投資家の目線

投資家の目線512(AIIBにみる外交問題)

 AIIBの創設メンバー57カ国が決まった。メンバーには英、独、仏、伊など欧州G7加盟国も入っている。『情報収集や中国との交渉を主導した財務省は首相官邸に「主要7カ国(G7)から参加はない」と伝えていた』(「中国、金融秩序にくさび、アジア投資銀、実利で求心力――日本の対処、後手に、英の参加誤算、6月末までに再判断。」2015/4/1日本経済新聞朝刊)というが、G7諸国が参加しないという判断ミスは財務省の情報収集能力に問題があったのか、それとも情報収集は適切だったが意思決定にバイアスがあったのか検証しなければ、再び同じ間違いを繰り返しそうだ。(なお、英国がAIIBに参加を表明した3月12日は、鳩山元首相がクリミアを訪問していたころである。日本国内では鳩山元首相の行動が非難されているが、日本政府の外交の方が世界の潮流からズレているだけではないのか?)

 「政府はこれまで中国への国際的な支持は一部にとどまるという情報を元に、各国に不参加を促してきた」(『アジア投資銀の衝撃(2)「G7の参加、絶対ない」(迫真)』2015/4/15日本経済新聞朝刊)という。しかし、安倍首相が今年1月に訪問したエジプト、イスラエル、ヨルダンも創設メンバーに入っており、日本の工作はうまくいかなかったと考えられる(まさか、この3か国には不参加を働きかけなかったということはないでしょう)。


 AIIB創設にまつわる外交に関して、外交のいわゆるインテリジェンスの分野で日本政府が無能であることが明らかになったといえるだろう。

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・先週の円安を要因とする値上げ発表等記事
ハンバーガー値上げ相次ぐ、モスやフレッシュネス。2015/4/18日本経済新聞朝刊 (牛肉など原材料の値上がりには円安要因も含まれると思う)
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