昨年はTPPなどで農業問題に関心が集まった。農業への企業の参入や農地の大規模化がよく話題にされている。「緑の革命」という言葉があるが、それは高収量作物品種の開発や化学肥料や農薬の使用で収穫量を増やして食糧危機を解決しようというものだ。そのほかにも農地の大規模化や耕作物の単一化といった特徴をもつようだ。TPPへの加盟によって日本にも「緑の革命」を起こそうというのだろうか?
「緑の革命」が起きると、種子や肥料など農業の川上部分と流通などの川下部分に付加価値が大きく、農家のような生産工程を請負う部分は付加価値の少ないスマイルカーブの底になってしまうことが懸念される。大豆の種についてはモンサント社が広範な特許を持っていると言われているように、種子や肥料などの部門や、穀物商社や大規模小売店などの流通部門で独占・寡占が起こったら(既に起こっているのかもしれないが)大変だ。農家にとって種苗会社などは売り手、消費者にとって流通業者は売り手に当たるので、ポーターの競争戦略で言うところの売り手の交渉力が強くなり、買い手である農家や消費者は売り手の言いなりにならざるを得ない。
2009年7月31日のJICA公開セミナーでは、タイの農家は高利貸しから借金して多収穫品種の種籾や化学肥料、農薬を買うので、借金地獄から抜け出せないという現実が指摘されていた。生産工程を大規模化して生産コストを下げようというのは分かるが、国内製造業の生産拠点の再編が進む中、失業した農民にどのように職を与えようというのだ?地元に職がなければ彼・彼女らは都市に流入し、下手をすると都市近郊にスラム街ができることにならなイカ?
2011/12/23日本経済新聞朝刊「変貌するアジア食材市場(下)」では、日本以外の国の生産技術の向上や原発事故の影響で日本ブランドの優位性の低下が報道されていた。日本の食材は高くても売れるなどという、過度な期待はできなくなってきているようだ。
(参考文献:「食糧テロリズム」 ヴァンダナ・シヴァ著 浦本昌紀監訳 駐熕ス也・金井塚務訳 明石書店)
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・年末、辻恵民主党衆議院議員に対する疑惑報道がなされ、同議員はそれに対してオープン会見で対応した。2011/12/27の岩上安身氏によるインタビューや緊急会見中継を見ると、一部マスコミ向けでなくオープンな会見をする方が、報道が偏向されず安全だと同議員は感じたようである。
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