ウクライナでの戦争において日本は一貫してウクライナを支援する意向を示して来ました。
その理由として、政府関係者や官僚の口から、もう何十回と、繰り返し出てきた言葉…
「自由、人権、民主主義という、同じ価値観を共有する西側諸国の一員としての日本」
これ、本当にそうでしょうか?
本当に日本は、日本政府は、自由と人権、民主主義を、国家的価値観として…
国の理念として、真剣にその実現に取り組んで来ているでしょうか?
そこに重大な疑義が生じる事態が、また起きましたね。週明けの国会で問題になることでしょう。
先日の国会答弁で岸田首相が「同性婚について、日本でも導入することには賛成ですか?」という質問に…
「価値観、社会が変わってしまう」ので慎重に進めなければならない、と回答。
重ねて総理のお立場は…と問われて。
「これは個人の心の問題ですので、お答えは差し控えさせていただきたい」と逃げを打ちました。
いやいや、同性愛そのものの是非ではなく、同性「婚」について話しているんだから…
「心の問題」なんかではなく、社会制度として性的少数者の「人権」をどう扱うかの問題でしょう。
人権問題について、堂々と意見を言えず、逃げ回る理由はなぜ?ということで…
一昨日の夕方、岸田氏の「懐刀」と言われ、スピーチライターも務めている荒井秘書官に対し…
記者団がその話題出した際にこんな発言が出て大問題になり、岸田氏は慌てて解任を示唆する事態になりました。
(LGBTのカップルは)「僕だって見るのもいやだ。隣に住んでいるのもちょっといやだ」
「同性婚を認めたら国を捨てる人がたくさん出て来る」
「社会に与える影響も大きい。マイナスだ。秘書官たちにきいたらみんな嫌だと言う。私の周りもみんなそうだ」
これを、政府与党の方針とは全く反対の考えだ、と岸田氏は言っていたのですが…
そんなにはっきりと、荒井氏発言に真っ向から反対であるのなら、なぜ自分は、公式の場ではっきりと…
「セクシャルマイノリティーの人権は、社会的にも法的にも守られるべきだと、個人的に考えている」
ぐらいのことさえ、明言できないのでしょう。
日本人得意の「タテマエ」でさえ「それは政府与党の考えとは違って…むにゃむにゃ」程度しか言えなくて…
なぜ堂々と「LGBTの人権は守られるべき」という、はっきりした言葉を口から出せないんですかね。
「ホンネ」では、岸田首相も「見るのもいやだ。隣に住んでるのもいや」の口、なんじゃないですか?
仮に、彼個人の考えがそうでないとしても、周りの政府与党の考え方がやっぱり荒井氏と同じだから…
それに遠慮して、はっきり言えないんじゃないですか?
その裏付けとなる資料もあります。
数年前、岸田氏も含め現在の閣僚のほとんどが加入している(というか安倍政権の頃からそうですが)…
「神道政治連盟・国会議員懇談会」という団体が…
自民党の議員と、自民党本部職員全員に配った小冊子には…
「LGBTは後天的な精神の病気、もしくは依存症であって…」
「治療することが求められる」
と明記されていました。
これが、彼ら自民党のほとんどの人々の共通認識であるから…
堂々と、性的少数者にも人権があり、それを守る必要がある、なんて言えないんじゃないですか?
そもそも彼らには、基本的に人権という感覚がない。人権とは何かを、理解していないようにも思われます。
先の、岸田氏のスピーチライター・荒井秘書官の発言からして、詳細に言うと…
先の差別的発言の合間に「いや彼らの人権は認めますよ。でも…」という言葉が挟まっているんです。
人権は認めるけれど、でもそういう人を見るのもいやだし、隣にも住んでほしくないって…笑
どこが人権認めてるんですかね!笑
人権ってなにか、わかってます?と言うしかないでしょう。
もうね、日本語も論理も知性も、ぜんぶ滅茶苦茶。
それが「ニッポンの保守」の実態なんでしょうね。
いや、いいんですよ。思想信条の自由も、表現の自由もありますから。
でも、右派だ保守だという人って、自分たちの偏った思想や、差別的な表現の自由は主張するくせに…
それこそ、セクシャルマイノリティーなど、彼らが気に入らない方面の「偏った」人たちが…
自由に自分の属性や考え、立場を、公の場で表現することに対しては、嫌悪感をあらわにするんですよね。
不公平。ダブルスタンダード。自己中。「俺はいいけどお前はダメ」主義。
それで、対外的には「自由と人権と民主主義という価値観を共有する、西側諸国の一員」だと?
ホンネとタテマエ、というよりむしろ…
ただの大ウソつきじゃないですか!
