投資家の目線

投資家の目線577(日銀保有のREITの東京一極集中リスク)

 REITの保有する不動産の中身について、地域特性を調べてみた。

 2016年7月17日現在、東京証券取引所に上場しているREIT 54銘柄(現時点で未上場のマリモ地方創生リート投資法人、三井不動産ロジスティックパーク投資法人を除く)を取得金額ベースでみると、保有する不動産全体の62%が東京23区の物件である。さらにその数値は、市町村部を含めた東京都では64%、関東地方(山梨県を含む)では76%に達する(2016年7月17日現在REIT各社のホームページのデータから計算)。

 前期の貸借対照表によれば、日本銀行は2015年度末現在でREIT(信託財産不動産投資信託)を2,936億円保有している。

第131回事業年度(平成27年度)決算等について 2016年5月27日 日本銀行
http://www.boj.or.jp/about/account/zai1605a.htm/

 その64%は1874億円、76%は2234億円で、意図的な地域分散を行わなければ、日本銀行は東京都や関東の不動産におよそ前記の金額を投資していることになる。それらは各々、総資産の約406兆円の0.05%、0.06%に過ぎないが、純資産3兆5497億円と比較すると5.28%、6.29%に相当する。

 このままでは、東京で大きな地震が起きれば日本銀行の保有するREITも大きな損失を被ることになり、日本銀行の信用にも影響するだろう。日本銀行は、東京の不動産に集中しているREITをこれ以上購入することは避けた方がよいのではないだろうか?
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