青草俳句会

草深昌子主宰の指導する句会でアミュー厚木での句会を主な活動としています。

青草中央句会吟行記

2018年11月01日 | 吟行記

広町公園から荻野川界隈

日下しょう子

 

  荻野川ゆくやひたぶる荻のこゑ  昌子

 

 平成三十年十月十六日、三十名が広町公園に集合、秋晴の荻野川界隈を思い思いに吟行した。公園には鬼胡桃、朴の木等の高木が生い茂り、湧水池には初鴨が数羽見られた。

 

  手すさびにしたる椿の実の二つ  光子

  数珠玉や水辺のここはまだ青き  一枝

 

公園を出て、荻野川の土手を上流に向かって歩く。荻野川は、まさに名の通り、荻や芒など荒草が茫々と枯れの兆しを見せている。

右岸には多くの稲架が掛けられ、遠く民家には柿紅葉が美しい。左岸には、高木にさまざまの蔦が絡んで這い上がっている。更に進むと牛舎が廃れたままひっそりと残されていた。

 

  蜂をまへ蜂をうしろの稲架日和  昌子

  溝蕎麦の小さき花に小さき蝶   桂香

  牛小屋の荒れの久しき刈田道   きなこ

 

主宰選の特選句は次の通り

 

  草踏めば飛蝗飛び出す瀬音かな さとみ

  秋水や鯉ゆるやかに鯉を避け  ちとせ

  一木の半分だけに薄紅葉   しょう子

  橋挟み瀬音異なる秋の川    ひで子

 

一句目は瀬音への転換が巧い。二句目はしみじみとした秋水の趣。三句目はよく観察している。四句目は静かに耳を澄まされたのだろう等、入選二十数句を含め明解なる主宰選評を頂いた。

毎日通る道も俳句の目を通して見ると、発見の連続であることをあらためて実感した。


                                                                                写真提供 狗飼乾恵さん