むしろ、権威主義、全体主義という価値観を共有する、中国、ロシア、北朝鮮etc...
の方に、親和性の高い国家体制ですよね。どう考えても。
めんどくさい民主主義なんかより、権威のある「お上」を信頼して…
「ついて行く」「引っ張って行ってもらう」のを好む国民性もあるのでしょう。
ただ、米国の属国みたいな立場を守ること、が使命の政党がずっと与党であるから…
大ウソをついて「西側」のフリしてる。
でも、もう既に、それなりに情報を持っている外国人にはバレてることですよ。
そしていずれ大々的に「決して仲間にはなれない国」であることがバレます。
もうじき広島でG7の会議が開かれて、日本は議長国になり、岸田氏は大張り切りみたいですが…
根本的な価値観を同じくできない集団の中に、どこまで一緒にいられますかね。
何年か前に自民党の閣僚が、公式晩さん会に同性パートナーが出席するのはダメだと言っていたことがありますが…
海外からやってくる大統領や首相や経済担当大臣として、LGBTの人が来て、レセプションに同性パートナーと出席…
なんていうことになるのは、時間の問題です。
現に、たとえば今の駐日フランス大使(男性)は同性愛者で、同性のパートナーと在日していますからね。
それが「いやだ」「やめてほしい」なんて言ったら、真面目に外交問題になりますよ。
参考までに、G7の、同性婚(事実婚含む)の法的保証があるなしを、図式化するとこうなります。
ひとりだけ仲間外れ。
これが現実の状況なんです。
他の尺度で、同性婚についての是非がどうなっているかを分かりやすく見ると。
どこからどう見ても「西側諸国」と価値観を共有することはできていなくて
中国、ロシア、インドなどの諸国の「仲間」であることは明白でしょう。
それが日本人共有の感覚なんだから、しょうがない、と思いますか?
ブログをやっている人は、ほとんどが中高年世代だから、受け入れられない人がほとんどでしょうけれど…
それが「日本人共有の感覚」だというのは、実はそうでもないんですよ。こちらをご覧ください。
20代、30代は、72.3%の人が同性婚に賛成だと。
さらに若いティーンエイジャーの意見も聞いたら、もっと賛成が多くなることでしょう。
彼ら彼女らは、まさにこれから結婚する人たち。つまり、当事者です。
おじさんおばさん、お爺さんお婆さんの価値観を、若い人に押し付けてまで…
「西側諸国」で孤立する必然性が、本当にあるのでしょうか。
ちなみに、同性婚を認めたら子供が出来なくてさらに少子化が進む、という意見が正しくない証拠もあります。
フランスやドイツは、同性婚を認める法律が出来た後で、少子のスピードが落ち、フランスは出生率が上がりました。
少子化とは一切関係ない。そちらはまた、全然別の問題だというのが明らかです。
社会を変えるか…どうしても替えたくない、というのなら…
西側自由主義陣営の一員、という看板は下ろし、中ロなどと同じ権威主義国家の側につくべきなんじゃないですか?
なんにしろ不自然なねじれ、矛盾、歪みを放置して、ろくなことにはならないですよ。
「同性婚」に関する態度だけで、自由と人権と民主主義を奉じる西側の一員にふさわしくない、とは言えないだろうと?
そうでしょうか。
与党自民党、保守界隈、右派界隈のホンネは、自由と人権と民主主義を、広く制限したい方向なんじゃないですか?
対外的な場では「タテマエ」で表面を装っていて「ホンネ」は仲間内での話で出てくる、というのは常道でしょう。
麻生太郎氏や森喜朗氏などの、つい口が滑っちゃう系の人から繰り返される失言も、それがホンネだからでしょう。
今から10年余り前、自民党の政治家たちによって構成されていた「創成・日本」のイベントで…
皆はこんな発言をしてますよ。安倍晋三さんも参加して、賛同の拍手しています。動画をご覧ください。
これが彼らの「ホンネ」じゃないですか?
人権や国民主権なんか邪魔になるから、うまーく排除して「自主憲法」を作りたい、というのが、ホンネ。
こういう人たちを支持している人々も、ホンネはやっぱり、反自由、反人権、反民主主義なんでしょうか。
それとも騙されている?
いずれにしても、ウソはいけないですよ。
身内で言い放っているこういう主張、外国の政治家や外交官に向かっても、堂々と言えるんでしょうか?
言えないのなら…
1.根本的に考えを改めて、社会を変える。
2.中国ロシア北朝鮮の陣営に鞍替えする。
3.完全に孤立した、権威主義国家になる。
いずれかを選ぶのが誠実だと思いますよ。