前回も書いたようにこの作品は新作の合間に読んでいるので、レビューまでには時間がかかる。話が複雑すぎて前の話を読み直したりしながらなので、なおさら。今回も3冊まとめての紹介。
筋書をMoorcock、Rose von Bekの話の画をSimonson、Sir Seaton Beggの話の画をMark Reeve、Elricの話の画をJohn Ridgwayがそれぞれ担当。
今回の添付画像は8号の表紙。Simonsonの描くElricが持つ混沌の盾の解釈。これだよ。混沌を表すように矢は八方に向いているが(小説通り)長さが違う。そりゃ混沌だから矢の長さは違うわな。本編ではさらに矢の太さも異なるよう描かれている。まいりました。
粗筋をサラッと紹介。Rose、Samと敵方のHoratio船長は、Silverskinの住むスコットランドにあるTannochbraeに到着。別次元のSeaton一行もSilverskinの居所であるTannochbraeへ到着。3話目はサハラ砂漠にある廃墟にElric一行は到着。
全話通じて漸くGaynor the damnedが正体を現す。Paul MinctとしてではなくGaynorとしてね。Simonson曰く、Ganorのデザインはその昔Barry Windsor Smithが描いたデザインを踏襲したとのこと。この話も読みたいな。
第一話目の話。法の軍団の艦隊を混乱させるための道具がレコードってのが良いな。原作を書いているMoorcockはその昔Blue Oyster Cult等に歌詞を提供していて音楽業界との繋がりが強い。また、このレコード盤ってこの作品が発表された1998年でも効果的だが、最近のレコード盤の人気を考えると今の方がより効果的だな。
Moorcock自身がこの話に登場していたが、ギャンブルの相棒としてSimonsonも8号で登場。ますます変な話になっていく。
混沌と法の戦いが多方面で行われているのだがSimonsonの画で救われているが、登場人物が多すぎてついていくのに大変。Simonsonじゃなかったらこの変な話を描くことは到底不可能だ。この話を読んでいくと彼はJack Kirbyっぽく描くことで混沌に仕えるものを活き活きとさせているんだな。Multiverseを食いまくる巨大な虫や巨大な卵とか画だけ見ていても楽しい。
第二話。7号でSilverskinが早々に登場かと思ったら、弟だった。20世紀前半なのに妙にロッカー風の装いだった。8号で漸くSiliverskin登場。
第一話目にも8号から登場し始めた猫の存在が気になる。名前はNiphur。人間の言葉を話せるは、魔法は使えるは何者?
第二話目のクライマックスは、Silverskin、Seadon Begg、Count Zodiacの合体。昔読んだCrumシリーズだったかHawkmoonシリーズだったかでHawkmoon等4人が合体したシーンを思い出す。
第三話目。サハラ砂漠の中にあるValley of the Phoorn。その中にはピラミッドが数列に渡って建造されている。その一つからElricに何者かが話しかけたのだが、曰く1万年も待ち続けたらしい。
誰かと思ったら、MelniboneのElricが乗っていた竜Flamefangだった。ファン泣かせ設定。ここまで読んで一番まともな話は第三話目だな。顔を隠している娘の謎も気になるし。もう一つ画も良い。
そして、10号で見せた竜の役割は角笛をElricに渡すこと。小説StormbringerでElricが吹いたOliphant(運命の角笛)だ。楽しい。不吉でしかないけどね。