投資家の目線

投資家の目線925(軍事力も経済力も黄昏のG7)

 ロシア軍が先行投入されたレオパルト戦車を鹵獲したと報じられた(「ロシア軍 レオパルト戦車を鹵獲」 2023/4/14 SPUTNIK)。この情報はひと月ほど前に上がっていたが、報道されたのは初めてではないか?これはレオポルト戦車の解体・研究が終わり、迎え撃つ体制が整ったというメッセージではないだろうか?第二次世界大戦時に米軍は不時着したゼロ戦を研究し、勝てる戦法や戦闘機を生み出した。

 

 ロシアのショイグ国防相は太平洋艦隊の抜き打ち検査結果をプーチンに報告した(「露ショイグ国防相 太平洋艦隊の抜き打ち検査をプーチン大統領に報告」 2023/4/17 SPUTNIK)。極東で第二戦線が開かれても”Ready Perfectly”、準備は完全に整っている。

 

 ロシア軍はスターリンクなどの通信システムを遮断する兵器を保有している(「ロシアにはウクライナ軍が利用する「スターリンク」を妨害する秘密兵器がある=メディア」 2023/4/21 SPUTNIK)。新鋭戦闘機のF35は、2020年10月2日現在で871件(うち有効性や安全性に影響を与えるカテゴリー1は10件)の欠陥が残されていたが(「F35の欠陥 871件/20年度 前年度から改善せず/米国防総省報告」 2021/1/18 しんぶん赤旗)、この欠陥は改善されたのだろうか?元米中央情報局分析官のラリー・ジョンソン氏によると、「米国の軍事・情報機関の機密文書の流出は、米国当局によって画策されたものであり、この件で現在告発されているジャック・テシェイラ氏は、当局にとって便利なツールに過ぎなかったという。同氏によれば、機密情報を公開することで、一部の米当局者は、米国人にバイデン政権の外交政策の失敗がもたらす結果を受けとめる準備を進めている」(『「米政権は大敗に備えている」 元CIA分析官 機密文書流出の理由について語る』 2023/4/21 SPUTNIK)という。オーストリア軍ライスナー警備大隊司令官の「この資料にアクセスした人物の一人がそれをある若者のグループに渡していたというのが事実なら、米国にとって想像しうる最悪のシナリオだ」(「欧州の軍幹部が語る米機密流出」 2020/4/17日本経済新聞夕刊)という発言とも整合的だ。米国政府内にもバイデン政権主流派のウクライナへののめり込みを苦々しく思っている勢力があるのではないか?兵器や弾薬の備蓄問題といい、こんなことで米軍はロシア軍に勝てるのだろうか?

 

 ベトナムのチン首相は訪越したブリンケン米国務長官との会談で、”He stressed that Việt Nam does not take sides but chooses justice and what is right.”「彼(チン首相)は、ベトナムは味方するのではなく、正義と正しいことを選ぶと強調した」(”Vietnamese PM seeks to bolster ties with US in trade, defence, climate change” April, 15/2023 ベトナムニュース)。ベトナムは米国に味方することを断ったという意味だ。バイデン大統領は、習近平主席との電話会談を望んでいるが実現していない(「バイデン氏、中国との電話首脳会談を希望するも未だ実現せず=ホワイトハウス」 2023/4/20 SPUTNIK)。米越会談で、米国政府の要求が中国に対して敵対的なものだったのではないだろうか?

 

 インドとロシアはFTAを協議している(「インドとロシア、自由貿易協定を協議 通商関係強化へ」 2023/4/17 ロイター)。米ドル離れも進行している。中国工商銀行のブラジル法人は初のクロスボーダー人民幣決済を行った(「中国工商銀行、ブラジルで初のクロスボーダー人民元決済処理」 2023/4/20 新華社通信)。ロンドンのヘッジファンド、ユリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者らは、『為替レートの動きを調整すると、ドルは2016年以降、市場シェアの約11%を喪失。「ドルは22年、準備通貨としての市場シェアを大きく落としたが、恐らくこれは制裁を強力に発動したためだ」と両氏は指摘。「米国とその同盟国がロシアに対して取った異例な行動は、外貨準備を多く抱える国を驚かせ」、そうした国のほとんどはいわゆる「グローバルサウス」の新興国だとコメントした(『新興国のドル離れ、速いペースで進行-「スマイル理論」のジェン氏』 2023/4/19 Bloomberg)。ECBのラガルド総裁は、米国とユーロ圏は自国通貨の国際的な地位を当然視してはならないと述べた(「ドルとユーロの国際的地位、当然視されるべきでない=ECB総裁」 2033/4/17 ロイター)。『元フランス大統領のシャルル・ドゴールが米国に「法外な特権」を与えたのは,通貨ドルの世界的優位であるとウィットに富んだ指摘をしたことがある』(「中国人民元建ての上海原油先物取引の現状と将来展望」 甘長青 九共大紀要 第10巻第1号2019年9月)といい、同じフランス人のラガルド氏の発言は意味深長だ。フランス企業のトタルエナジーズは、UAE産ガスを人民幣決済で取引した(「中国、初の人民元建て決済 仏トタルとLNG取引」 2023/3/28 ロイター)。経済でも米国離れは進んでいるようだ。

 

 プラハではウクライナ和平促進も求める反政府デモが起こっている(「チェコ首都で数千人が反政府デモ、物価・エネ問題巡り退陣要求」 2023/4/16 ロイター)。ロイター報道では数千人とされているが、”ten thousands”としている記事もあり、参加者は1桁大きいようだ。このように欧州の政府はウクライナ支援に前のめりでも市民がついてこない。英国ではラーブ副首相が辞任したが(「ラーブ英副首相、パワハラ問題で辞任 スナク政権に打撃」 2023/4/21 日本経済新聞電子版)、スナク首相自身も夫人の関係する保育会社に関して倫理調査されており(”Sunak Declares Wife’s Link to Childcare Firm Amid Ethics Probe” 2023/4/20 Bloomberg)、前任のトラス氏に続いて短命政権に終わる可能性が出てきた。米国においては、『商業用不動産「サブプライム並み」損失も 広がる火種』(2023/4/19 日本経済新聞電子版)、『米地区連銀報告、「融資厳格化」相次ぐ 経済に逆風強く』(2023/4/20 日本経済新聞電子版)、『米社債市場に危険信号、「キャリースプレッド」07年以来の水準』(2023/4/20 Bloomberg)、「米国債のCDS保証料、10年ぶり高水準 債務上限懸念で」(2023/4/21 ダウ・ジョーンズ配信)など、金融危機が収まる気配がない。G7にもNATOにもかつての力はない。そんな中、G7外相会議では、「自由で開かれたインド太平洋の重要性を改めて表明」、「ロシアへの制裁を強化」(『G7外相会合の共同声明要旨 「ロシア支援停止を」』 2023/4/18 日本経済新聞電子版)のような頓珍漢な声明を出している。岸田首相が黄昏のG7サミットで日本の存在感を出そうと考えているなら、とんでもない盆暗な人物だと言える。

 

追記:

2023/4/23

↓米軍は、肥満のせいで新兵不足が懸念されている。新型コロナウイルスワクチン接種後に心筋炎などを患うパイロットも増えており(投資家の目線876(J&J製新型コロナウイルスワクチンの使用制限) )、兵員が不足する恐れがある。

 

米国軍の最大の敵は「肥満」だった!? 新兵不足が深刻な問題に | スポーツ栄養Web【一般社団法人日本スポーツ栄養協会(SNDJ)公式情報サイト】 2022/7/10

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