この夏は「メディアの支配者」(中川一徳著(株)講談社)を読んだ。上下巻に分かれ各1800円で300ページ以上の厚みだが、劇場で見る映画よりも充実している。これはフジサンケイグループの生い立ちと鹿内宏明氏追放劇が主な部分で、日枝久(現フジテレビ会長)VS鹿内宏明(夫妻)VS鹿内英子(初代の信隆氏の未亡人)という三巴の暗闘、特に英子(倉敷絹織(現クラレ)専務菊池寅七の次女)の存在はこの作品にオカルト的な要素を醸し出す。
今年、ニッポン放送の買収劇の副産物はこのようなフジサンケイグループの経営状況に関心がもたれたことではないだろうか。今は販売されていない書籍「閨閥」に光を当て、今この本ではフジサンケイグループの生い立ちと鹿内家の関係が知られることとなった。今年の株主総会ではライブドアによる買収問題に話題が集中したが、鹿内宏明氏の手許からニッポン放送株がなくなった今、グループとその他の鹿内家の人々との関係や産経新聞の経営状況に目を向けるべきだろう。そしてそれは政府の無駄遣いに主権者たる国民が厳しい目を向けるように、株式会社の無駄遣いに厳しい目を向けるのは主権者たるその企業の株主の義務であろう。
ところで、ライブドアの堀江社長はこの本のインタビューに答えて自分を鹿内家三代のハイブリッドと称している。そして産経新聞の創業者の前田久吉は昭和28年に国会議員(参議院議員)になっている。今回堀江氏は国政に出馬するわけだが、つくづく「フジサンケイな人」である。
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