昭和四十三年、四年生になった夢に衝撃的なことが起こります。夢と二・三年生の時
仲よしだった友だちは、実は他県に住んでいたのです。でも友だちは、六小の方が
通うのに近いからと六小に来ていました。しかし、他県の子どもが東京の町立学校に
通うのはおかしいと町で問題になり、友だちは本来行くべき学校に転校していって
しまったのです。仲よしだった子がいなくなってしまい、夢は心配になりました。更に
クラス替えがあり、先生も今までの男の先生から女の先生に変わりました。夢は、
どんな先生なのか、新しく友だちはできるのかと不安でした。そして、夢の不安は
新しい学年が始まって、すぐ現実のものとなりました。そう、夢に対するいじめが
始まったのです。朝、学校に着くと、なぜか数人の男子がわざと夢に触れていきます。
そして、「わー、エンガチョ、汚ったねぇー。夢のエンガチョ、さわっちゃったよー。」
などと叫びながら、廊下を走っていきました。その途中、「エンガチョつけた。エンガチョ
切った。おまえ、それ、夢のエンガチョだからなぁー。」と言って、エンガチョを他の子に
つけていきます。こうして、この遊びは次から次へと広まっていきました。そのうち、
「夢は汚ねぇ。臭い。側に寄るな。」など、様々な悪口を言われ、いやがらせをされて
仲間はずれにされるようになりました。