マスコミ報道には、真偽不明なことが流れることがよくある。昨年のニッポン放送買収劇のときにもそんなことがあった。
フジテレビはニッポン放送買収のために転換価格修正条項付き転換社債を800億円発行した。修正転換価格は毎月第3週の5日間の株価を平均値×90%で計算される。3月15日引け後にフジテレビは年間配当を1,200円から5,000円に増額を発表した。3月15日の終値230,000円だったのが3月16日には終値253,000円、3月17日には終値284,000円に上昇した。
以上は会社発表の情報であるが、3月18日にはフジテレビ本体にTOBとの観測報道がなされ、終値は324,000円まで上昇した。もし、そのような発表がなされず3月15日の終値230,000円で推移すると仮定した場合より、5日平均価格が約15%上昇している。つまり結果的には、転換価格も上昇して転換株式数も約13%抑えられることになる。ちなみにフジテレビの転換社債の平均転換価格は205,447円(800億円÷389,394.44株)で、引受会社は高い配当金を諦める代わりに低い転換価格を選択したのであろう。マスコミ報道なので情報元は秘匿されたままだろうが、情報元によっては相場操縦に利用される可能性もある。そうならないようにマスコミ各社は情報発信には注意を願いたいものである。
先週も相変わらず福井日銀総裁の村上ファンド出資の件が問題視されていた。実際にウォールストリートジャーナル(WSJ)やフィナンシャルタイムズを読んだわけではないが、6月21日の日経金融新聞で報道されているのはWSJ等が日本銀行幹部の金融取引の情報開示ルールが不十分であることや、この件が金融政策に障害が出ることに対する懸念のみである。日本のマスコミにおいて村上ファンドへの出資自体について海外でも批判が上がっているような報道がなされているとすれば、それは日本のマスコミ側の誤りのように思われる。2004年の日本テレビの大株主情報の有価証券報告書等での一部訂正(これは読売新聞社にも問題があるが)や、未だに氏名を公表しない盗撮アナウンサー問題など日本のマスコミには問題が多い。NHKの受信料義務化の問題もあり、テレビや新聞等の現行マスコミに頼らなくてもいいよう、ネット報道の発展に期待したい。
そういえば、6月20日の阪急HD・阪神電鉄の会見におけるライブドアのパブリックジャーナリスト(PJ)の記事「阪神次期社長、村上氏のアイデア、共感する部分あった」はお読みになりましたか?地方紙では扱っているところが多いようですが。
P.S.
議決権行使の際には、定款の取締役選任決議の累積投票制度の有無についても注意してみたほうがよいように思います。
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