まだまだ大阪桐蔭の優勝の余韻が残る、
今年の甲子園大会。
三重に送られた大声援も、
まだ耳の奥にこだましています。
大阪桐蔭が4度目の優勝を飾り幕を閉じた今年の甲子園。
ことしもまた、
数々のドラマが生まれました。
全国の数多くいるファンを魅了してやまない『甲子園の夏』。
今年の大会を、
ちょっぴり振り返ってみましょう。
大阪桐蔭が圧巻の優勝!スターなき軍団は、粘りと総合力と、あふれ出る気迫で駆け抜けた!
大阪桐蔭が、大阪勢ではPL学園に並ぶ4度目の優勝を見事な総合力で飾りました。
今年のチームも大会前には優勝候補に挙がってはいたものの、それは多分に『大阪桐蔭というネームバリュー』のなせる業という側面もありました。
『大阪桐蔭なら、こんな野球をし、そこに西谷采配が加われば、優勝に近いところにいるんでは・・・・』というのがそのココロ。要するに、『本当のところ、今年の戦力はどうなんだ?』というのは大会前には未知数と言ってもよかったと思います。そして初戦の開星戦。初回に4点を先制されるという苦しい展開で、なんとかかんとか逃げ切ったという辛勝は、彼らの評価を下げこそすれ、上げるものではありませんでした。しかし、『本当の強豪』明徳義塾と当たった2回戦で、今年の大阪桐蔭は、その本当の力を見せつけてくれました。好投手・岸を向こうに回してこれ以上ない完勝。『相手が強くなればなるほど、その本当の力を出し切れる』大阪桐蔭は、今年もまた、期待を裏切らない『全国屈指の高校野球チーム』だったということです。総合的に力強い『野球力』が、ほかのチームより1枚も2枚も上でした。準々決勝では『機動破壊』の健大高崎を、準決勝では『驚打』の敦賀気比を、劣勢になりながらも最後は押し切ってしまう『術』を、よく心得ていたと思います。新世紀を迎えてからは、『並ぶものなき、唯一無二の存在』のチームであることを、しっかりと証明してくれました。
しかし中村主将にしても、福島投手にしても。なんだか『野球が好きでたまらない』という風情いっぱいのナイスガイですねえ。
こんなところも、大阪桐蔭がファンをひきつけてやまないところだと思います。
まだまだこれからも、『大阪桐蔭の時代』は続いていくと思います。というよりも、これからが本番になってくるかもしれません。
果たしてこれから、どんなチームを作って甲子園に登場してくるのか、興味津々です。
スーパーエース・4番を軸にした超大型チームなのか、全員が軽々とサク越えを連発するような『驚打』のチームなのか、はたまた今年のチームのように、魂と粘りのたくましいチームなのか・・・・・・・・・とにかく楽しみです。
高校野球界に一時代を築いた・・・・と言えばかつてのPL学園が思い浮かびますが、ワタシの中ではPLとこの大阪桐蔭は、まったく違ったタイプのチームに見えます。関東の人間ながら、この大阪桐蔭というチームには、思わず引き込まれてしまう『何か』があると、いつも感じています。特に今年のチーム、素晴らしかったなあ。。。。
北信越勢が大躍進。東北も躍進し、完全に『地域差』はひっくり返った!
