投資家の目線

投資家の目線464(集団的自衛権)

 先週、安保法制懇の報告書を受けて安倍首相が記者会見を行った。集団的自衛権を容認させたいようである。


 首相は会見で紛争から避難するときの日本人の救助・輸送の例を挙げていたが、イラン・イラク戦争中にテヘランから日本人を救助したのはトルコの民間航空機だった。さらに、イラク戦争後にイラクで拉致されたNGO関係者などは、自己責任と非難されていた。


 また、会見で出た「積極的平和主義」の定義がわからない。「戦略原論 軍事と平和のグランド・ストラテジー」(日本経済新聞出版社 石津朋之、永末聡、塚本勝也編著)に出ていたガルトゥングとセンの平和モデルにある「積極的平和」には、「持続可能な経済の確立」や「貧困・飢餓のない社会」などの項目が含まれていたが、首相会見ではそれらには触れられておらず、その定義とは異なるものと思われる。伊藤憲一著「新戦争論 積極的平和主義への提言」(新潮新書)では具体的な「積極的平和主義」の定義はなされていないが、米国一極型の世界秩序のように感じる。では、例えばイスラム共同体のような米国主導のグローバリズムに対するオルタナティブのグローバリズムに対して、日本政府はどういう態度を取るのだろう。米国が多大なコストをかけたアフガン戦争では、2010年に来日したカルザイ大統領は「複雑な民族、部族構成のアフガニスタンにおいては、西欧近代の国家モデルとなった「国民国家」像を模倣することに、自分は異論がある」と述べられた(同志社大学 グローバル・スタディーズ研究科HP)。異なる価値観を地域社会に押し付けると相当の摩擦を引き起こし、多大なコストがかかるようだ。


 なお、安倍首相は著名投資家に「安倍晋三首相は日本を再武装させようとしているとして、アジアで最も危険な人物だ」と言われている。

安倍首相はアジアで最も危険な人物=ヘッジファンド首脳 Reuters 2014/5/17
 
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