ワーカホリック(仕事中毒)というのは、お酒や薬物などによる他の依存症と、実はあまり違わなくて…
何か心的外傷を負ったり大きなストレスによって精神にゆがみが生じた状態を、心が(多くは無意識に)…
あまり健康的でない方法で修復、修正しようとしていることによって生じるものだと言われます。
ただ、お酒や薬物や甘い物やセックスなど、他のものへの依存症は周りに多大な迷惑をかけるため…
精神科の医師や心理カウンセラーによる「治療」が必要とされます。
でも仕事依存症は、起きる仕組みは他の依存症と同じで、しかも本人の健康を損ねかねないところも一緒ですが…
周囲の人々が、あるいは社会が、それによってむしろ利益を得る部分もあり…
また「労働は無条件に美徳」という社会通念があるため、病気とは認定されずに放置されることがほとんどです。
でも、一種の「病的な状態」ですから、放置すれば本人の心の傷や精神の歪みは解決されることなく、結果…
当人の健康を害したり、また本人や家族、場合によっては関わった仕事関係者の幸福を損ねることもあります。
また、ワーカホリックの人物が社会に大きな影響力を与える立場にあって、狂ったように取り組む仕事の…
その方向性が間違っていた場合、社会全体を破壊しかねないものでもあります。
実際、ヒトラーもスターリンもポル・ポトも、典型的な仕事中毒者でした。
そして多分、プーチンや習近平も。
独裁者には、権力だけでなく仕事も集中しますから。
独裁的なワンマン社長なんかの多くが、猛烈に働いているのはそういうことです。
ただ…
そもそも「中毒」というのは、心が壊れかけた、あるいは壊れてしまう体験をした人に起きるものですから…
それはやはり、危険な場合もあり得るのです。
ところで、われらが「社長」小倉唯さんは、ワーカホリック=仕事中毒である可能性が高いように見えます。
食事をろくに摂らずに、時間を忘れて働き続けてしまうことが日常的に当たり前になっている様子。
結果「お菓子が主食」と公言。親友の日高里菜さんから「ちゃんと食べて!」といつも注意されています。
睡眠も、最近はちゃんとベッドで寝ている様子ですが、少し前までは…
仕事をしながら、いつの間にか床に倒れて「気絶」して、気が付いたら朝ということが頻繁にあったらしく。
これも日高さんあたりから「お願いだから本当にやめて!」と言われていました。
また、ワーカホリックの人の特徴として、仕事を人任せにできなくて…
ぜんぶ自分で抱えて、こなしてしまおうとする、という傾向があるそうです。
唯さんが、特にアーティスト方面の仕事で…
一番最初の発想、企画会議の段階から、最後のトラックダウンやパッケージ作り、プロモーションに至るまで…
何もかも自分自身の手でやる、少なくとも自分が関わってやろうとするのは…
ワーカホリックの特徴かもしれません。
声優の仕事でも、彼女の台本は「どこが元の印刷でどこが書き込みかわからない」と他の声優さんが言うほど…
びっしりと書き込みがしてあるそうです。
原作の本がある場合は、アニメになる部分の、前や後の部分も含め、全部読み込んで役作りをするのはもちろん…
自分がやる役の人物の、原作のセリフを全部抜き出し、実際にしゃべってみて、それを録音までして…
聴き直してチェックするなど。
鬼気迫るというか、ちょっと、他の人が「引く」レベルの打ち込み方をすると言います。
そこまでするのは、やはり「仕事中毒」の疑いが濃いですね。
さきほどワーカホリックの人は、過去に心的外傷(トラウマ)や…
心に大きなダメージを受けている場合が多いと書きました。
唯さんも、少女時代にひどいいじめに遭い、学校に行かれなくなって、カウンセラーさんに救われた経験があります。
心理学を勉強し、大学を出たら今の仕事はきっぱりやめて、心理カウンセラーとして働くつもりでいたのは…
その体験があるからでしょう。
また、高校生の若さで売れっ子になった後、ネットでのバッシングや誹謗中傷に深く傷ついて…