今年最も目立ったことと言えば、北国の躍進でしょう。まず北信越勢が、5校すべて初戦を突破するという史上初の大躍進を遂げました。
そのうち2校、日本文理と敦賀気比が準決勝に進出。昨年東北勢2校が4強進出したのと同様、素晴らしい大活躍でした。8強を前に敗れたとはいえ、富山商と星稜も、強烈な印象を残してくれました。北信越代表と言えば、かつては対戦が決まった高校の選手に露骨に喜ばれるといった悔しさも経験して来ていた存在でしたが、今年は相手チームを圧倒して勝ち上がるというたくましさをどのチームも見せてくれました。
今年の正月の高校サッカーで、富山第一と星稜が決勝で史上初の『北信越決戦』を行って観衆を魅了しましたが、高校野球でも同じようなことが起こりました。準決勝を前に、ワタシは『冬に続いてこの夏も、北信越決戦になるのかなあ』なんて思っていましたが、残念ながらその思いは実現しませんでした。しかし近い将来、この北信越と東北という、北国で優勝争いをするという図が、明確に浮かんできました。
昨年の東北勢の台頭、そして今年の北信越勢の台頭は、これまでの東北勢の台頭とは若干趣を異にしているとワタシは思っています。それは、2000年前後から東北、仙台育英、光星学院、聖光学院などの東北勢が大躍進して甲子園で実績を残していたものの、それはあくまでも『中心選手は野球どころからやってきた野球留学生』が占めていたため、『はたして本当に地区レベルが上がっているのか?』というのは懐疑的な部分もありました。
しかしながら、昨年東北勢で4強に駆け上がった日大山形、花巻東にしても、今年北信越勢で活躍した日本文理、敦賀気比、富山商、星稜にしても、ほとんどの選手は『地元出身』の選手が占めていました。このことからも、近年は東北や北信越の地元の選手たちの野球のレベルが、明らかに上がってきてるというのがよくわかると思っています。
ということで、近年のこの北国勢の大活躍は、『本当の意味で、地域差というのがなくなってきた』というのを実感する出来事なのです。
これからの甲子園、北海道を含めて、これらの北国のチームは、毎大会活躍していくことでしょう。
地域の『野球人』達の地道なレベルアップへの取り組み、ついに花開いてきたか!!!って感じです。
話題に事欠かなかった今年。スーパースローボールあり、機動破壊あり。
いろいろと話題に事欠かなかった甲子園でもありました。
中でも驚いたのは、東海大四・西嶋投手のスーパースローボール。『計測不能』な超遅球は、見事にコントロールされて捕手のミットに収まる『凄い球』でしたね。彼はそれだけではない、球の出し入れの出来る素晴らしい好投手でした。残念ながら二回戦で敗れ去りましたが、彼にはかつて甲子園を沸かせた何人かの『小さな大投手』の匂いを感じていました。『甲子園が登場を待っていた』というタイプのピッチャーで、もっともっと、たくさんの強打のチームと対戦してほしかったなあ。。。。TOKAIのタテジマのユニフォームを着ていましたので、00年の東海大相模の選抜優勝投手である筑川投手や、同じ年の夏に準優勝した東海大浦安の浜名投手などがダブって見えました。
今年は最後まで鳴りを潜めたままだった関東勢にあって、唯一存在感を示したのが健大高崎。そのチームスローガンである『機動破壊』は、対戦チームを震え上がらせました。なんだかマンガの『敵役キャラ』に出てきそうな、ものすごい破壊力を持った足攻でしたね。このチームが力を上げて、かつて広島商がそうだったように、足で相手を震え上がらせて頂点まで駆け上がるチームを作ってくるのを見るのが、今後の楽しみのひとつです。そしてこのチームに対して、今度は相手の守りが『ものすごい守備力』を見せつけて足を封印する・・・・・といったギリギリの戦いが、見てみたいなあと思います。ワクワクするような、しびれる対決となるのでしょうね。いずれにしても健大高崎には、捲土重来を期待しています。大阪桐蔭に対して『3度目の正直』を目指して、頑張ってください。
雨が日程を・・・・・そしてチームを・・・・・・
今大会は、出鼻をくじかれた形で開会式からの2日間が順延となりました。
この2日間、チームのコンディショニングにも多大な影響を与えたと見えて、優勝候補の有力校にも、深い影を落としていきました。
まずは2日間順延した挙句の開幕試合で、初回に乱れて一番早く甲子園を去った選抜優勝校の龍谷大平安。力を持ったチームだったというのは明らかで、相手も同じ条件だったとはいえ、不運な組み合わせに翻弄されてしまったと思います。その他でも、数々の有力校が力を出せずに甲子園を去っていきました。その極めつけは激戦神奈川を勝ち抜いて優勝候補の筆頭という声も多かった東海大相模。大雨の中数時間遅れで始まった初戦で、力を出すことなく盛岡大付・松本投手の好投を打ち崩せず早々と甲子園を去りました。ワタシ実は、この東海大相模の敗戦には、なんだかもう一つの要素があるんじゃないかな?なんて勝手に思ったりしていました。
というのは、近年神奈川県の予選を勝ちきるために、各有力校はこぞって準々決勝からの会場となる『ハマスタ対策』を立てているように思われるのです。それは、『叩きつけるゴロを打って、内野の頭を超す』という攻撃の戦略。そして、『やたら外野に向かって打球が伸びる』ハマスタでホームランが量産されるという特性も、無視できないと思っています。
今年の東海大相模のハマスタの試合でも、何本も『叩きつけての安打』が見られていました。そして風に乗ったホームランも。
しかしながら、これを『神奈川を勝つための戦略』と位置付けるのなら、『甲子園で勝つための戦略』はまた全然別のところにあるため、軌道修正しなければならないことになってしまいます。 特に東海大相模が戦った初戦の甲子園。泥沼のような内野で、ボールは跳ねようもありませんでした。ゴロは打っても打っても、内野の間を抜けていくことはないコンディションでした。しかも甲子園は浜風が吹きますから、左打者はライトにかなりいい当たりを打っても、打球はフェンスを越えてはくれません。
そんなことが、『神奈川を勝つため』と『甲子園を勝つため』の間に、微妙な差を生んでいるのではないかな?
