投資家の目線

投資家の目線8(北海道電力によるTOB)

 北海道電力が北海道全体で電気工事を行う北海電工にTOBをかけて子会社化する。買い付け株式数は最大280万株で、北海道電力の社長によれば、北海道電力の持ち株51.1%に加えて、社員OBや協力会社の持ち株を合わせて議決権の3分の2以上を確保するが、上場は維持するとのことである。
 しかし、これではTOBに応じながら買い付けから漏れた投資家は不利である。北海道電力側に議決権の実質3分の2を押さえられれば、北海電工の経営は北海道電力の思いのままで、それ以外の株主の議決権はほとんど意味を成さなくなり、その分市場でディスカウントされた価格で流通することになると考えられるためである。北海道電力はこのような中途半端なものではなく、完全子会社化するようなTOBをすべきだったのではないだろうか。それでも株主の中で北海電工に出資したい者がいれば、その後に無議決権株(種類株の一種)を普通株よりディスカウントした価格で売り出せばよい。北海電工の例に限らず、子会社が上場している例が日本には多すぎるように思われる。
 大阪証券取引所の近鉄百貨店は信託口を合わせると73.3%(05.2現在)が近鉄の保有になる。関連企業をあわせるとそれ以上で、それ以外の株主の意見がどれだけ経営に反映されるのか疑問である。完全子会社化したほうがよいのではないだろうか。
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