投資家の目線

投資家の目線313(村上ファンド判決)

 いわゆる村上ファンドのインサイダー取引事件の有罪が確定した。最高裁は、「公開買い付けなどを会社の業務として行う獅フ決定があれば足り、実現可能性があることが具体的に認められることは要しない」としたが、これでは実務に支障が出るのではないか。2007年9月号から2008年1月号まで月刊現代で連載されたフリージャーナリストの中川一徳氏の「村上世彰とその時代」の、第2回『検察が黙殺したフジテレビ「もうひとつのインサイダー疑惑」』を読むと、ライブドアによる買収話がフジテレビ株買い増しの原因ではないと思うが・・・。それで有罪にしようとするから論理展開に無理があるようだ。

 この事件の一審判決には、「被告の『安ければ買うし、高ければ売る』という徹底した利益至上主義に慄然とする」とあったが、ファンドマネジャーは顧客に1円でも多く利益を還元するのが仕事だ。それをしないなら、受任者義務の違反であり、顧客に対する背信行為だ。石門心学の祖、石田梅岩は「商人の売利は士の俸禄に同じ」と言っており、売買益を求めることを不道徳と考えるのはおかしなことだ。

 英国の投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)は日本たばこ産業(JT)に、社長の交代を求めている。JTは単なるタバコ屋であり、公益事業を行うJパワーとは異なる。JT株の大半は財務省の保有であり、そのリターンの低迷は彼らの指摘通り日本国民の利益を損ねる。アクティビスト・ファンドの活動は終わらない。



先週の記事の追記

 平成3年年次世界経済白書 本編 第2章 ソ連の再編成と東欧の経済改革 経済企画庁によれば、「ソ連の軍事支出は,90年で708億ルーブルであり,連邦予算の歳出総額の26.0%,GNPの7.1%に相当する多額なものとなっている」とある。

 一方、2010年の米国名目GDP14兆6,241億ドル(出所:サーチナ 名目GDP統計分析)、2010年度予算案(歳出)3兆5,520億ドル、うち国防関係費6,730億ドル(出所:外務省HP「2010会計年度予算教書(概要)」)で、それぞれ対連邦予算比18.9%、対GDP比4.6%まで上昇している。米国も当時のソ連邦に近づいていないか?

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・新宿で6.11脱原発デモを見た。参加人数が多かったせいか、誘導の警察官の数も多かった。あれだけの数の警察官が待機しているのを見たのは初めてだ。
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