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3.イギリス 「こぢんまりした田園風景」

 「こぢんまりした田園風景」 一部引用編集簡略版

  イギリスはスコットランドの高原地帯を除けば、高い山や険しい丘陵がない。野原はほとんどが牧場だ。だから、イギリスの本島のグレートブリテン島は面積では日本の本州とほぼ等しいのに、日本より広々としているように見える。
  イギリスの自然の景色はどこへいっても、小じんまりしていて親しみがもてる。イギリスの自然は隅々まで何世紀にもわたって、絶え間なく人手が加えられている。多分に人工的だ。人々が一千年以上も、そうしてきたことが伝わってくる。イギリスは実物大の箱庭のような国なのだ。
  田舎道を抜けていくと、両脇にどこまでも生け垣が続いている。ヘッジロウと呼ばれているが、イギリスを象徴するものの一つだ。あるいは、イギリスをもっとも連想させるものだといわれる。
  ヘッジロウは牧草地や畑などの境界を示すもので、古いものになると十世紀まで一千年近くも遡る。

  イギリス人の愛国心をなによりも駆り立てるものといったら、この田園的な国土である。王室よりもなによりも、イギリス人の心情に強く訴える。
  イギリスの都市には、いまでもブルック・ストリート(小川通り)、ファーム(農園)、ヘイ(干し草)、ドゥローバー(羊追い)、メドウ(牧草地)、ウッドサイド(森の道)といったなつかしい言葉がついた通りの名や、地名が多い。かって農村だったころの名残りである。日本は地方自治体がアメリカの真似をして、なんでも効率をよくして過去を捨てればよいということから、歴史に根付いた町名を廃止したところが多いが、愚かしいことだ。

  世界のなかでイギリスほど車を運転しやすい国はないだろう。ここにも、国民性が現われている。イギリス人の九十九パーセント以上は、マナーが正しい。粗暴な運転をする者はまずいない。だから、いったん地方へ出ると、信号が驚くほど少ない。一時間以上も村や町を通り抜けて走っても、信号が二つか、三つしかないことが珍しくない。

  道路が交差するところになると、信号のかわりに「ラウンドアバウト」と呼ばれるロータリーがある。先に入った車を優先するが、譲り合い精神を分かち合っているから、楽だ。運転してみると、イギリス人がヨーロッパ大陸の人々よりも公徳心をもち、自制心が強いことが印象づけられる。
  ロンドンであっても、警笛を鳴らす者がほとんどいない。イギリス人の忍耐強いところが、こんなところにも現れている。

参考:加瀬英明著「イギリス 衰亡しない伝統国家」
 加瀬英明氏は「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長
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