今年送られてきた「定時株主総会招集ご通知」に、昨年はなかったインターネットでの議決権行使が追加されていた。昨年7月31日に開かれた東芝の定時株主総会で、大株主らの議決権行使書が無効扱いになった(「東芝の株主総会、1・3%の議決権が無効扱い」 2020/9/18 日本経済新聞WEB版)「先付け処理」の問題が関係しているのではないだろうか。三井住友信託銀行とみずほ信託銀行の『両行は郵便局との間』「先付け処理」と呼ぶ取り決めを結び、締め切り当日に配達された行使書の一部を期限翌日に届いたものとして集計対象から外していた。こうした処理は約20年にわたり続いていた。』(「三井住友信託とみずほ信託、議決権問題で再発防止策」 2020/12/17 日本経済新聞WEB版)という。
議決権行使を電子化すれば、集計ミスも減るだろう。郵便物のやり取りが減ればウイルス伝播の機会も減り、少しは感染症対策にもなるのではないかと思う。ただし、これは名義上の株主と実質的な株主が同じ場合に限られる。名義上の株主が管理信託銀行やグローバルカストディアンになる機関投資家向けには、日本取引所グループの東京証券取引所が株式の50%を保有する合弁会社が運営する「議決権電子行使プラットフォーム」がある。
追記:今年6月に改訂されたコーポレートガバナンスコードでは、「上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである。」とされている。議決権電子行使プラットフォームの運営会社には、日本取引所グループの東京証券取引所が出資しているので、利益相反にならないだろうか?(2021/8/22)
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