投資家の目線

投資家の目線712(取引所統合と証券会社)

 株式会社日本証券取引所グループが、経営が悪化している株式会社東京商品取引所をTOBで子会社化すると報じられた(「日本取引所、東商取に今夏TOBへ。」 2019/2/15 日本経済新聞 朝刊」)。先月16日には清算機関の統合(「日本取引所・東商取、清算機関も統合へ、20年めどに。」 2019/2/16 日本経済新聞 朝刊)、27日には一部の商品取引の大阪取引所への移管の合意も報じられているが(「貴金属や農産品、大阪に取引移管、日本取引所・東商取が合意、先物と一体運営、エネ商品焦点に。」 2019/2/27 日本経済新聞 朝刊)、これは経済産業省HP「商品取引所法等改正法の概要」5ページにある「Ⅲ.兼業業務方式」だろう。「残された課題は、原油や石油製品といったエネルギー関連の商品をどう扱うかだ。日本取引所は原油価格に連動する上場投資信託(ETF)との価格差に着目した取引などで相乗効果が見込めるとして、大阪取引所への移管を求めている。これに対し東商取は傘下入り後、経済産業省が旗を振る総合エネルギー市場を創設することで、存在感を示そうとしている。」(同 2019/2/27 日本経済新聞 朝刊」)。商品取引すべてが上場企業傘下の大阪取引所に移管すれば市場参加者にとっては利便性が高いが、経済産業省の天下り先が減ることになろう。しかし、「総合エネルギー市場」が独立していればそこを天下り先として確保することもできよう。

 商品先物取引法に指定されている商品や商品先物以外のデリバティブは、金融商品取引法が適用される。証券取引所と商品取引所が統合するなら、法律も金融商品取引法に一本化した方が市場参加者にとって望ましいのではないだろうか?金融商品取引法に一本化されるのなら商品取引業者は証券会社になればよい。商品取引の岡藤HDが日産証券と経営統合協議を開始するという(「経営統合へ、協議で合意、岡藤HDと日産証券。」 2019/2/14 日本経済新聞 朝刊」)。これも商品取引と証券取引が融合する流れに関係ありそうだ。まだ大阪堂島商品取引所が残っていたり、証券外務員試験に商品取引の項目が必要になったりとクリアすべきことはあるが、将来の課題とはいえる。

 今年5月20日、石川の竹松証券が証券ジャパンに事業を譲渡する(「竹松証券が事業譲渡 6000口座、証券ジャパンに。」 2019/02/13 日本経済新聞 地方経済面 北陸)。平成29年には福井県の三津井証券を、昨年には富山の頭川証券も子会社化しており(証券ジャパンHP)、証券ジャパンが北陸を制覇する。

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