韓米FTAは、左派系の大韓民国(韓国)の新聞、ハンギョレ新聞が追い続けている。先週も関連記事が3つほど出された。
公正な国際仲裁と言っていたが…ISD仲裁した米判事‘米政府から圧力’告白 2012年01月03日 提供:ハンギョレ新聞
これは、前職が米国連邦裁判所判事だった投資家″痩ニ訴訟(ISD)の仲裁人が米国政府の圧力を受け、カナダの葬儀会社からの賠償請求に対し米国に有利な意見陳述をしたケース。さらに、「外国投資家が米国政府を相手に15回の投資家-国家訴訟を請求したが、米国政府は一度も敗訴しなかった」と報道されている。ISD条項に従い仲裁を求めても、米国側に有利な判断がなされると思ったほうがよさそうだ。
【FTA】″郵便局保険 拡大、韓-米FTAに背反″ 駐韓米商工会議所、政府に抗議書簡 2012年01月05日 提供:ハンギョレ新聞
これは、物価上昇などを考慮して郵便局保険の加入限度を50%引き上げる改正案を、駐韓米国商工会議所の韓米FTAに違反するという反発などにより撤回したケース。小沢一郎衆議院議員が週刊ポスト2012年1月13・20日号で、米国の狙いは郵貯・医療分野(次も同じ)といっていたことと符合する。
駐韓米商議所、米国の威勢をかさに‘通商圧力の前哨基地’に 2012年01月06日 提供:ハンギョレ新聞
これは薬価の算定にあたり駐韓米国商工会議所が、独立的検討手続きが有名無実にならないように、検討結果報告書の検討結果が最終結果に必ず反映されるよう要請したケース。それに対し、韓国の福祉部はFTA交渉の時から米国側は最終結果の反映を要求してきたが、両国は受け入れないことで合意しているとして難色を示したと報道されている。さらに、先行して独立的検討手続きを導入したオーストラリアも最終結果を参考資料としてのみ活用すると報じている。薬価など医療費は高齢化の進む日本でも深刻な問題。
韓米FTAは、TPPの先行事例になる。同国の朝鮮日報や中央日報はあまり報じないので、ハンギョレ新聞は要チェックだ。
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・先週、米軍の新国防戦略(軍の規模縮小)が報道された。昨年、中央日報で在韓米軍の司令官が退任直前、日韓間の軍事協力を望む内容のインタビューが掲載されたが、減らした米軍の兵員の肩代わりを自衛隊に求めてくる可能性を考えておく必要がある。少なくとも2015年までは米軍が戦時作戦統制権を持っているので、作戦立案と指揮は米国の担当、実際の戦闘は韓国軍と自衛隊となれば米国にとって好都合。もし再度朝鮮半島で戦闘が起こっても、米兵の犠牲は少なくできるため米国側のコストと国内の政治リスクを低減でき、しかも米国側の利益はしっかり追求できる。エマニュエル・トッド氏は第二次大戦中、ポーランド人部隊やフランス人部隊など「ある程度の犠牲精神が要求される作戦は、それが可能である時には必ず同盟国の徴募兵部隊に任された」(「帝国以降」エマニュエル・トッド著 石崎晴己訳 藤原書店)と指摘している。
・昨年暮れ、日中間の貿易でドルを介さず円と元建て決済を促進することで合意した。野田政権はオバマ政権の顔色を伺いながら、米ドル離れを少しずつ進めるしたたかな外交として評価してよいのか?
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