8月15日に3回目のアーミテージ・ナイ レポートが発表された。最初に原子力やLNGなどのエネルギー問題が提起され、その後には、日韓の軍事を含めた協力のことが書かれている。
2012/8/25 日本経済新聞朝刊でアーミテージ元国務副長官は、
『――従軍慰安婦や歴史認識にも触れるのか。
「状況に応じて取り組まなければならない。事実はただ一つ。それは悪いことであり、実際に起こった。そして、日本人の何人かが責任を負っている。それで話は終わりだ」』
としている。従軍慰安婦問題ではどちらかというと韓国寄りと見られる。現在の米国の戦略であるレポートの内容を早期に実現させるために、日本にはある程度譲歩させる意図があるのだと思う。
また8月24日のブログで、町村信孝衆議院議員が「中国・韓国に凛とした外交を!!」と言っていた。しかし、2008年にブッシュ大統領がライス国務長官に指示して米国地名委員会が竹島(韓国名 独島)を韓国領に戻させたとき、記者会見で官房長官だった町村氏は「米国政府の1機関がやることに、あまり過度に反応することもないと思っている。今回のホームページ上の記述は米国の立場の変更とは受け止めていない」(2008/7/31 読売新聞夕刊)と述べていた。また、「福田首相が表記の再変更をブッシュ米大統領に働きかける可能性については、「ない」と語った」(同前)という。福田政権は自衛隊のアフガン派遣など米国から要求を受けていたので、そのときの対応が不適切だったかどうか判断は難しい。しかし、米国大統領が韓国にこれだけの配慮を示していたにもかかわらず、それに対する日本政府の対応が、韓国大統領が遠慮なく竹島に行く一因にはなったのだろう。結局、米国にも凛とした外交ができなければ、中国・韓国に足元を見られるだけだろう。
韓国の大統領は任期5年で再選は出来ない(Wikipedia)ため、選挙対策で対日強硬姿勢をとる必要はない。むしろ、韓国の国益に叶うことを行い、将来にわたって名声を残すことが目的だろう。日本はアメリカが怒っているといってマスコミが総理大臣を引き摺り下ろそうとする国だから、アメリカの圧力があれば日本は言うことを聞くと思っているのだろう。現在の日韓の経済関係を考えれば、経済的な制裁を加えることは日本にとってもマイナスだ(追記:例えば日産自動車は2016年度までに、国内生産車種について中国や韓国などアジアからの低価格部品の調達率を上げるという(2012/8/28日本経済新聞朝刊)、また日産の大株主ルノーには韓国にルノーサムスンという子会社がある)
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「イギリスは、ヨーロッパの統一に背を向け、アメリカの政策に永久に従属することを選択したのだった」「フルシチョフはイギリスがアメリカから離れられないと認識した時から、交渉をアイゼンハワーに集中した。フルシチョフの見方では、マクミランはワシントンを交渉にまき込むことによってその目的を果たしたのだった。つまるところ、フルシチョフが求めているものを与えてくれることの出来る唯一の交渉相手は、アメリカ大統領であった」(「外交 下」ヘンリー・A・キッシンジャー著 岡崎久彦[監訳] 日本経済新聞社)。同様に、日本がアメリカの政策に永久に従属することを選択するのならば、外国政府は日本と交渉するよりもアメリカ大統領との交渉に集中するようになるだろう。
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