先日、11月3日に開催された、人形のまち岩槻の人形供養祭。
主催者代表、岩槻人形協同組合理事長として私が述べました挨拶につきまして、ご来賓や僧侶の方からご賛同のお言葉をたくさんいただきましたので、一部、下書きの抜粋を掲載させていただきます。
・・・・本日は皆さんが、それぞれ大切にされて来た、思い出の人形をお持ちいただきました。
まさに家族の一員である人形です。これまでお子様の健やかな成長と、ご家族の幸運を願うお守りとして、その役割を務めて来た人形達です。
本日は皆さんと、その役割を終えた人形達とのお別れの儀式でありますが岩槻仏教会の僧侶の皆様の読経のもと、ご供養致します。
供養品として集めた人形を神社から借り受け、恐怖の対象として 面白おかしく扱っているテーマパークが問題になっています。この事については怒りや憤慨を超えて、悲しい気持ちでいっぱいです。
私達人形職人は赤ちゃんの健康な成長と、ご家族の幸せを祈りながら、毎日、毎日、心を込めて人形を作っています。問屋や小売店等の同業者、仲間達、全てが同じ想いで人形に関わる仕事をしています。
正に私どもの子供の様な人形達です。髪の毛が伸びたり、涙を流すような事は決してありません。
ましてや、人を呪ったり、たたりがあったりなど、有るはずがありません。
おかっぱの髪の毛、古くなると糊が風化し、少しづつ抜け、伸びたように見える事もあります。
眼球の淵にホコリがつき、カビが生えたりすると、泣いているようにも見えます。
口の紅がバクテリアに分解されますと、下地の白い胡粉が現れ、歯が生えたようにも見えます。
蛇足と成りましたが、私ども人形に関わる者達の真の気持ちをご理解頂きたく、触れさせていただきました。
以上が、当日の挨拶の一部、要旨です。
伝統工芸士 新井久夫のホームページ