投資家の目線

投資家の目線86(三菱UFJ証券に業務改善命令)

 三菱UFJ証券に業務改善命令が発動された。同社HPのニュースリリースによれば、「三菱UFJ証券株式会社常務取締役(当時)は、平成17年7月28日、A社がB社の発行済株式の5%以上の買付けを検討している旨の公表されていない情報をその業務に関して知り、当該証券会社は当該役員の指示により、同日、本件法人関係情報に基づいて、自己の計算において当該株式を買い付けた」とされている。ここでいう、「5%以上の買付けを検討している旨の公表されていない情報」とはどういう状態のことをいっているのであろうか?
 月刊現代2006年9月号「「フジテレビ最大のタブー」衝撃の真相!日枝久会長「インサイダー疑惑」の全構図」では、鹿内宏明氏側がニッポン放送株の処分の禁止(フジテレビのTOBに応じることを禁じる)仮処分を求めていたが、その決定の中で、「平成16年2月下旬ごろ、日枝個人の見解として、フジテレビが本件株式を買い取る意向であるが、取締役会の承認は得られていないと表明したことが認められている」とされている。鹿内氏が保有していたニッポン放送株は8%であるから、仮処分の決定にあるものは「5%以上の買付けを検討している旨を公表されていない情報」ともとれる。そして、このニッポン放送に関わる取引については約16億円の利益が発生したと伝えられる。村上ファンド事件でもそうだが、何をもって「法令に抵触するところ」の「5%以上の買付けを検討している旨の公表されていない情報」であると解釈するかによって、大きな影響が出てくるように思われる。
 ライブドア事件と村上ファンド事件を見ると、行政当局の法令の運用が以前より一段階踏み出したように思われる。
--------------------------------------------------------------------------
 先週、日興コーディアルグループの特別調査委員会の調査報告書が発表された。SPCが発行した他社株転換債の発行日を遡らせられるなど、利益を自由に生み出すことができる状態にあったという。米国でストックオプション付与日の操作が問題となっているが、それに似ているように思われる。
 影響の大きさから日興コーディアルグループの上場廃止の可能性は低いとの声もあるが、昨年のライブドア社もとんでもなく多くの株主を抱え、影響は大きかったはずである。また、カネボウの新経営陣は旧経営陣を告発したのも関わらず上場廃止になった。これらとの整合性をとる必要があると思われるが。

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「ガバナンス」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事