なんて、このところ不振にあえぐ全国での神奈川勢の戦いを見ながら、考えたりしていました。
まあ、そんな”素人の邪推”を凌駕するような大型チームが、全国で甲子園狭しと活躍する姿が、見たいものです。神奈川高校野球ファンとしては。
連日の大にぎわい。席を探すのもタイヘン!
そして今年は、去年まで以上に、『甲子園人気』が凄まじかったと感じています。
大会初日から、連日のように『満員通知』が出されたようで、かつてのあの『連日満員』の時代を思い起こさせるような大会となりました。
ちょっと前までは、満員になると言えば『お盆の試合』と『人気のチームが大阪代表になった場合の試合』ぐらいしかなかったと記憶していますが。。。
やはり今年は、『高校野球芸人』なるものが連日にわたってテレビで、ラジオで高校野球を宣伝していたおかげ(?)なのかもしれませんね。
『やっぱり高校野球は、面白いなあ』なんて思った層が多かったのかもしれません。新しいファン層が開拓できたのであれば、こんなにうれしいことはありません。人気がじり貧になってくると、いつ何時現在のプロ野球みたいに、『地上波では中継はやりません』なんて言われかねないと思ったりしているものですから。
まあ、観客が増えたのは大変喜ばしい事なのですが、現地で席を取る苦労が増えたということは、確かに言えることですね。まあ、高校野球は1日4試合(3試合)ありますから、行った試合が満員でも、その次の入れ替え時にはキッチリ球場には入れるんですが。。。。数年前と比較すると、朝の出足も早いし、本当に普通の日の試合でも、ワンサカと観客がいるというケースが多いですね。
【おまけ】 最新の機器は、観戦には向かね~なあ。
とにかくスタジアムで観戦をするのが大好きなワタシ。特に甲子園での高校野球観戦は、そこにいるだけで幸せ感いっぱいになっちゃいます。
通常のワタシの観戦スタイルは、球場の音のみで観戦するというスタイルなのですが、甲子園ではいつも東京では聞くことができないABCのラジオの解説を入れながら聞くなんてことを楽しみにしたりしています。NHKもいいのですが、やはり『現役の有名監督さん』がゲストに来ることが多いABCの放送は格別。なのですが、最近のラジオは、スマホからのRADIKO経由で聞くので、なんだか目の前に広がる甲子園のプレーと、3球ぐらいのギャップが出てしまうのです。。。。。。そうすると・・・・・、とても聞いてられね~なあ・・・・ということになっちゃうんですね、残念ながら。
ためしにワンセグなどをつけてみても、やっぱり同じ。『おそ~~~~い!!』ということになって、泣く泣く【耳からの解説】はすべて断念して、今年は”球場音”だけで甲子園を楽しみました。この対策、どう取ればいいのでしょうかねえ。今更携帯式のラジオを買うのもなあ。。。。
ということで、
今年も楽しい夏の思い出を満載して、
甲子園球場はまた【タイガースのホーム】に戻っていくのでした。
来年の春まで、
しばしのお別れですね。
おっと、忘れてました。
今年の大会の、ワタシが選んだMVPです。
-今大会のMVP-
【チーム】 大阪桐蔭
文句なし。変わるものなしの、唯一無二の存在。
【個人】 中村外野手(大阪桐蔭)
素晴らしいキャプテンシーと、ここぞという時に放ったホームラン、タイムリー。いい選手でした。
【応援】 富山商業
大音響の素晴らしいサウンドということ以上に、楽しそうなアルプスは見ていてサイコーでした。
【最高試合】 三重 vs 広陵
手に汗握るとはまさにこのこと。両チームのレベルの高さと気迫がすごかった!