投資家の目線

投資家の目線945(商業用不動産価格下落中)

 米国だけでなく、他の国でも不動産価格の下落が予想されている。ジェフリーズのアナリストはオーストラリアの商業用不動産価格の下落を予想している(「【市場の声】豪の商業用不動産価値、さらに5~15%下落へ」 2023/9/4 ダウ・ジョーンズ配信)。JPモルガン・セキュリティーズのアナリストは、来年3月までの1年間で金融街シティーのオフィスビルの価値が20%下落すると予想し(「英シティーのオフィス価値、来年3月までに20%下落も-JPモルガン」 2023/9/5 Bloomberg)、英住宅用不動産市場に関しては住宅ローン大手2社ハリファックスとネーションワイド・ビルディング・ソサエティーが「8月の住宅価格は前年同月比で2009年以降最も速いペースで下落しており、今後さらに悪化する恐れがある」(「英住宅価格の低迷が深刻化、さらに下落圧力高まる可能性も」 2023/9/7 Bloomberg)と発表している。

 

 そもそも、不動産投資の金額が落ち込んでいる。不動産サービス大手のジョーンズラングラサール調べでは、「2023年1〜6月の世界の不動産投資額は前年同期比54%減の2760億ドル(約40兆円)だった」(「不動産投資、世界で54%減 金利上昇で11年ぶり低水準」 2023/9/5 日本経済新聞朝刊)という。世界的に投資額が落ち込む中、「低金利が続く日本では国内外の不動産マネーが集まり、投資額は前年同期比52%増の2兆1473億円だった」(同記事)という。しかし、「東京都心にオフィスビルの空室率が10年ぶりの高水準に迫っている」、「三鬼商事と日本不動産研究所は2023年末には6.6%と10年ぶりの高水準に達すると予測する」(「空室率、10年ぶり高水準 都心オフィス6%超 NTTなど集約、供給は増」 2023/9/8 日本経済新聞朝刊)と報じている。空室率が上昇するなか、日本でも投資額が減少していくのではないだろうか?

 

 データがあるわけではないが、自治体が絡む大型再開発以外の民間共同住宅の建設が減っているように感じる。計画上では既に建設が始まっているはずの時期なのに、ほとんど手つかずの現場も見られる。生コン出荷の減少の原因には建設現場の職人不足があるとされており(「全国の生コン出荷、7月1.5%減 11カ月連続マイナス」 2023/9/1 日本経済新聞電子版)、建設数の減少は人手不足が関連しているのかもしれない。バブル期にも、建設現場の人手不足のマスコミ報道がなされた。しかし、散髪屋で小耳にはさんだところでは、人手不足だったのは報道の1年前のことであった。マスコミ報道には時間差があることに留意が必要である。

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