「お仕事だけでなく、生活の全てを一気に断ち切ってしまうことまで考えた」
などと、恐ろしいことをインタビューで口にしています。
自分でも「深刻な心的外傷を負った経験がある」と言っています。
もともと「神経質で心配性」な性格だと告白していますし。
そういう人が、ワーカホリックに陥るのは、十分考えられることです。
一方で、精神的にタフな一面もあるから、苦難に負けず、それを跳ね返して今の地位を築いたのでしょうけれど。
でもその異常なまでの努力には、どこか危うさも秘められている気がして、ファンとして心配な部分があります。
唯さん、何度も繰り返し「ただ生きていること」の尊さについて、ラジオやイベントのMCで口にしています。
先日終わってしまったネットラジオ『ちゃんラジ』の、唯さんのお誕生日記念回でも…
ファンは、彼女のどんなところに感心したり、どこを賞賛しているか、というのを投稿してもらって…
その内容を本人が当てるというコーナーがありました。
その中で彼女が「自分のここが褒められている」ということで、まず最初に挙げたのは…
「生きてるところ」でした。
そんな変わった自己評価をする人、少なくとも20代の若者には、あんまりいないと思います。
以前「タイムマシンがあったら何をしたいか」という話になったときには…
「10年後20年後に行って、自分がまだ生きているかどうか確かめたい」と。
まだ、20代前半のときですよ。
そんな発想をする若者、戦争中の男ならともかく、今どきの若い女の子でいますかね。
あるいはまた、彼女は動物が大好きなのに、YouTubeなどで動物の動画は見ないようにしていると言ったことも。
「生き物の姿が尊過ぎて、胸が苦しくて、つらくなるから」と。
命のこと、生と死のことを、いつも深く考え巡らせているからなんでしょう。
メメント・モリ=死を想え、という西洋の格言を実践しているわけではなくて、経験から来るものだと思います。
(そういえば『メメント・モリ』というゲームで彼女、CVをやっています)
結果として「みんな、生きているというだけで、十分に偉いんだよ!」ということになるわけです。
「命あるもの」の尊さ。「生きてある」ことの価値。
それは、絶対的な「平和主義」とともに、彼女の思想の根幹かもしれません。
そういえば、先の「ちゃんゆいの褒めたいところはどこ」を当てるゲームで…
「生きていること」の次、二番目に彼女が答えたのは「思想」でした。
自分で「これ言うとヤバいやつと思われるかも」と前置きして、実際に里菜さんから「ヤバい」と言われてましたけど。
二十代の若い女性で、容姿端麗で、しかも声優・アーティストという芸能の仕事をしているのに…
自己評価の一番が「生きていること」、二番目が「思想」って……
すごく変わった人なのは確かです。
でもそこが「推せる」のも、名前の通り「唯一無二」であるのも確かなのです。
可愛らしい見かけや、普段のふわふわしたしゃべり方…
アーティストとして、27歳になってもまだ王道アイドル的なギミックを捨てない事との「ギャップ萌え」ですね。
インタビューの中で…
「最後の最後には、誠実さと愛と努力、正しいものが必ず勝つんです。それを私の活動を通して証明したい」
と言っていた唯さん。
こういう若者がいるうちは、まだ、この世界も捨てたものではないな、と思います。
(唯さんの写真は、ご本人のツイッターとブログからお借りしました)
というわけで、今日は「amazarashi」というバンドのボーカル、秋田弘が歌う…
『僕が死のうと思ったのは』という曲の動画を貼っておきます。
歌詞の中で、つらい言葉が続いた後、最後の数行のところが聴きどころですよ。
もうひとつ、本文中で取り上げた「ちゃんゆいの褒めたいところ」の実際の番組中の音声も続けて貼ります。
18分30秒過ぎぐらいから4分間ぐらいの尺で、唯さんと里菜さんの、当該の問答があります。
では、どうぞ。