日本航空が最大2000億円となる公募増資を発表した。株数にして7億株で発行株式数が今より35%(追加発行分を含めると38%)増えることになる。昨年ライブドア社は800億円のMSCBを発行することで42%(約2.69億株)増加したが、それに迫る規模である。
4月24日付でも書いた通り、東京証券取引所は発行済株式数の2割を超える新株発行のMSCBの発行や第三者割当増資の場合、株主総会の付議が必要ではないかとの検討がなされていた。公募増資はそれに入っていない。そのような大規模な公募増資は想定外だったのかもしれないが、既存株主の持分が大きく低下する意味ではそれほど変わらない。また、価格は7月19日から21日までの間にブック・ビルディング方式で決定されるようだが、これだけの期間があれば今回の増資分が織り込まれた価格になり、引受会社のリスクは低いと思われる。引受会社が一旦引き受けて手数料(今回の場合は発行価格と日本航空への払込金額との差額、払込金額の決定方法は不明)を得て、その後株式を市場に売却する意味では、その作用はMSCBに似ている。
5月10日、増資観測が報道されたとき、西松現社長は事実無根と発言したと報道される。しかし株主総会で何も言及しないまま、その2日後にこのような大型増資を打ち出したのはルールの隙をついた行為ではないのだろうか?ニッポン放送買収事件以来、ルールの隙をつくような行為はマスコミ等が大きな問題としていたが、今回の日本航空の行為はそれに抵触するような行為ではないのだろうか?これが認められるのなら企業に「品格」など要求しても仕方がないだろう。
日本航空の社外取締役には、財界の御意見番といわれる諸井虔氏が名を連ねている。同氏はこの件に関してどのようなご意見をされたのであろうか?
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