カルロス・ゴーン元日産自動車会長が、彼を逮捕した陰謀に「日産の西川広人前社長兼最高経営責任者(CEO)や川口均前副社長、豊田正和社外取締役、ハリ・ナダ専務執行役員らが関わったと名指しした」(「ゴーン被告、逮捕は陰謀-西川氏ら日産関係者や政府が関与と批判」 2020/1/8 bloomberg)。
日産自動車の社外取締役、経済産業省OBの豊田正和氏は現筆頭独立社外取締役、指名委員会委員長である。昨年、日産自動車は指名委員会等設置会社となった。この形態では、指名委員会、報酬委員会、監査委員会の3つの委員会が設置され、各委員会は3名以上の取締役で構成されて、その過半数は社外取締役でなければならない。なお、業務執行は執行役(一部を除いて取締役と兼務可能)が務める。
そのうち、指名委員会は取締役の選任・解任案を決定する機関である(実際に選任・解任を決定するのは株主総会)。日産自動車では2019年6月現在、豊田氏のほかに、レーサーの井原慶子氏、ソニー・インタラクティブエンタテインメント前会長のアンドリュー・ハウス氏、JXTGホールディングス相談役の木村康氏、元みずほ信託銀行副社長で日産常勤監査役の永井素夫氏、ルノー会長のジャンドミニク・スナール氏の6人で構成されている(「【図解・経済】日産自動車の委員会構成(2019年6月)」 2019/6/21 時事ドットコムニュース)。
豊田氏が就任している指名委員会委員長は委員会の議事運営に主導権を持ち得、取締役の選任・解任を通じて日産自動車の経営に大きな影響力を及ぼすと考えられる。経産官僚出身の豊田氏の背後には、どうしても日本の政府機関の影がちらつく。
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