食べごろになった「バート」(洋ナシ)
「兄弟の証」と名付けられた、この果物
本当は、「バート」という古い品種の洋ナシ
これがナゼ「兄弟の証」なのか?
古い話、還暦の私がまだ小さかった頃
果樹農家の実家の、二十世紀梨の畑の端に
新しい物好きな父親が、植えたか?接いだのか?
とにかく、小さな頃よりそこにあった
一本だけだったので、出荷もしていなかったように思う
年がたち、二十世紀梨は赤梨に接ぎかえられ
この木も老木になってきたが
毎年我々の父親が、四人兄弟のうち
外に出た三人に、この実を分けてくれていた
一番下の弟が、事故で亡くなると、残った家族に
暫らく前に、その父も亡くなり
今は、「これは兄弟の証だから」
と、長兄が栽培し、分けてくれる
「最近、採れる数が少なくなった」と言いながら
古い品種なので
今の品種のような甘さも少ない
熟れ始めると、たちまち腐ってしまう
時期をみながら、一気にたべなくてはならない
この「兄弟の証」は
実家を離れたものにとって
毎年、幼かった頃を思い出させてくれる秋の実り
味・香り・色