2021
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牛倣いゆるりと参ろう年始め
除夜の鐘北風小僧伴に連れ
アケオメと丑年ズームで無事に明け
1/2
元旦は自粛余って庄助どん
商魂も選手と上る箱根山
丑年は子年の大事反芻し
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メールより賀状がよろし昔もん
グーグルや忘れた頃に紙芝居
容易には古屋放なさぬ思い込み
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コロナ禍や見知らぬ道はまだ半ば
地球人息災かとのUFOのメール
年始め予断は油断たかくくり
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新宣言だいぶ学んだ跡が見え
般若湯伴にお節の後始末
コロナ禍や此の冬いやによく凍みる
1/6
来ぬ賀状電話をかけて無事を強い
初詣日を違えたが社務所閉じ
ピカソの絵かわいく見えた美術館
1/7
再宣言何も変わらぬ老夫婦
オンライン紫煙燻らしペケ喰らう
陽を探し遅播きパンジー目を廻し
1/8
ドカ雪に遭うも捗るワーケーション
トランプの恩赦頼りの騒乱罪
コロナ禍やクシャミ三回只ならぬ
1/9
境内に人なく粥なく初薬師
ミツマタの花芽やっぱり三つあり
はくパンツそろそろいかがとマイブログ
1/10
メジロにも米粒残さぬ習いあり
どう生きるそう問われても歳が歳
名作を船を漕ぎつつ深夜便
1/11
コロナ禍や世の中眩しくなるばかり
袋入り千切りキャベツの罪深さ
カマクラも及ばざること過ぎた雪
1/12
コロナ禍を拭う希や新成人
民主主義ツイート三下り半を突き
手間暇も一口ごとに吊るし柿
1/13
買い物は一つの筈が手に余り
紅薔薇は棘まで赤く東京アンナ
コロナ禍や患者の後追う政
1/14
詠み十年捻くれ爺がそこに居る
尋ねれば黒いポットも喋りだし
続々と全国デビューの県知事さん
1/15
コロナ禍や石器時代も影落とし
午後八時自粛時計の針止まり
エビフライ窮屈そうな身のこなし
1/16
侘助がポロリと落ちたわが意中
棒読みをすればするで咎められ
丑年も夢か現か五七五
1/17
たまにはと男の料理命を受け
誕生日孫は会えねど恙なく
カタカナで正価の六掛け易くみせ
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大相撲父もよく観た歳となり
東京もパリへとなびく次期五輪
「手を付けて」先ずは行司面を張り
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レトルトに慣れて忘れる母の味
今日もまた丑三つ時のネタ探し
佳境入り大河ドラマは首長く
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給食を口に仕舞って親に見せ
十日目にやっと黒星身は軽く
親方になっても横綱身のこなし
1/21
雪の労故郷は遠く手に余り
四年間ハートのエースは出ず仕舞い
軽やかにはたき込まれて宙を舞い
1/22
四年間一人称で世を仕切り
株高で花道飾ったお二人さん
水入りは近頃とんと大相撲
1/23
国づくり再び一つの名になろう
大寒や形ばかりの薄氷
自惚れもたまには良薬五七五
1/24
二つ目の小僧が侍る雪女
ヘッドフォン被り自粛を二重とし
襟元や氷雨飛びこむ冬最中
1/25
バイデンは一つ上だと鞭が入り
山登り楽しみ多い下り道
横綱がいなくも下っ端意地を見せ
1/26
ヨクモクに目を丸くして五十年
腰なくも訳知り顔の伊勢うどん
奥多摩も年改まり冬の顔
1/27
打つ打たない小さなハートが揺れ動く
電話口おいしい話の押し問答
富士の山一見客に情けかけ
1/28
いつの間にクラブに通う党となり
冬日でもウーバーイーツ熱いまま
答弁にネットの時代時差覚え
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一億人よくぞ数えた患者数
冷えた居間温くなるまで寝てるフリ
テレワーク一真似て川柳足が冷え
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汗出せば次いで句も出るジム通い
昼ならば飲んでもいいと言われても
サラ川もリモートワークで羽伸ばし
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梅一輪確かに咲いて寒は底
爪を切るよくできているなと品定め
冷凍のミョウガを融けば去年の夏