
コロナの影響からアメリカでは新刊が発売されない。いよいよ読むアメコミがなくなってきて、緊急避難的に買ったThe NEW MUTANTS (“NM”) 21号、22号をレビュー。
筋書をChris Claremont、画をBill Sienkiewiczがそれぞれ担当。添付画像は22号のもので、同じくSienkiewiczの作品。ディズニー・アニメのような表紙が気に入ったので採用。
Sienkiewiczはこれまで何回も褒め称えたのだが、今日も褒める。背景にいる人物の輪郭だけが描かれているコマがある。手抜きかもしれないが、輪郭だからこそ件p的に見えちゃう。同じページ。DaniとIllyanaが喋っている背景の少女達が、次のコマでは同じメ[ズで拡大されて会話している。テレビの手法で最初は手前の人物に焦点があり、次第に後ろの人物に焦点が合わさる手法が、漫画の中で行われている。楽しい。
粗筋から。地域の少女達を招いてパジャマパーティ中のNM女子メンバー。男子メンバーが隕石を拾って持ち帰ったが、それは異星人Warlockだった。一般人が屋敷にいる中、Warlockが暴走する。22号の前半はSamや他のメンバーの訓練、後半はRhaneのお伽噺。
売上を立て直すためなのか、いきなり新キャラを登場させたClaremont。準メンバーだったDougまで担ぎ出して、何だか唐突感半端なし。ちょっとWikipedia見たら、当時の画家たちは、Dougが邪魔っけだったらしいことが書いてあった。それは、話を作り手の好み次第だな。オイラはこのキャラ悪くないと思っている。そもそもみんなが凄い戦士ってのに無理があるよ。
21号は新たな始まりみたいな話で、大事件でもないな。その中でちょっと好きなX教授の台詞。”I can see from their thoughts that they act from their best and most noble of motives.”教える立場であるX教授が感心するほど、NMを評価している。Warlockを保護してメンバーにしたことに関してね。
続いて22号も次からの話への伏線多数でそれ程大事件は起こらない。コーチ役であるNIGHTCRAWLERと生徒Samの会話。N ”You’re scared of heights?” S “Yeah a little.” 空を飛ぶことのできる彼が、高所恐撫ヌなんて面白い。しかし、会話が進むにつれわかってくるのは、Samが恐れているのは彼の力がもうピークでこれ以上何も進歩しないこと。Samは年上でありながら、自分自身に自信が持てていない。こういう内面を描いているシーンは良いな。
後半部分のお伽噺。ClaremontはKittyやIllyanaを話し手にしたお伽噺をこれまでも世に送り出しているが、三番目のドジョウ的な作品だね。(Kittyのそれが1982年、Illyanのそれが1984年の作品。そしてこの作品も1984年の作品。)
そして、このお伽噺が次の号への伏線となっている。銀の魔女と黒い騎士。そうか、そういうことか。CLOAK and DAGGERね。