわくしていました。
先生たちが、「はい、あなたたちはこっちに並んで、君たちはあっちに行って。」などと
言いながら、子どもたちを学年ごとに誘導して並べていきます。やがて、何とか
文字ができあがりました。みんな、にこにこしながら空を見上げています。飛行機が
飛んでくるのを待っているのです。
「夢ちゃん、夢ちゃん。」
呼びかける声に夢が振り向くと、そこにはチカッチカッと小さく光りながら、
いたずらっぽく笑っている六小がいました。
「うまく描いたわね。へたくそだったら、みんなを飛ばしちゃおうと思っていたのに。」
「また、六小さんは!みんな、上手に描いたでしょ。そんなことばかり言ってると
みんなにきらわれちゃうよ。」
「いいわよ。どうせ、みんなはわたしのことなんてわからないんだから。」
「もう!そんなこと言って。」
「だって、ほんとのことじゃない。」
「そりゃ、まあ、そうだけど。」
「でしょ?」
そんなことをいっているうちに飛行機が飛んできました。子どもたちから、
「ワーッ。」という歓声があがります。
”あそこからどうやって写真撮るんだろう。わたしたちは、ちゃんと撮れているかな。
写真できたら見てみたいな。”
雲一つない青い空、校庭の上を高く低く、何回も回りながら飛んでいる飛行機を
眺めながら、夢はそんなことを考えていました。