アメコミとラーメン

DAREDEVILその4


3年半振りのDAREDEVIL(“DD”)について。アメコミの中でも王道というより、通好みの作品を日本語版にする出版社ヴィレッジブックスからでたDD Born Again 3,300 yen也。高い。そもそもDDはそれ程好みのヒ―ローではないので、原作は読んでいない。

粗筋をFrank Miller、画をDavid Mazzucchelliが担当。帯にも書いてあるけど、BATMAN Year Oneを制作したコンビによるもの。Year One(前にも書いたかもしれないけど、何度も読み返した大好きな作品)も良かったけど、このBorn Againも凄い作品だ。買わなくて後悔するより、買って後悔した方がましという相変わらずの後ろ向きな理由で買ったものの、本当に買って良かった。

プロットはそれ程好きじゃない。最大の敵で暗黒街の親玉King PinにDDの正体がバレ、DDは、命が危険に晒されたばかりか、地位や名誉、精神状態までボロボロにされちゃう。しかし、最後は大逆転するってもの。挫折、そしてさらなる没落、そしてどん底からの再生という脚本の基本に忠実に仕上げられている。

DDの元かのKaren Pageの葛藤、King Pinのプライド、DDの今かのGloria、新聞記者B en Urichのギャングからの脅迫との戦い等主人公以外の登場人物の描写がちりばめられていて飽きさせない。その一つ一つの話が大団円に向かって進行して最後には一つに繋がるところは、流石Frank Millerだ。

一方Davidの方の画は、Year Oneの時の画の方がどちらかというと好き。このBorn Againが1985年の作品、そして、Year Oneが1987年に発表されたことを考えると、その2年でDavidの画も随分成長したことになる。細かい線がどんどん消えていった印象があるな。

難点もある。まずは、実の母親との関係が踏み込み不足だ。そして、最初のDDの挫折も海千山千のDDがKing Pinの罠にまんまとひっかかり、いとも簡単に、精神的に追いつめられるっていうのはいただけない。

一方、DDことMatt Murdockの不屈の精神や、優しさには感動する。特に元かのKarenはMattを裏切って正体を犯罪者にばらしてしまうのだが、そして、命までもが危険に晒されてしまうのだが、最後はそれさえもを許してしまうのだ。お話とは言え、ここは泣けるね。それとは対照的にKing Pinの冷酷さをいろいろな場面で描写している。ここもFrankの才能のなせる業か。

最後から2番目のコマも面白い。King Pinの薄気味悪いほどの冷酷さが描かれている。
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